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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第2章 ピルピル草栽培開始!

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第065話 俺、なんもしてなくね……?


「いや、だからね……。みんな優秀(ゆうしゅう)すぎるのよ。もう少しお気楽にいきましょうよ、ね?」


 しかし一切(いっさい)緊張感(きんちょうかん)(ゆる)めないリッケさんたちは、ハウス内の等間隔(とうかんかく)にそれぞれ陣取(じんど)るなり、最後にゲージ前で待っていたマルさんに合図を出した。するとマルさんは(おれ)をジーッと見つめながら、「まだですか?」と言わんばかりにソワソワしている。いや、意味がわからないんですけど。


「ええと、これからマルさんは何をするんですか?」


「ええとね、おいらはこれから(あり)たちを決まった方向へ流すんだな。(あり)たちにとっておいらたちは絶対の天敵だもんでね、水と同じみたいに必死に()げようとするんだな。だからおいらたちがいるだけでね、ある程度(あり)たちの動く方向が決められるんだな。すごいでしょ?」


 えっへんと(むね)を張るマルさん。

 意図的に(あり)たちの(しり)(たた)く方法まで()()()みなのかと感心してしまう。確かに(あり)たちをただゲージから出すだけでは(あり)玉にならず、闇雲(やみくも)に動き回るだけになってしまいそうだ。だからこそ本能的、かつ最も速いスピードで()げるためには(あり)玉になることが最適解となるため、ほぼ100パーセントの確率で意図的に(あり)玉を作り出すことができる、と。なんだよそれ、(かしこ)すぎないか!?


「追い出された(あり)たちは、一定間隔(かんかく)ごとに置かれた石を本能的に()けつつ、捕食(ほしょく)作業を開始するはずです。あとは流れを止めぬように、かつルートを()れず動かせるように石の配置箇所(かしょ)などを模索(もさく)していきましょう。ということで、そろそろよろしいですか、ハクさん?」


 どうやらマルさんは(おれ)のスタート合図を待っていたらしい。小さな身体をムクムク動かしながら、今か今かとゲージを開けるタイミングを見計らっている。ならばもう仕方ないか!


「それじゃあ、す――」


 と言いかけたところで、(おれ)の頭から飛び()りたポンチョが「お仕事お仕事~!」とマルさんに飛び乗った。開始の号令と勘違(かんちが)いしたマルさんは、勢いよくゲージのフタを開け、「ガオーーーー!」とアリクイ族ができる精一杯(せいいっぱい)(こわ)い顔で(あり)たちを威嚇(いかく)した。


 (おれ)のスタートを待たずに飛び出した(あり)玉が、もの(すご)いスピードでピルピル草の(なら)んだ畑の(うね)()()けていく。地面の土ごと(けず)()り、一瞬(いっしゅん)でハウスの対面に到達(とうたつ)するなり、水の(まく)が張られた(かべ)と反発して急カーブし、(となり)(うね)突進(とっしん)を始めた。「ヨーシ!」と()(ごと)大枚(たいまい)(たた)いたギャンブラーのような声を上げたリッケさんは、面白(おもしろ)いように(あやつ)られて進んでいく(あり)たちの行進を見つめ、(こぶし)を固めていた。


 一定方向に()()けていった(あり)たちをハウスの(はし)で待ち構えていたマルさんが、最後のダメ()しとして身体を大きく広げながら「ガオーー!」と声を()()げた。するとそれに(おどろ)いた(あり)たちは、唯一(ゆいいつ)()()であるゲージの中へと一斉(いっせい)()()み、再びフタをすれば、あらら元通り……、といった流れだ。それにしても、一発目から上手(うま)く行き過ぎじゃないですか?


 なんて思っていたら、周囲の面々が一斉(いっせい)にドッと()き、大きな拍手(はくしゅ)の輪が起こった。よくよく考えてみれば、どうやら(おれ)がやってくる前から入念なリハーサルをしていたのだろう。ハウスの所々は何かを試行したような(きず)補修(ほしゅう)が多々あって、(かれ)らの喜びようから察するに、きっと(おれ)がいないところで何度も(ため)していたに(ちが)いない。まったく、この人たちは……。


「しかし! ……喜ぶのはまだ早いぞ諸君(しょくん)。現段階(だんかい)では、(あり)たちが(うね)を走っただけにすぎない。肝心(かんじん)なのは、その走りの中で受粉の作業がなされているか(いな)かだ。確認(かくにん)(はん)確認(かくにん)作業をお願いします!」


 リッケさんが合図を出すと、()りすぐりのメンバーたちが一斉(いっせい)にハウスの中に入ってきた。(かれ)らは目と鼻をこれでもかと動かしながらピルピル草の雄穂(ゆうすい)一株(ひとかぶ)一株(ひとかぶ)入念に確認(かくにん)し、それぞれに花粉が付着しているかを丹念(たんねん)に調べていった。そして15分後……


確認(かくにん)できました。おおよそ(すべ)ての雄穂(ゆうすい)に、花粉の付着を確認(かくにん)しました!」


 再びドッと()()がる面々。

 (うなず)きながら手を(たた)いたリッケさんは、手助けしてくれたチームの皆々(みなみな)とハイタッチして労をねぎらった。


 それにしても()ですねぇ。

 (おれ)、なんもしてないんですけど……?


素晴(すば)らしい結果だ! まだ様々課題はあるものの、(せま)いハウス内とはいえ、本来数時間かかる作業が、ほんの数十秒で実施(じっし)できてしまった。これも(ひとえ)に、(わたし)に手を貸してくれた(みな)と、この環境(かんきょう)を用意してくれたハクさんたちの努力の結果だと思う。本当に素晴(すば)らしい!」


 感(きわ)まって目頭(めがしら)(ぬぐ)うリッケさん。そして彼女(かのじょ)(はげ)ますように集まった(ねこ)族、そしてアリクイ族の皆様(みなさま)。そして無関係に喜んでいるポンチョさん。(おれ)だけ(すご)蚊帳(かや)の外な気がしますけど!?


「す、す、す、(すご)いですねぇ。もう(おれ)なんかいなくても、(みな)さんだけで全部できてしまいますねぇ……」


「何を言ってるの。(すべ)てはここまでの環境(かんきょう)をお膳立(ぜんだ)てしたハクさんたちの成果ですよ。(わたし)などは少しの助力をしたまでにすぎません。それに、まだまだ課題は大きいです。この実施(じっし)方法をどうやって畑全体に()ばしていくのか、はたまた(あり)たちが(うね)の土ごと捕食(ほしょく)してしまう点など、改善(かいぜん)しなければならないポイントは(くさ)るほどあります。これからハクさんたちには、これまで以上に手を貸していただく必要がある。覚悟(かくご)しておいてくださいよ!」


 (みな)(みな)(そろ)いも(そろ)って(おれ)(かた)をバンバン(たた)く。

 しかしまぁ、上手(うま)くいったことは悪いことじゃない。むしろ(おれ)の力などなくても、(かれ)らの力だけで前に進むことができる。これはこれで上々の結果だ。


 だがしかし、まだ唯一(ゆいいつ)解決できていない大きなポイントが残っている。それをクリアせずして、ピルピル草攻略(こうりゃく)の糸口は見えてこないのだ!


「残る課題は(ほか)との差別化、か……。ピルピル草は味という点でアピールするには(むずか)しい食材だから、質以外の部分で勝負するには別のアピールポイントが()しいんだけど、こればっかりは(むずか)しいなぁ」


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