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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第205話 疲弊した男


昨日(きのう)もそう言っただろ。どうしたらそんな重要なことを(わす)れられんだよ……」


 いつかのようにおんおん泣き出したネイサンが「どうしましょう!?」と泣きついてきた。いや、知らんし。


「今さらどうにもならないし、(あやま)るしかないんじゃない?」


「あ、(あやま)ってどうにかなるものじゃないんですよ!? もしあの品を紛失(ふんしつ)したなどと本国に知れれば、最悪は死罪、いや、間違(まちが)いなく死罪だぁ。あわわわわ」


 今度はガクガク(あわ)()きながら(おび)(はじ)めた。

 コイツ、マジでなんなんだよ……。


「ちょっとハクさん!? どうしてくれるんですか、このままじゃ(ぼく)殺されちゃいますよ!」


「知らんし……。お前自身のせいだろ……」


「しどい! どうしてこんなに(こま)ってる人をそんな冷たく()(はな)せるんですか!? (ぼく)が殺されてもいいんですか!!?」


「仕方ないんじゃないの。()くしちゃいけないもの()くしちゃったんだし。とにかく(あやま)るしかないって」


(あやま)って許されるくらいなら、(ぼく)のクビなんか飛びませんよ! こうしちゃいられない。すぐ(さが)しに行かなくては」


 ダバダバ(あわ)(はじ)めたネイサン。

 これ幸いと、笑顔(えがお)(うなず)き手を()った(おれ)


「ってハクさん!? そこは『(おれ)手伝(てつだ)ってやる』って言うとこじゃないんですか!!? 殺されちゃうんですよ!!」


「そう言われましても。アンタを助ける義理もなければ、時間もないの。ごめ~んね」


 ガーンとショックを受けて(ひざ)をつくネイサン。

 ここぞとばかり、(うれ)しそうに(かた)をポンポンしてやるポンチョ。

 これにはネイサンも「ムギギギ」と(くや)しそうにしている。同レベルか!


「もういいです! こうなったら一人(ひとり)で行きます。……止めても無駄(むだ)ですよ!?」


「止めないけど」


貴方(アナタ)は血も(なみだ)もないんですかッ! 止めてくださいよ!!」


「おっと、そんなこと言ってる間に約束の時間になってしまった。先方にはアンタも行くって言ってあったんだよな。どうすんだ?」


 (すで)に行くと伝えてしまった手前、それをすっぽかすなど国交問題にすらなりかねない。しかし本来の目的である友好の品の納入(のうにゅう)ができない以上、成すべき仕事もない。急激(きゅうげき)目眩(めまい)(おそ)われたネイサンは、そのまま大の字に(たお)れ、「(ぼく)を殺してください!!」と町中に(ひび)(わた)るほどの声で(さわ)ぐのだった。


「ね、ねぇ、トア……?」


「む、むぅぅ。ひ、ひとまず仕方ないですね。本当になんなんだよコイツは!」


 この男、このまま放置すれば何をしでかすかわかったものじゃない。

 (おれ)は仕方なくネイサンを(かつ)()げ、そのままサワーに指定された王城(おうじょう)の一室へと向かうことにした。


「ちょ、ちょっとハク様!?」


「うるさい(だま)れ。お前はもう(しゃべ)るな」


 魔法(まほう)で男の口にふたをした(おれ)は、服の襟元(えりもと)を正しつつ、公国城門(じょうもん)の前に立った。「ンンー!?」ともがくネイサンを(かつ)いだまま通された(おれ)たちは、いつか見た(おごそ)かな来賓(らいひん)室へと招かれ、否応(いやおう)なしに緊張感(きんちょうかん)が高まっていく。


 しかしサワーが現れる前に、ひとつやっておかねばならないことがある。

 (おれ)はイモムシのように(うごめ)いているネイサンに指を一本立て忠告(ちゅうこく)する。


「これからアンタにかけてる魔法(まほう)を解いてやる。だが絶対に大きな声を出したり、不要なことを(しゃべ)るな。もし約束を破れば即座(そくざ)(だま)らせる。わかったか?」


 目玉をぐるぐる回しながら何度も(うなず)く男に不安を感じながらも、仕方なく魔法(まほう)を解いてやる。すると即座(そくざ)(さけ)ぼうとするため、今度は手でバカの口を(ふさ)ぎ、「(だま)れと言っただろ!」と忠告(ちゅうこく)する。すると――


(だま)れとはそれなりだね。失礼するよ、村長殿(どの)


 不意に背後(はいご)から声が聞こえてくる。

 ビクッと背筋(せすじ)()ばした(おれ)は、「い、いえ、こちらの話で」と訂正(ていせい)し、姿(すがた)を見せた人物に頭を下げた。


「まったく……。キミという男は、次から次に色々とやってくれるねぇ。まぁいい、とにかく()けたまえ」


 部下数名を連れて現れたのはサワーだった。

 どうやら随分(ずいぶん)疲弊(ひへい)しているのか、(ひど)(だる)そうに腰掛(こしか)けるなり、ふぅと項垂(うなだ)れながら(ひじ)をつく。(おれ)はネイサンの耳元で「静かにしろよ」と忠告(ちゅうこく)しつつ、対面する椅子(いす)(なら)んで腰掛(こしか)けた。


「それで此度(こたび)はどのような要件だろうか。(もう)(わけ)ないのだが、こちらも少々多忙(たぼう)でね。キミの(たの)みでなければ断っていたところだよ」


 先の件でご立腹(りっぷく)ではあるものの、ひとまず(とが)められることはなさそうだと安堵(あんど)する。

 しかし何度もため息をついている様子からも、お世辞にも機嫌(きげん)が良いとは思えない公爵(こうしゃく)補佐(ほさ)様を刺激(しげき)するのは得策(とくさく)じゃない。(おれ)は余計な話題に()れぬよう、極力情報量を減らし、端的(たんてき)に切り出した。


「では単刀直入に。実は我々(われわれ)、アナグマ族の獣人(じゅうじん)(さが)しており、もしサワー様に覚えがございましたら紹介(しょうかい)をいただけないかと」


 ふむと目を(つぶ)ったサワー。

 しかしすぐに細い目を向け、(ひたい)に手を置きながら言った。


「それを(わたし)紹介(しょうかい)したとして、()(くに)にどのようなメリットが?」


 さすがは公爵(こうしゃく)補佐(ほさ)様、話が早くて助かります。


冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドのテーブル氏よりお()(およ)びかと(ぞん)じますが……。もし此度(こたび)の件が首尾(しゅび)よく進みました折には、今度こそ、その品を献上(けんじょう)することをお約束いたします」


「今度こそ、ですか」とサワーがため息をつく。


 (かれ)がそう思うのも無理はない。

 なにせ(おれ)たちは、以前にも大きな失態を(おか)しているのだから。


 しかし――


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