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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第3章 雪雪危機一髪!

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第074話 偵察隊参上!


 当然、そうなってしまうよねぇ……

 高ランク冒険者(ぼうけんしゃ)の不在に加え、そもそもの人材不足が折り重なり、現時点でマイルネの町は重大な危機(きき)(ひん)している。町を一見しただけでも衛兵たちは従来(じゅうらい)の仕事のほかに雪の処理(しょり)魔物(まもの)討伐(とうばつ)に人員を()かれ、門戸の管理にすら手が回っていない始末だ。(おそ)らくはギルド側も(わら)にも(すが)る思いで彼女(かのじょ)(たよ)って連絡(れんらく)してきたに(ちが)いない。しかしだからといって、彼女(かのじょ)にだって、どうにもならないことはある。そもそも、だ……


(わたし)ひとりでできる仕事の範疇(はんちゅう)()えすぎてるよ! (かれ)らは(わたし)にこの町を救ってほしいと言っていた。でも(わたし)にそんな力はない! どうしたら良いんだよ、(わたし)は!?」


 ローリエさんとギルドマスターから多数の仕事を()()けられてしまったマーロンさんが途方(とほう)()れている。やっぱりこうなったと彼女(かのじょ)愚痴(ぐち)をひとしきり聞いたあと、(おれ)はひとまず(だれ)もいない場所へ行こうといつもの宿へと彼女を引っ張った。


「すいませーん、部屋(へや)を借りたいんですが……?」


 がらんとした宿屋入口は(だれ)姿(すがた)もなく、いつもいるはずの番頭の姿(すがた)すら見えない。どうやら冒険者(ぼうけんしゃ)()()がなくなったことで閑古鳥(かんこどり)が鳴いているようで、開店休業状態となってしまった宿は、城門と同じくそっくりそのまま色を失っていた。


「ったく、(だれ)だいこの(いそが)しいときに……。って、こりゃ(おどろ)いた、森の冒険者(ぼうけんしゃ)さんたちじゃないか。アンタたち、どうやってここまできたんだい!?」


 しばらく待っていると、(だん)を取るため(もど)ってきた番頭の(おく)さんが(おれ)たちを見つけ、宿の手配をしてくれた。どうやら番頭さんは町の雪処理(しょり)に追われているようで、開店休業状態の宿を放置し、町の各所へ散って衛兵たちの仕事を手伝(てつだ)っているらしい。


(もう)(わけ)ないねぇ。ご(らん)のとおり、アタシらも町の救助作業に借り出されちまって、宿もご(らん)のあり様さ。食事の世話ひとつできないのが心苦しいんだけど、部屋(へや)だけは沢山(たくさん)空いてるんで、いくらでも使ってやっておくれ。すまないねぇ」


 今は給仕(きゅうじ)できる者も不在のため、部屋(へや)だけなら貸せるといってくれた(おく)さんに礼を言い、(おれ)たちはひとまず二階の一室に入り、他人の目がない場所に身を寄せた。すぐに頭を(かか)えて()()したマーロンさんは、「(わたし)はどうすれば……」とうわ言のように()(かえ)している。なにもそこまで(かんが)()まなくてもいいのに。責任感強すぎですって!


背負(せお)いすぎなくても大丈夫(だいじょうぶ)だよ。(おれ)手伝(てつだ)うし、なんなら大船に乗ったつもりでさ!」


「……でもトアに(たよ)るばかりじゃ(わたし)もダメだし。こうしてみんなに求められている以上、(わたし)もどうにか(かれ)らの役に立ちたいんだ!」


「お、意外とやる気だ。だったらやるだけやってみるしかないんじゃない?」


「それはそうだけど……。……自信が、……なくて」


「ぷっ」と()()した(おれ)胸元(むなもと)をポコポコ(たた)くマーロンさん。

 まったくこの人は、本当にお人好(ひとよ)しで、可愛(かわい)らしいったらありゃしない。


大丈夫(だいじょうぶ)、絶対に上手(うま)くいくって。そうと決まれば、やれることから始めよう。それで、ギルドの人たちはなんて?」


「ふんだ、簡単(かんたん)に言ってくれちゃってさ。……まずは南の平原のグロウウルフをどうにかするのが先決だからって、明日(あした)の夜、(わたし)とギルドマスターの二人(ふたり)討伐(とうばつ)に向かいたいって」


「ギルマスと二人(ふたり)で? それはアレだね。よっぽど人手不足なんだね……」


「でもよくよく話を聞いてみたら、どうも雲行きが(あや)しいんだ。数日前にも南へ向かった冒険者(ぼうけんしゃ)()げ帰ってきたみたいなんだけど、グロウウルフの群れの中に普通(ふつう)のウルフとは違う『何か』がいたって話で。しかも彼らの仲間の冒険者(ぼうけんしゃ)たちは軒並(のきな)みやられちゃったみたいて、その人だけがどうにか生還(せいかん)できたんだって……」


「別のなにか、ですか。う~ん、なるほど。じゃあさ、いっそのこと先に向かっちゃわない? その南の平原ってとこに」


「え?」と(おどろ)いたマーロンさんの手を(にぎ)った(おれ)は、「時間は一分一秒も無駄(むだ)にしたくないからね」と手の(こう)にキスをした。「なにしてるのよ!?」と(あわ)てた彼女(かのじょ)の頭を()でながら、(おれ)部屋(へや)に置いていた布袋(ぬのぶくろ)(はし)をちょんちょんと足でつついた。するとモゾモゾと(ふくろ)が動き出し、中からポンッと勢いよく何かが飛び出した。


「じゃ~ん! ポンチョだよー!」


 寒い寒いとうるさかったので、ずっと(おれ)背中(せなか)()ていたモコモコさんの登場です。移動中、たくさん()たからでしょうか。いきなり「じゃーん」とはご機嫌(きげん)ですねぇ。

 ふくふくとしたツルツルの(ほお)()()せて(あま)えるポンチョも一緒(いっしょ)()でた(おれ)は、これだからモフモフは最高だねぇと無言で(うなず)く。うむ、素晴(すば)らしい。


「よーし、それじゃあ早速(さっそく)南の平原でウルフ(さが)しだー!」


「おー!」と無責任にポンチョが手を挙げた。

 しかしマーロンさんは納得(なっとく)せず、「そんなの無茶だよ!」と反論(はんろん)した。


「トアはいつも簡単(かんたん)に言うけど、ギルマスですら足踏(あしぶ)みしちゃう相手なんだよ。しかもまたポンチョを連れてくなんて、まだ何がいるかもわからないのに!」


「それは確かにそうだけど、様子を見ておくくらいの事前準備は必要なんじゃない? 敵の偵察(ていさつ)は重要なファクターの一つですよ、Aランク冒険者(ぼうけんしゃ)様?」


 ムッとする彼女(かのじょ)をどうにか()()せ、(おれ)たちはまず町の洋服屋を(たず)ねて、ポンチョとマーロンさん専用(せんよう)の防寒着を購入(こうにゅう)し、夜間作業の準備を整えてすぐに南門を出発した。終始マーロンさんは不機嫌(ふきげん)だったけど、本音を言えば『たかがグロウウルフの群れ』を相手に時間を浪費(ろうひ)したくなかったことは内緒(ないしょ)だ。


「ええと、地図によれば南の平原は町から数時間下った先、とあるけど……、まぁなんと言えばよろしいのでしょうか」


 どっちを見ても一面の銀世界。

 やはり町の南側も天候不順であることは変わらず、常に雪が()り続いている。

 しかも猛烈(もうれつ)な暴風雪によりホワイトアウトした周囲は見通しが効かず、五メートル先も判別できないほどに吹雪(ふぶ)いていた。


 これではもう、地図などあってもなくても同じだな!


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