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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第2章 ピルピル草栽培開始!

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第071話 幸運と不運



    ▽ ▲ ▽ ▲ ▽



「森だ……、森ができてる……」


 マーロンさんがそう呟(つぶや)いてしまったのも無理はない。


 俺(おれ)たちが生み出したその新緑の光景は、ほんの二ヶ月前までは本当に木の一本もない、ただ広いだけが取(と)り柄(え)の更地(さらち)でしかなかった。そんな場所を、みんなの力で土を耕し、栄養を行(い)き渡(わた)らせ、苗(なえ)を植え、水をやり、手を加えてはまた水をやり、それを幾度(いくど)となく愚直(ぐちょく)に繰(く)り返(かえ)し、ようやく作り上げた。疲(つか)れ果(は)て誰(だれ)かが倒(たお)れたとしても、誰(だれ)かが手を差(さ)し伸(の)べ、歯を食いしばり、這(は)いずりながらも諦(あきら)めなかった。


 冬の寒さに凍(こご)えることもあった。

 見知らぬ害虫や、経験のない病魔(びょうま)に悩(なや)まされたこともあった。しかしそれでも誰一人(だれひとり)折れることなく、解決しよう、前へ進もうと努力を重ねてきた。


「その結果が、この森ほどに美しく育った緑色のカーテンだ! 冬の寒さに負けず、雪の重さに負けず、諦(あきら)めろ諦(あきら)めろと脅(おびや)かし続けた病にも負けず、こうして雄大(ゆうだい)に成長したピルピル草の姿(すがた)を見よ。これが、これこそが我々(われわれ)で生み出した、最大にして最高の結果である。村の民(たみ)たちよ、誇(ほこ)れ、そして喜びの声を上げろ! 我々(われわれ)はやり遂(と)げた、本当にやり遂(と)げたのだ!!」


 収穫(しゅうかく)用に建てられた足場の上で、リッケさんが手足を踏(ふ)み鳴(な)らしながら村人たちを煽(あお)り立(た)てた。その姿(すがた)はもはや一端(いっぱし)の先導者で、今や誰(だれ)が村長だかわかったものではない。俺(おれ)の影(かげ)ってば、ここのところずっと薄(うす)すぎませんか!?


 リッケコールが巻(ま)き起(お)こる中、俺(おれ)は猫(ねこ)族とアリクイ族の族長と握手(あくしゅ)し、そしてボアボアの鼻とハイタッチした。きっと誰(だれ)が欠けてもこの結果は成し得なかった。それほどまでに壮観(そうかん)で、それほどまでに美しい緑色の天井(てんじょう)だった。


「そしていよいよ収穫(しゅうかく)となるわけだが……。その前に、我々(われわれ)の代表である『あの方』に挨拶(あいさつ)してもらおうじゃないか。だよね、村のみんな!?」


 ドッと沸(わ)いた村人の視線(しせん)が、一斉(いっせい)にこちらへ押(お)し寄(よ)せる。体ごと持ち上げられ、担(かつ)がれるまま足場の上へと運ばれた俺(おれ)。人々を煽(あお)りに煽(あお)りながら、隣(となり)に立つ彼女(かのじょ)が俺(おれ)の耳元で囁(ささや)いた。


「さぁお願いしますよ。みんな貴方(あなた)の言葉を待ってるんですから。ねぇ、村長?」


「あ、ええと……?」


 彼女(かのじょ)にポンと背中(せなか)を押(お)され、一歩前に出る。その瞬間(しゅんかん)を待ちわびていたかのように、あれだけ騒(さわ)がしかった村人たちが一斉(いっせい)に静まり返った。


「ああ、……ええと、そうだな。じゃあ一言だけ。みんな、まずはお疲(つか)れ様(さま)。見てもらえばわかると思うけど、これだけのことができたのは全部みんなのおかげだと思ってます、本当にありがとう。いつも笑っちゃうんだけどさ、みんな優秀(ゆうしゅう)すぎるのよ。今回に限っちゃ、俺(おれ)本当に何もしてないし、これだけのことができたのも、本当に頑張(がんば)ってきたみんなのおかげだと思ってて。だからみんなは、まず自分自身のことを誇(ほこ)ってほしい。何より自信をもってほしい。俺(おれ)たちは本当に凄(すご)いことができる、やり遂(と)げることができるんだぞって!」


 畑を埋(う)め尽(つ)くすほどの歓声(かんせい)が轟(とどろ)き、いよいよ最後の言葉を待つばかりとなった面々が一斉(いっせい)に膝(ひざ)を曲げた。俺(おれ)はその期待に応(こた)えるよう右腕(みぎうで)を高く掲(かか)げ、肺(はい)だけでなく、胃の中にまである全(すべ)ての空気を吐(は)き出(だ)しながら叫(さけ)んだ。



『 それじゃあみんな、収穫(しゅうかく)だー! 』



 その場で飛(と)び跳(は)ねたり、中には助走をつけて走り回る者もいた。互(たが)いに健闘(けんとう)を称(たた)え合(あ)う者もいれば、胴上(どうあ)げを始めた者もいた。それぞれが思い思いに喜びを口にし、最高の瞬間(しゅんかん)を分かち合った。



「それでは僭越(せんえつ)ながら」と俺(おれ)が最初の実を狩(か)ったところで、いよいよ収獲(しゅうかく)作業が始まった。それにしても嬉(うれ)しい悲鳴と言うべきか、想定外と言うべきか。村人総動員で作業を行(おこ)なったにも関(かか)わらず、あまりの収穫(しゅうかく)量に手間取ってしまった俺(おれ)たちは、それから二週間という膨大(ぼうだい)な時間をかけ、ようやく全(すべ)ての実を収穫(しゅうかく)することができた。


 総収穫(しゅうかく)量、占(し)めて922サーバス。当初予定していた量など遥(はる)かに凌駕(りょうが)し、新たに幾(いく)つも保存(ほぞん)庫が必要となってしまうほどピルピル草の実収穫(しゅうかく)に成功したのだった。


 そうして俺(おれ)たちは、夏のハクイモ、冬のピルピル草と、ひとつの村ではとても消費できない量の食料を確保するに至(いた)った。しかしそんな俺(おれ)たちの成功の裏側(うらがわ)で、まさかあんなことが起きていようとは想像もしていなかった。


 収穫(しゅうかく)完了(かんりょう)からちょうど三日後に始まったその異変(いへん)は、俺(おれ)たちの村だけでなく、周辺国全土を巻(ま)き込(こ)んだ、大きな大きな流れへと発展(はってん)していくことになるーー




 俺(おれ)たちが異変(いへん)の発端(ほったん)に気付いたのは、それから六日目のことだった。収穫(しゅうかく)作業に区切りをつけ、俺(おれ)の自宅(じたく)に集まった各担当(たんとう)の代表者たちが、次の作付へ向けた畑作りについて意見交換(こうかん)をしていたときだった。


 最初に何気なく話を切り出したのは、猫(ねこ)族の族長だった。窓(まど)の外を眺(なが)めながら、「一気に寒くなりましたね」と前置きし、彼(かれ)は数日前から降(ふ)り続いている雪を見つめて言った。


「はて、この雪はいつからでしたかね。今年(ことし)はかなり降(ふ)りそうです」と。アリクイ族の族長も「確かに」と同調し、リッケさんが「三日前の夕方からでしたかね」と持ち前の記憶力(きおくりょく)をひけらかして付け加えた。


「雲も分厚いようで、いつまで降(ふ)り続くことでしょうか。まさかずっと降(ふ)りやしないとは思いますが」


 冗談(じょうだん)を言った猫(ねこ)族の族長に皆(みな)が笑(え)みを浮(う)かべた。

 ハハハと笑い飛ばした俺(おれ)たちは、よもや彼(かれ)の口にした冗談(じょうだん)が現実のものになるなどとは、想像もしないままに――


特産品が完成したと思ったら、

今度はモフモフ村や町に危機がやってきます。

さぁみんなはどうなるのでしょう??


ということで、引き続き3章をお楽しみください!

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