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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第208話 一度限り



    ▲ ▽ ▲ ▽ ▲



 翌日(よくじつ)から(おれ)たちは、サワーからの連絡(れんらく)を待つ間、それぞれの面倒(めんどう)事を片付(かたづ)けることに決めて動き出していた。


「これ以上付きまとわれるのも面倒(めんどう)なので、(おれ)はネイサンの件を片付(かたづ)けてきます」


「ええと、なら(わたし)はパールさんに任せている情報精査のお手伝(てつだ)いと、()まりに()まってる村のお仕事を進めておくよ」


 (たが)いにわだかまりが(すべ)て解消されたわけじゃない。しかしそれを理由にギクシャクし続けるなんてもってのほかだ。

 だったらそれぞれがすべきことをしようという結論(けつろん)に落ち着き、(おれ)たちは一旦(いったん)二手に別れ、それぞれの仕事をこなすことに決めた。


「マーロン、だいじょぶ?」


大丈夫(だいじょうぶ)だよ~、ポンチョは(やさ)しいね♪」


 頭を()でてくれたマーロンさんに手を()り、(おれ)とポンチョは先の約束を守り、(いま)(せわ)しなく冒険者(ぼうけんしゃ)が出入りしているギルド窓口(まどぐち)(おとず)れた。


「あら、村長さん。今日(きょう)はマーロン様は不在なの?」


「おはようございます、ローリエさん。本日はちょっとばかし別件で――」


 と言いかけたところで、入口の(とびら)がドカンッと開いた。そこには(かた)呼吸(こきゅう)しているネイサンが立っており、(おれ)姿(すがた)を見つけるなりすがりつき、「よ゛がっだぁぁぁ゛!」と泣きべそをかいた。


「もう見捨(みす)てられたとおぼっでばじだー!(号泣(ごうきゅう))。アリがどうごじゃいバズー!(スピピー)」


「うるさい静かにしろ。悪いが今日(きょう)(おれ)ひとりだ。……マーロンさんは、お前が(きら)いみたいだからな」


 昨日(きのう)のことを思い出したのか、ネイサンがシュンとして(ちぢ)こまった。「あ、静かになった♪」とローリエさんは楽しそうだけど、(おれ)としてはコイツのことをどう(あつか)って良いものかわからず、頭が(いた)いばかりだ。


「先に言っとくぞ。(おれ)がお前と(かか)わるのは今日(きょう)が最初で最後だ。(おれ)はお前の親でもなければ、お(もり)役でもない。()()()()()()()()だ。わかったな」


 何か言いたそうな表情を見せるも、ムググと言い(とど)まったネイサンは、「わかりました」と(うなず)く。どうやら(かれ)自身、昨日(きのう)のことで考えることでもあったのだろう。ようやくまともに話ができるようになり、こちらとしては助かった。


「それでどうするんだよ。サワーさんに(わた)さなきゃいけないものがあったんだろ?」


 するとネイサンは、初めて見せる真剣(しんけん)な表情で胸元(むなもと)に手をやると、一巻(いっかん)の書状を右手に(かか)げた。


「それは?」


「王国商業ギルドを代表し、第三王妃(おうひ)であられるキュリオス・リベリウス様より(たまわ)った書状です」


「お、王妃(おうひ)? なんでお前がそんなものを……」


「こうみえて(わたくし)、本当にそれなりの立場の人間なんです。近頃(ちかごろ)(あわ)ててばかりで失敗続きでしたが、これでも大手商業ギルドの代表なのですから」


 書状をしまったネイサンは、(おれ)とローリエさんの正面で正座(せいざ)をすると、今度は深々と頭を下げた。そして困惑(こんわく)する(おれ)たちに向かって「お願いいたします!」と懇願(こんがん)した。


(わたくし)、このままでは本国へ帰ることすらまかりとおらず、さらには両国間の関係にヒビを入れてしまう状況(じょうきょう)にございます。そこでどうか、このネイサンの願いをお聞きいただけないだろうか!」


 窓口(まどぐち)で急に土下座(どげざ)を始めた男に冒険者(ぼうけんしゃ)たちがざわつき始めた。「やめろやめろ」と(あわ)てて立たせようとするが、(かれ)(がん)として(ゆず)らず、「お聞き入れいただけるまで、この頭を上げることはございません!」と宣言(せんげん)した。


「ちょっと(こま)るんですよ。村長さん、どうにかしていただけますか?!」


「そう言われても。だったらギルドの方で冒険者(ぼうけんしゃ)でも斡旋(あっせん)してあげたら良いのでは?」


「まぁ、それは構いませんが……。ところでネイサン様、失礼ですがお手持ちの方は……?」


「残念ながら、本国へ(もど)ることが(かな)わぬままでは金銭を用立てることすら(むずか)しく、即金(そっきん)でお支払(しはら)いできかねます」


「う~ん、でもギルドへの依頼(いらい)は最低でも前金として半額分をお(おさ)めいただかなければいけないと規則で決まっているものですから、お手持ちがないとなると……」


「そこをどうか! 是非(ぜひ)!!」


 土下座(どげざ)の格好のまま一向に頭を上げないネイサンに代わり、こそこそと費用についてローリエさんに確認(かくにん)してみる。北に位置するキュリオス王国との国境付近へ向かうのであれば、あの険しい連山を()えることとなり、それなりの手練でなければクエストの受諾(じゅだく)(きび)しいだろう。最低でもCランク程度の冒険者(ぼうけんしゃ)を複数(やと)うことになるに(ちが)いない。


「そうなりますと、期間を一週間と見積もっても、少なくとも大金貨2~30(まい)程度の費用に加えて、遠征(えんせい)にかかる費用が必要となりますので、まず不可能かと……」


 目の前の頭を下げた男の状況(じょうきょう)を見るや、どうやらすかんぴんで手持ちもほとんどなさそうだ。よって、残り数日で目的を果たすなど無謀(むぼう)に近かろう。


「もちろん後ほど本国へと(もど)った折には、耳を(そろ)えて費用はお支払(しはら)いさせていただきます。ですからどうか、どうか!」


 ローリエさんが(おれ)の方をチラリと見やる。

 しかし(おれ)には金を(はら)ってやる義理もなければ義務もない。何より金を貸したところで、こんな面倒(めんどう)な人物の依頼(いらい)を受ける人間がいるとは思えない。


「はぁ」とため息をついた(おれ)は、土下座(どげざ)しているネイサンのあごを(つか)んで引き上げると、「で、何をしてほしいんだ」と質問した。するとパァァァと表情を豊かにしたネイサンは、(おれ)の手を強く(にぎ)りしめ「手伝(てつだ)っていただけるのですか!?」と()()ってきた。


「ああもう近い、(はな)れろ。仕方ないから手伝(てつだ)ってやる。だが今回限りだ。わかってるな?」


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