↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第2章 ピルピル草栽培開始!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/441

第053話 蟻はなんでも食い尽くす


 右目のメガネを何度もクイクイクイクイ上下させ、恐(おそ)ろしいほどのドヤ顔を一撃(いちげき)。それ以上はもうマーロンさんが可哀想(かわいそう)だからやめてあげて!


 再び装置(そうち)を小型化させて準備を整えるリッケさんは、左の口角だけをこれでもかと引き上げながら俺(おれ)の左肩(かた)に乗り、「さぁ行きましょうか!」と宣言(せんげん)する。反対にトボトボ肩(かた)を落としながら力無く右肩(かた)に乗ったマーロンさんは、「どうせ私(わたし)なんて、私(わたし)なんて」と繰(く)り返(かえ)しながら悲観しているご様子。大丈夫(だいじょうぶ)、大丈夫(だいじょうぶ)ですよ、マーロンさんも頑張(がんば)った、頑張(がんば)ってましたから!


「ええと……、それじゃあ蟻(あり)探(さが)しを再開しますが」


「いかいでか! 進め進撃(しんげき)のハクよ、全(すべ)ての敵を蹴散(けち)らすのだ、ハハハハハ!」


 官軍を操(あやつ)る先導者にでもなったつもりだろうか。「ナーハハハ!」と強者の高笑いを浮(う)かべてポーズを取っているリッケさんが、まるで馬でも扱(あつか)うように俺(おれ)の横腹(よこばら)に靴(くつ)先をポコポコ当てた。俺(おれ)と同様に呆(あき)れ気味なトゲトゲさんが仕方なく蟻(あり)を探(さが)している間も、彼女(かのじょ)は俺(おれ)の肩上(かたうえ)でずっとユサユサ揺(ゆ)れ続(つづ)けていた。


 数分後、再び蟻(あり)玉を発見したトゲトゲさんが、尻尾(しっぽ)でコツコツと地面を叩(たた)き、合図を出した。「二人(ふたり)とも舌を噛(か)まないように」と忠告(ちゅうこく)し、先程(さきほど)と同じように尻尾(しっぽ)をジャンプ台に見立てて飛び上がった俺(おれ)たちは、森の上層(じょうそう)から蟻(あり)たちの姿(すがた)を探(さが)した。砂埃(すなぼこり)を立てながら大まかなの位置を伝えてくれたトゲトゲさんに礼を言った俺(おれ)は、肩上(かたうえ)の二人(ふたり)と頭上のポンチョを落とさぬよう、一気に蟻(あり)玉との距離(きょり)を詰(つ)めていく。


「リッケさん、どっちを目指せばいいですか!」


「まずは蟻(あり)玉の前方に出てください! そしたら今度は、左右に木々が並(なら)んでいる場所を探(さが)してください!!」


「木々が並(なら)んで?」


「彼(かれ)らが真(ま)っ直(す)ぐこの『楽しい楽しい棲家(すみか)ちゃん』を見つけられるように、見通しが良いところに設置したいのですよ!」


「了解(りょうかい)」と返事した俺(おれ)は、蟻(あり)玉を見逃(みのが)さぬよう注意しながら、鳥の目線(バードアイ)で前方の景色(けしき)を捕捉(ほそく)する。そして都合の良さそうなポイントを見つけるとすぐに、その場所へ先導するように水を撒(ま)き、進む方向を限定させてやる。


 水を避(さ)けるように進んだ蟻(あり)たちが、俺(おれ)の狙(ねら)ったポイントへと流れていく。「キタキタキター!」と叫(さけ)んだリッケさんは、一気に蟻(あり)玉の前に出た俺(おれ)の肩(かた)から落ちてしまうくらい前のめりになりながら飛び出すと、木々の合間にドンと装置(そうち)を置いた。


「さぁさぁ蟻(あり)ちゃんたち、バッチこいやー!!」


 迫(せま)る蟻(あり)玉を間近に見つめながら彼女(かのじょ)が叫(さけ)んだ。ううぅと今にも泣き出しそうに肩(かた)を震(ふる)わせているマーロンさんは、もうその瞬間(しゅんかん)が見ていられないのか、堅(かた)く目を瞑(つぶ)っていた。……なんかカワイイ。


 準備万端(ばんたん)の捕獲(ほかく)装置(そうち)。

 木の影(かげ)に隠(かく)れて見守るリッケさんとマーロンさん。

 そして、いよいよ迫(せま)る蟻(あり)玉。


 木々の隙間(すきま)を縫(ぬ)うようにして進んでくる蟻(あり)たちは、ジグザグに全(すべ)てを巻(ま)き込(こ)みながら超(ちょう)スピードで駆(か)けていく。「ヨシ!」とリッケさんがガッツポーズを取ると同時に、ついに蟻(あり)玉が装置(そうち)の寸前(すんぜん)まで迫(せま)った。



 …………………。


 …………。


 ……。



 あれ……?



 装置(そうち)の目前でポコンと跳(は)ねた蟻(あり)玉が、右側の木々を巻(ま)き込(こ)みながら装置(そうち)の真横を通過していった。皆(みな)が皆(みな)、頭上に「???」を浮(う)かべながら、走り去った蟻(あり)玉の後(うし)ろ姿(すがた)を眺(なが)めている。




 …………どういうこと?


 口を開け、目が飛び出るほど見開いたリッケさんは、「んんん?」と首を捻(ひね)る。そしてウンウンと頷(うなず)いてから、「少々手違(ちが)いがあったみたいですね」と気を取り直し、「もう一度、前に出ていただけます?」と依頼(いらい)した。


「は、はぁ……」


「い、今のはちょっとした手違(てちが)いですわ! 私(わたし)がほんの少しこれを置くのに手間取ったのが悪かったんです。そうに決まっています!」


 腕組(うでぐ)みしながらウンウン頷(うなず)いた彼女(かのじょ)を担(かつ)ぎ、俺(おれ)たちは再び蟻(あり)玉を追いかけた。そして再び同じような条件のポイントを探(さが)し当(あ)て、先回りして彼女(かのじょ)を降(お)ろした。


「さぁ今度こそ、わたくしの豪華(ごうか)で美しいお家(うち)に飛(と)び込(こ)んでいらっしゃい!」


 準備万端(ばんたん)の捕獲(ほかく)装置(そうち)。

 木の影(かげ)に隠(かく)れて見守るリッケさんとマーロンさん。

 そして、いよいよ迫(せま)った蟻(あり)玉。


 木々の影(かげ)に隠(かく)れて拳(こぶし)を握(にぎ)ったリッケさんは、その瞬間(しゅんかん)を今か今かと待(ま)ち侘(わ)びている。その隣(となり)では、「そうよね、彼女(かのじょ)は専門家(せんもんか)ですものね」と自分を納得(なっとく)させようと努めているマーロンさん。うーん、いじらしい。


 超(ちょう)スピードで接近する蟻(あり)玉。そして待ち構える怪(あや)しい装置(そうち)。


 まったなし一本勝負、

 いよいよ開始です!



 …………………。


 …………。


 ……。



 うん……?



 装置(そうち)の目前で左に逸(そ)れた蟻(あり)玉が、隠(かく)れていたリッケさんとマーロンさんを巻(ま)き込(こ)んで、何事もなかったように素通(すどお)りして走り去った。サーっと森の奥(おく)へ消えていった蟻(あり)たちと、呆然(ぼうぜん)とそれを見送った俺(おれ)たち。しかし俺(おれ)の視線(しせん)は、その隣(となり)に立っていた二人(ふたり)に釘付(くぎづ)けにされてしまった。あらら、これはダメだ……



「え、ええと、お二人(ふたり)様。呆然(ぼうぜん)としてるとこ悪いんですが、まずはその……、蟻(あり)よりもご自身の心配を……」


「ご自身?」と同時に呟(つぶや)いた二人(ふたり)が、互(たが)いに互(たが)いの姿(すがた)を見合った。

 蟻(あり)の行列に巻(ま)き込(こ)まれたお二人(ふたり)はもちろん無事なんですが。

 まぁその……、ねぇ?


「え、リッケさん? どうしてはだ……、か!?」


「マーロンさん? アナタどうしてお胸(むね)を……ホエッ!?」


 同時に悲鳴を上げた二人(ふたり)がペタンとその場に座(すわ)り込(こ)み、体を隠(かく)した。俺(おれ)はすぐに視線(しせん)を逸(そ)らし、ヒューと口笛を吹(ふ)きながら明後日(あさって)の方向を向いて誤魔化(ごまか)してみる。


 着ていた衣服の一部を蟻(あり)に食われ、「キャー!」と慌(あわ)てている二人(ふたり)に大きな布をトスした俺(おれ)は、「何も見てません、見てませんよ~」と呪文(じゅもん)のように呟(つぶや)きながら他人のフリを決(き)め込(こ)んだ。アウアウ半泣き状態で布に包(くる)まった二人(ふたり)は、「見ましたよね!?」と凄(すご)い剣幕(けんまく)で迫(せま)ってくる。


 はい、見ましたよ。

 見ましたけど、決して見てませんからッ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。