表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第6章 みんな大好きモコモコ村!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

316/318

第316話 くちゃ~い


 マーロンさんが足元に置いてた二本のククリ刀を(わた)そうとする。

 しかし(おれ)は首を()り、「これはマーロンさんが使って」と断った。


「えっ、それはダメだよ。これはトアのものだし、何よりこんな高価なもの(わたし)は受け取れないよ!」


「それはもう(おれ)には必要ないからね。見てよコイツの顔、マーロンさんに使ってもらって、こんなに嬉しそうにしちゃってさ」


 使用する武器には向き不向きがある。

 何より(おれ)が過去にククリ刀を使っていた理由は、本来の姿(すがた)誤魔化(ごまか)すため、矮小化(わいしょうか)させた()まわしき身体のサイズをもとに導き出したものだった。今は骨格(こっかく)従来(じゅうらい)の手を加えていない状態に(もど)し、あの頃のように小さな姿(すがた)でいる必要がなくなった。よって(おれ)にとってのククリ刀は、(すで)にその役目を終えたと言っていい。


「でも(おれ)が使ってた(いわ)()きの物だし、(いや)なら使わなくていいよ。()てちゃっても構わないし」


(いわ)()き、かぁ。確かにそうかもね。…………でも、そっか。なら(わたし)が使ってもいいのかも」


「……え?」


「ただ単純に遠ざけるだけなら、自分を誤魔化(ごまか)しているだけで話は終わっちゃうけど、これを(わたし)に持たせようってことは、トアが過去の過ち(こうかい)をずっと(わす)れずにいようってことだからね。あ、だけど本当に(のろ)われてたら()てちゃうかも♪」


 あっけらかんと言う彼女(かのじょ)の言葉に、思わず()()してしまう。

 やっぱり(おれ)は、いつも彼女(かのじょ)のポジティブさに救われてばかりだ。


「あれ……? ねぇトア、ちょっとこれ見てみてよ」


 何かに気付き、彼女(かのじょ)がククリ刀の一部を指さした。そこには刀身に小さく文字が(きざ)まれており、(おれ)は目を細め、その文字を読み上げてみた。


「ええと、なになに。(エドワード)、.……ガロ、ウ? あれ?」


 彼女(かのじょ)と顔を見合わせる。

 そして首をひねり、なんだかどこかで聞いたことある名前だねと(おも)()かべる。

 ………… あらっ!


「そうだ、そういえばずっと引っかかってたんだよ。初めてオッサンの名前を耳にしたとき、どっかで見た覚えがあるなぁと思ってたんだ!」


 E.ガロウ。もはや言うまでもない。

 エドワード・ガロウといえば、ギルド「クリムゾン・グローリー」の代表であり、魔道(まどう)具界最大の権威(けんい)である、あのジイさんの名前だ。


「え、これ、おじいちゃんの作った剣だったの!? もしかして直接作ってもらったとか?」


「いや~、それは随分(ずいぶん)昔に装飾(そうしょく)用に依頼(いらい)して作らせたものを貴族(きぞく)からゆずってもらった(※かっぱらった)ものなんだけど……。そっか、ジイさんの刀だったのか。道理で質がいいはずだ」


 以前から名前に聞き覚えがあった理由が判明し、これまた(すご)偶然(ぐうぜん)だと苦笑い。しかしそんな武器を使って過去の自分自身が血塗(ちぬ)られた歴史を積み上げていたのだと思うと、やはり複雑な心持ちは消せそうにない。


「ねぇトア、……また余計なこと考えてるでしょ?」


 (うつむ)いていた(おれ)のデコをツンと()いた彼女(かのじょ)は、どれだけ考えたところで過去は消せないよと抑揚(よくよう)なく告げ、これからは(わたし)がククリ刀を使わせてもらいますと小さく会釈(えしゃく)した。


「なぁによ、なになに~!? アンタたち、二人(ふたり)だけ(はな)れてイチャコラしちゃってるわけ~? こぉら、そっちのバカな男ども! こっちでシッポリ楽しんでる二人(ふたり)の分の酒をもってこーい!」


 (はな)れて会話していた(おれ)たちのことに気付き、ハメを外して()(ぱら)ったニコルが千鳥足でやってきた。「おうよ!」と返事したバーサムとランドが酒を片手(かたて)()()り、さらにシルシルとポンチョも輪の中に()()んできた。


「うるせぇバカ(ばか)野郎(やろう)、マーロンさんとの二人(ふたり)きりの時間を邪魔(じゃま)すんじゃねぇ!」


「なぁにが二人(ふたり)きりの時間じゃボケ! ここは天下の回廊(かいろう)下層(かそう)(いき)なんだかんね。ほ~れ、テメェらも言ってやれ!」


 ニコルの(あお)りにのせられ、バーサム、ランド、ロッデムの三人が(おれ)たちに酒を持たせてイッキコールを始めた。(おく)れてやってきたシーリカが(あき)れながらランドの頭をゴツンと小突(こづ)き、ドッと笑いが起きる。


「あのなぁ、ハメ外して飲むのは構わないけど、ここはまだダンジョンの途中(とちゅう)で、まだ先だって長いかもしれないんだぞ。それに――」


 と、(おれ)忠告(ちゅうこく)をしようとした時だった。

 (さわ)いでいる(おれ)たちの背後(はいご)で『ゴリッ』と岩が()れるような音が響き、さすがの四バカもすぐに口を()じて音のした方向を見つめた。


「あ、(あに)さん……。今そこんとこで変な音しませんでした?」


 確かに(おれ)にも聞こえた。

 というより、いわゆるボス部屋(べや)の主を討伐(とうばつ)した直後ということで油断していたというのが本音だろう。まさか主であるエメラルドドラゴンフライ以外の魔物(まもの)部屋(へや)の中にいるなどとは考えてもおらず、すぐに探知(たんち)を使って音がした場所を(さぐ)ってみる。


 ()ざされた(かべ)のさらに奥。(かす)かだが、本当に何か反応がある。

 全員が緊張感(きんちょうかん)を高める中、スンスンと鼻を鳴らしたポンチョがムムムと顔をしかめた。そして鼻を(つま)み、「くちゃ~い」と文句を言っている。……くちゃい?


「……(くさ)いって、なんだってそんな」


 (ほか)の面々を待機させたまま、反応のあった壁際(かべぎわ)に近付いてみる。

 すると確かにプンと鼻を()すような(にお)いが(ただよ)い、(おれ)も同じく顔をしかめてしまう。


 近寄って初めてわかったのだが、(かべ)(そで)には(わず)かに亀裂(きれつ)が走っており、どうやら奥の隙間(すきま)に空間があるようだ。鼻を(つま)んで(おそ)(おそ)亀裂(きれつ)の中を(のぞ)()んだ(おれ)は、そこでモゾッと動いた『何か』と目が合い、「ハァ?」と声を出してしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ