Ⅳ
「この夏、二冊目読了ですが、どうでしたか?」
「思ってたより面白かったわね。もっと専門的な細々とした話が並ぶのかと思っていたから。読むことで何を得たかったかというと、民法の祖であるローマ法の世界観を確認したかったのだけど、それについて、マァマァの収穫があった。寧ろ国際法の話になると思うけど、人質を取るのね、何十人、何百人という単位で。友好や服従の証として。故に、Pacta sunt Survandaみたいなのはあるにはあったと分かる。ただし、その信用性はかなり疑問だった。でも、現代でも、条約のみではかなり疑問よね。つまり、そういうのは、古代から変わっていないということ。ガリアには沢山の国があり、抵抗しない国もあったし、抵抗する国もあり、抵抗してなくても後に反乱した国もあった。印象としては、ローマの軍隊は規模が圧倒的に違う。単純に人数が多く、兵器や戦闘技術も圧倒的に進んでいた。人数が多いのは、戦争に勝って、兵士を次々に補充したから。故に、正直な話、勝ち目はないのだけど、それでも、ガリアの国々は、騙されたり、憎しみに駆られたり、自由を求めたりして、カエサルと戦うこととなった。カエサル目線なので、ガリアの国々の裏切り者の権力者は多少悪く書かれているところがある。しかし、ローマ軍も、行く先々で、食料や住居、衣服をぶんどっているのではないかな。それでも、ガリアのある国が他のある国に虐げられている。虐げられている国がローマと友好関係にあれば、救援のために戦争に赴く正義がある、というような書かれ方がなされている。そして、戦うときには、カエサルが何をしてくれたかを思い出して団結する。要するに、友好関係の合意が観念されており、それに基づいて、救援するために戦を行う。裏切ったならば、それへの報復として戦を行う。暴力に対して、より強力な暴力で対処する。その時代の最強の兵器がローマ軍だった、という印象だった」
「ローマ法と関連はあったのですか?」
「ローマ法が後に拡大する地盤を確認できた。というのは、まず、ローマ軍が滅法強かったということ。故に、ローマ法含めたローマの文化は服従した国々に伝わることになる。次に、ある程度商業も各地で行われていたということ。ガリアやブリタリアの描写でも市場が存在する様子が伺えた。次に、ローマ軍の兵器や戦法の技術の描写から、職人が存在する様子が伺えた。次に、先述のように、カエサルから受けた恩に報いるだとか、友好国、敵対国、人質、税、奴隷、といった概念が存在し、それらについて、当時の状況に鑑みると一応合理的な法則が描かれていたため、公平の観念を看取できた」




