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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第209話 やっちゃえ狂暴狼!


 悲痛(ひつう)覚悟(かくご)(うなず)くネイサン。

 そんな流れで不本意ながら願いを聞き入れることに決めた(おれ)は、そこで初めて(かれ)から今回の目的を聞かされる流れとなった。


 ()()(うそ)かと思いきや、この男、本当にキュリオス王国の商業ギルド「ホワイトコースト」の代表であり、かつ王国から正式に依頼(いらい)を受けて公国に派遣(はけん)された使者だった。さらに詳細(しょうさい)な話をすれば、先日の長雪に際し、コーレルブリッツ公国から受けた支援(しえん)に対する謝礼という名目で(つか)わされた品について、ネイサン属するギルドを経由してやり取りする段取(だんど)りとなっていたらしく、(かれ)(いわ)く絶対に失敗できない取引だったのだという。万が一にも失敗すれば、ネイサンだけでなくギルド本体についても()(つぶ)し、最悪は死罪もあり得ると(なみだ)ながらに語っていた。


「本来ならば、(わたくし)のような商業ギルドの代表者ではなく、()(くに)の代表であるキュリオス王自らが御礼(おんれい)に参るところではございますが、(たが)いに多忙(たぼう)(きわ)める身。さらには此度(こたび)支援(しえん)の件、ランヴィル公爵(こうしゃく)様のお導きにより、表向きは公国主導ではなく『公国内の商業ギルドによる支援(しえん)』としていただいたことから、こうして(われ)らキュリオスの商業ギルドが仲介(ちゅうかい)役となり、参上することに相成りました。それなのに!?」


 王から直接(たまわ)った品を紛失(ふんしつ)してしまった、と。

 子供(こども)のようにエグエグと(なみだ)を流すネイサンの首を「とぉ!」とチョップした(おれ)は、とにかくうるさいので(だま)れと(かた)(かつ)いだ。


「ウゲェッ!? い、いやハク様、一体何を!!?」


「いいからしばらく(だま)ってろ。じゃあシルシル、(もう)(わけ)ないけど(たの)むね」


 すると(かげ)の中から突如(とつじょ)姿(すがた)を現したシルバーグロウウルフのシルシルがコクリと(うなず)いた。突然(とつぜん)の高ランク魔物(まもの)の出現に驚愕(きょうがく)したネイサンは、目の前で動くシルシルの巨大(きょだい)な顔面に悲鳴を上げることすらできず、その場で卒倒(そっとう)し気絶してしまった。


「村長殿(どの)、これから何処(どこ)へ?」


「コイツが落とした荷物を回収(かいしゅう)したい。悪いけどキュリオス王国との国境付近まで運んでもらえるかな」


「心得えました」


(いそが)しいのに悪いね。今度美味(おい)しいご飯をご馳走(ちそう)するからさ」


「それは楽しみです」と()()したウルフの()()られ、(おれ)たちは一路キュリオス王国との国境へと出発した。町の北西に位置するマイルネ(わん)並行(へいこう)するように広がっている北の平原を()けると、両国を分かつように切り立った急角度の山脈が見えてくる。以前にキノコを採取するため(おとず)れたテレメタリック渓谷(けいこく)からほど近い山脈の数々は、冬場は陸の孤島(ことう)()ばれるほど(はげ)しい風雪が()()れるため、船を使って海側の経路を辿(たど)ることがほとんどだ。しかし温かい夏季の期間は、道のりこそそれなりに険しいものの、際立(きわだ)って強大な魔物(まもの)が現れる地区ではないため、陸路を使う場合も多いという。現にキュリオス王国の使者であるネイサンも、多数の冒険者(ぼうけんしゃ)(やと)い、山越(やまご)えをしている最中に魔物(まもの)の群れに(おそ)われたらしい。


 (ちょう)スピードで平原を()()けたシルシルは、そのまま海沿(うみぞ)いの浜辺(はまべ)並走(へいそう)しつつ、目の前にそびえる山々の合間に入り、目的の場所を目指して進んでいく。目を回したまま大口を開けて(たお)れているネイサンが静かなうちに、さっさと目的を果たしてしまうとしよう。


「シルシル、(にお)いで落としたアイテムの場所が(さぐ)れそうかな?」


「モノが水の中でなければ可能かと。しばしのお待ちを」


 ネイサンの(にお)いを(たよ)りに山間に入った(おれ)たちは、どこかに存在(そんざい)するであろう(かれ)の備品を(さが)して野山を()(まわ)った。するとしばらくして、山の中腹(ちゅうふく)で足を止めたシルシルが、フンフンと鼻を鳴らし始めた。


「どうかしたの?」


「いいえ……、この辺りで此奴(こやつ)(にお)いに加えて、何やら別の(にお)いが混じっており」


「別の? それって魔物(まもの)かな?」


「いいや、……これは(おそ)らく人のものかと」


「人? でもコイツ、魔物(まもの)(おそ)われたんじゃ……」


「どちらにしても、(さが)してみればわかるというもの。ここより先はさらに足場が悪くなります。どうか舌を()まぬように」


 そういうなり、シルシルは谷底を目掛(めが)けて直滑降(ちょっかっこう)山肌(やまはだ)(すべ)(はじ)めた。あまりのGに目を覚ましたネイサンは、目前にあるシルシルの顔面の迫力(はくりょく)と、(おそ)ろしい速度で真っ逆さまに谷底へ落ちていく恐怖(きょうふ)にやられ、再び失神して気を失った。


「まったく(にぎ)やかな(やつ)め。それにしても、『(にお)いのもと』は本当にこんな場所を?」


「まず間違(まちが)いなく。しかし(みょう)ですな、なぜこのように人が()けるような場所を、わざわざ選び進んでいるのか」


「だね。これはまた、急激(きゅうげき)にきな(くさ)くなってきたんじゃない?」


 谷底に到達(とうたつ)すると、今度は再び山肌(やまはだ)を登り始めた。

 こんな道を、通常の冒険者(ぼうけんしゃ)がわざわざ選択(せんたく)するはずがない。

 何より馬車で運ぶほどの物量を、わざわざこんな過酷(かこく)な道を選んで進む理由はなく、まず間違(まちが)いなく何者かの意図が感じられた。


「村長殿(どの)(にお)いが近くなっております。警戒(けいかい)を」


「お、いよいよ敵のお出ましってことか。それにしても早かったね。さすがに敵さんも、この道のりを進むのは時間がかかってたみたいだな」


「どうでしょうか」と相槌(あいづち)を打ったシルシルが、山の(へり)()()って()()がった。すると進行方向(なな)め下の方向で、何者かの(かげ)視線(しせん)を横切った。


「ま、魔物(まもの)ッ!?」


 (かげ)の方向から人の声が上がった。

 さすがに見つかるよねと苦笑いを()かべた(おれ)は、魔力(まりょく)検知で敵の数を把握(はあく)する。(くぼ)みの(かげ)に六人、さらに先の物陰(ものかげ)に四人の反応があり、どれもそれなりの手練(てだれ)なのか、瞬時(しゅんじ)魔力(まりょく)障壁(しょうへき)を発動させていた。


「ビンゴか。まぁでもシルシルの相手じゃないよね?」


「当然。如何様(いかよう)に?」


「殺さずに(たた)()とす程度でお願い」


御意(ぎょい)」と返答したシルシルが一気に速度を上げて集団に()()んでいく。その無言の圧力で再び目を覚ましたネイサンが「ギィエエエエエ!」と(さけ)(ごえ)を上げる間にも、魔力(まりょく)障壁(しょうへき)()(くぐ)ったシルシルが、ひとり、またひとりと相手を()()せていく。うむ、()が村の(たみ)ながら素晴(すば)らしい戦力である。


「なぜこのような場所にシルバーグロウウルフが!? グハッ!」


 荷物を置いて逃亡(とうぼう)しようとした(あや)しい身なりの人物から()(みち)(ふさ)ぐように立ちはだかった(おれ)たちは、武器を身構えた連中に「アンタたち、どこの(だれ)?」と質問してみる。しかし聞く耳を持たない男たちは、問答無用で攻撃(こうげき)仕掛(しか)けてくる。……だったら仕方ないよね?


「やっちゃえ狂暴狼(バーサーカーウルフ)!」


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