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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第2章 ピルピル草栽培開始!

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第060話 東の森の使者


 それにしても、この状況(じょうきょう)でよく眠(ねむ)っていられるもんだ……。


 あれから数時間経過したにも関(かか)わらず、例のモコモコは、ウチのモコモコと仲良く抱(だ)き合(あ)いながらスヤスヤ眠(ねむ)りこけている。その顔にはひとつの緊迫感(きんぱくかん)もなく、ビクビク怯(おび)えていた頃(ころ)の面影(おもかげ)すら感じさせない。


「ポンチョさん、それにマルさんや、そろそろ起きてもらわないと片付(かたづ)かないんですけどねぇ。こんなセリフ、オカン以外の他人に言わせんなよな」


 ふとんを引っペ返して転がる二人(ふたり)を笑い飛ばし、「さぁ起きろ!」とお尻(しり)をはたく。どれだけ寝(ね)ても眠(ねむ)そうなお子様なポンチョはさておき、マルさんはそれでも起きる素振(そぶ)りなしときた。困(こま)ったもんだ!


「おい、起きろ泥棒(どろぼう)! さっさと目を覚まさないと衛兵に突(つ)き出(だ)すぞ~」


 泥棒(どろぼう)という言葉に反応し、「ヒャイ!」と返事してダラダラ流していたよだれを拭(ぬぐ)ったマルさんは、辺りを見回し、正座(せいざ)して土下座(どげざ)した。「申(もう)し訳(わけ)ございましぇん」とプルプル震(ふる)えながら謝(あやま)っているけど、どこまで本気なんだか……。


「土下座(どげざ)はもういいから、さっさと起きて朝飯食っちゃってくれ。ポンチョも、さっさと着替(きが)えてご飯だぞ、ごーはーん!」


 食事と聞くなり「ゴハーン!」と寝室(しんしつ)を飛び出していったポンチョに呆(あき)れながら、俺(おれ)は未(いま)だ土下座(どげざ)状態なマルさんの首根っこを摘(つか)み、そのまま食卓(しょくたく)へと運んだ。自宅(じたく)リビングの食事用テーブルでは、既(すで)にマーロンさんやリッケさんが腰掛(こしか)けており、それを一目見た宙(ちゅう)ぶらりんのマルさんがバタバタ暴れて抵抗(ていこう)した。


「鬼(おに)だー! 鬼(おに)に食われんのはイヤダー! メガネ鬼(おに)こわ~い!」


 どうやらリッケさんのことを怖(こわ)がっているらしい。ならばと笑った俺(おれ)は、彼(かれ)をリッケさんの隣(となり)に座(すわ)らせてから朝食が並(なら)べられた自分の席に腰掛(こしか)け、「いただきます」と手を合わせた。


「ゴハーン! ゴハーン!」


「こらポンチョさん、お行儀(ぎょうぎ)が悪いですよ。ちゃんと座(すわ)って食べなさい」


「ポンチョ、ゴハン好きー!」


「はいはい、俺(おれ)も好きですよ」


「マーロン、おイモ好き~?」


「うん、好きだよ。ポンチョは?」


「ポンチョもおイモ好きー♪」


「はぁぁぁぁ、ポンチョちゃん、可愛(かわい)いわぁぁぁ! 好き、尊(とうと)い」


「リッケさん、ポンチョが怖(こわ)がるので黙(だま)って食べてください」


「つれないわねぇ。……だったら私(わたし)はそっちのモコモコを……」


 目を輝(かがや)かせ、今度はマルさんをターゲットにするリッケさん。

「やめれ」と額にチョップしたところで、ようやく朝ご飯のスタートです。


「マルさんもさっさと食べちゃってください。……あ、というよりマルさんって蟻(あり)以外も食べるんすかね。食べられないならあれですけど」


「ほえ? こ、これ、お、おいらのご飯? え、おいらが食べていいの!? やったー、ご飯だー!」


 というなり、遠慮(えんりょ)なく食べ始めたモコモコ2号。

 それにしても躊躇(ちゅうちょ)のない食いっぷりだこと!


「なんか凄(すご)い光景だね……。ポンチョが二人(ふたり)いるみたい」


「はぁぁぁ、癒(い)やされるわぁぁぁ。まんまるで、もこもこの可愛(かわい)いのが二人(ふたり)も。ここにトゲトゲちゃんが加われば、グヘヘヘヘ。鬼(おに)に金棒(かなぼう)♪」


「この人、どんどんキャラ崩壊(ほうかい)してるな……。ところでマーロンさん、族長には話を聞いといてくれた?」


「ええ。どうもモリスの森よりもっと東の国で酷(ひど)い飢饉(ききん)が起きてるみたいなの。多くの食料難民(なんみん)が出ているらしくて、族長の話だと、この人もきっとよその国からきた人じゃないかって」


「まるほど。それでマルさん、貴方(あなた)はどこからきたどなたなんです?」


 さっさと朝飯を平らげて皿をペロペロ舐(な)めていたマルさんは、「おかわり!」と騒(さわ)ぎながら、「おいらはケーレルの森からきたんだよ」と教えてくれた。


「ケーレルといえば、コーレルブリッツより随分(ずいぶん)と東にある小国でしたよね。どうしてそんな場所から、わざわざこんな場所まで?」


「ご飯がないんだな。おいらたちは、森や砂漠(さばく)にいる蟻(あり)さんや小さな木の実なんかを食べて生きてきたんだけどね、砂漠(さばく)の環境(かんきょう)が悪くて住みづらくなっちゃったのと、森に餌(えさ)がなくなっちゃったせいでね、ご飯がなくなっちゃったんだぁ(ションボリ)」


「おいらたち、ってことは、他(ほか)にも仲間が?」


「うんにゃ、でもどこにご飯があるかわかんないから、ちっさくわかれて旅に出たんだ~。でもおいらだけ知らないうちにはぐれちゃって、気付いたらこの森にいたんだな」


 どうやら話していて自分の現状を思い出したらしく、急にエグエグ泣き始めたマルさん。情緒(じょうちょ)不安定な子供(こども)か!


「そ、そうですか。状況(じょうきょう)は理解したけど、それでも人の家に侵入(しんにゅう)して飼っている蟻《あり》を食べたことが悪いことってのはわかってるよね?」


 露骨(ろこつ)にショックを受け、またズルズル鼻をすすって泣き始めたマルさん。なんだか俺(おれ)が虐(いじ)めてるみたいになるから、もう泣くのやめてよ!


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