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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第3章 雪雪危機一髪!

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第097話 Sランク飛び級昇格


「商会を設立すんべ」


 唐突(とうとつ)に言ったリッケさんは、ピルピル草の実とコリツノイモをテーブルの上に(なら)べ、参謀(さんぼう)のように手を組みながら続けた。


(われ)らの村は、(いま)だその村の名前すら決まっておらず、それどころかその存在(そんざい)すらほぼ知られていません。もともと(ねこ)族の(みな)さんの村があることは一部で知られていたようですが、今回のことがあるまでは詳細(しょうさい)な場所すらも把握(はあく)されていませんでした。が、それではやはりマズいと言わざるを得ません」


「まぁ、……確かに」


「そこで我々(われわれ)がまずすべきは、正式に村としてその存在(そんざい)を明らかにし、さらに本村の正式な窓口(まどぐち)となるべき商会を設立すべきです。今回は緊急(きんきゅう)な案件でしたので簡易的(かんいてき)な方法で農作物を譲渡(じょうと)する方法を取りましたが、本来であればもっと(しか)るべき方法で、かつさらに高額で取引をすることができたでしょう」


「それも、まぁそうだね。ただ金額は()()げる気もなかったし、お金を(もら)えただけラッキーだったと思ってるけど」


(あま)い! そんなことを言っていたら、そのうち村営などまかり通らなくなりますよ。何より今は村民の満足度が高く問題は出ていませんが、いつこの贅沢(ぜいたく)な生活に慣れ、日々の不満を言い出す者が現れるともしれません。(わたし)などは、(すで)に新たな知識欲(ちしきよく)()り立たされ、今にも爆発(ばくはつ)してしまわんばかりなのですから!」


 鼻息(あら)く立ち上がった彼女(かのじょ)をなだめながら、確かにそれはそうかもねと同調する。


 今回のことで、(おれ)たちの村は(はか)らずも国から認知(にんち)されてしまった。100人にも満たない村でありながら、一国の首都である町民分の食料を補填(ほてん)した村力は異様(いよう)というよりほかなく、今後間違(まちが)いなく一部の者たちから良からぬ(うわさ)や圧力をかけられるに決まっている。何よりそこに住んでいる者が獣人(じゅうじん)魔物(まもの)ばかりとなれば、存在(そんざい)そのものを危険視(きけんし)し、(きば)()く者も現れるに(ちが)いない。


「だからこその外交です。この機会に、我々(われわれ)へ向けられる外圧を(かわ)し、大義名分を得られるように準備を整えるのです。そのためにも、まずは金を使い、村の代表となる機関の準備と、商会の設立をすることが最重要課題なのです!」


「確かにリッケさんの言いたいことはわかるけど。でもそれ(だれ)がやるの?」


「そんなの一人(ひとり)しかいないでしょう!」


「……それってもしかして」


「アナタです、村長なんですから当然です!」


 やっぱり!!

 でもなぁ……。それはできれば()けたいんですよ。(おれ)の経歴全部が(うそ)でした、なんてことがバレた日には、多分人生()んじゃうんですよね……。


「う~ん、少し考えさせてよ。本当のところを言うと、(おれ)はここで静かに()らしたかっただけなんだ。だからリッケさんが言うような仰々(ぎょうぎょう)しい生活をしたいわけでも、ましてやギラギラした殿上人(てんじょうびと)を目指したいわけでもなくて……」


 しかしバンッと台を(たた)いた彼女(かのじょ)は、「な~にを(あま)っちょろいことを!?」とご立腹(りっぷく)だ!


 とにかく一旦(いったん)考えさせてと彼女(かのじょ)納得(なっとく)させたものの、やはりこうなるよなぁと項垂(うなだ)れる。しかもさらに輪をかけたように、今度はマイルネのギルドから(おれ)に対する招集連絡(れんらく)が入った。


 即刻(そっこく)ギルドへ顔を出すようにとのお達しに(したが)いギルドへと投降(とうこう)した(おれ)は、(にぎ)やかさを()(もど)した窓口(まどぐち)でローリエさんに話しかけるや(いな)や、すぐさま裏口(うらぐち)へと()()まれてしまった。そして(うら)小部屋(こべや)で待ち構えていたギルドマスターのテーブルの正面に(すわ)らされ、事情聴取(ちょうしゅ)を受ける犯人のように下から(のぞ)()まれた。


()()された理由はわかってるな?」


「さぁ、……なんのことでしょうか」


「しらばっくれても仕方ないだろ。もはやそれすら無駄(むだ)だってことくらい、アンタもわかってるはずだ」


 テーブルが(おれ)たちの間に置かれた小さな台にペラリと紙を置いた。(おれ)はわざとそれを見ないように視線(しせん)()らした。


「この二ヶ月弱、(おれ)たちはアンタらの村に、それはそれは世話になった。そこは変えられん事実だ。感謝しかねぇ」


「だったらそれでいいじゃないですか。ということで、本日はこのあたりで……」


「そうはいくか。……()()。コイツがなにか、もちろんわかってるよな?」


 (おれ)がヒュ~と口笛()いて誤魔化(ごまか)そうとするも、紙を顔に()きつけながら「ちゃんと見ろ」と(おこ)っているテーブル。ああもう、わかっとるわ!


「こいつはエドワード・ガロウ氏がアンタに(わた)した材料表だ。……(おれ)が言いたいことはわかるな?」


「さぁなんでしょうね。わかりませんけど」


「ざけんな、そんなのが通ると思ってんのか」


 テーブルがリストに()せられたアイテムを一つひとつ読み上げていく。それらはEランク冒険者(ぼうけんしゃ)ではどうやっても入手困難(こんなん)なものばかりで、(おれ)は素知らぬ顔して誤魔化(ごまか)した。……が、無駄(むだ)だった。


「あの二週間、アンタんとこのAランク冒険者(ぼうけんしゃ)様は、ずっと(おれ)らと一緒(いっしょ)に物資の調達作業を行っていた。で、アンタはウチのエンボスと、ガロウ氏が指示したアイテムを入手するため走り回ってたわけだが、……問題はこの丸がうたれたアイテムだ」


「……さぁ、なんのことでしょうね」


「ウチの親方が集めたアイテムは、丸のないこっち。で、こっちの特レア品が混じったリストを集めて回ったのがアンタだ。とてもじゃねぇが、Eランクの冒険者(ぼうけんしゃ)じゃ入手できっこねぇシロモノで(あふ)れてる。しかしアンタはどんな手段(しゅだん)を使ったか知らねぇが、そいつを(すべ)て手に入れてみせた。……あの雪()りしきる、()()()()()()()()()()、だ」


 こうなることはどこかで想像していた。

 しかし現実に()められると、これほど無惨(むざん)なものなのですね。でもそれくらいで論破(ろんぱ)されてやるものですか。反論(はんろん)だ、反論(はんろん)


「どのアイテムも、もともと村にあったんですよぉ。だから偶然(ぐうぜん)(そろ)ってただけでぇ。ツイてたなぁ。さすがはマーロンさんだ」


「……んな()(わけ)が通じるとでも思ってんのか。中でもこの赤字のアイテム、コイツはそんじょそこらの野郎(やろう)が用意できるシロモノじゃねぇんだよ。しかもそいつが、偶然(ぐうぜん)村にあっただと? 冗談(じょうだん)も休み休み言えよ。それがもし本当なら、テメェんとこには未来が読める人間がいたってことになる」


「ああ、それならいますよ。マイルネの住民街に住んでるハロンヌさんって呪術(じゅじゅつ)師なんですけどね、彼女(かのじょ)ホントに(すご)いんすよ、なんでもね、ズバ―っと答えてくれちゃって。ハハ~」


 それ以上の戯言(ざれごと)()かすと(なぐ)るぞとテーブルの目が語っているが、絶対に(みと)めるわけにはいかんのだ!


「あくまでもしらを切るってか。だったらそれでいい。こっちにも考えがある」


 額に血管を()かせながら部屋(へや)を出ていったテーブルが、すぐにローリエさんを(ともな)って(もど)ってきた。そして今度は彼女(かのじょ)(おれ)の前に(すわ)らせ、もの(すご)く事務的に話し始めた。


「ということですので、今回ハクさんはSランクへの飛び級昇格(しょうかく)ということになります。御本人(ごほんにん)がお(みと)めいただかなくても、ギルドマスターの推薦(すいせん)ということでの特例となりますから、なんら問題はございません。素晴(すば)らしいですねー、パチパチパチ!」


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