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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第203話 違和感


 そうして(にぎ)やかな食事を終え、しばしの休息をとっているうちにも夜は深まっていった。食べ終わるとすぐに(ねむ)ってしまったポンチョを頭に乗せた(おれ)は、マーロンさんとともに後片付(あとかたづ)けを()ませ、出発の準備を整えていたのだが。


「おいおい、マジかコイツ……」


 ひとしきり食べて飲んで(さわ)いだ挙げ句、ネイサンがこれでもかと大の字になって()ていやがる。ペシペシ(ほお)(たた)いてみるが、深く深く()()まれたように(ねむ)っており、どうやら目を覚ましそうもない。


「自由にも(ほど)があるだろ。ったく、しょうがねぇなぁ」


 男を(かつ)いで馬の()(くく)()けた(おれ)たちは、「じゃあ(もど)りますか」と一路マイルネへと帰ることにする。


 ズーピーいびきをかいている間抜(まぬ)け男の腑抜(ふぬ)けた(つら)に対して、どこかずっと()かない顔をしているマーロンさんのことが気掛(きが)かりではある。しかし夜遅(よるおそ)くまで残業して待機しているローリエさんのイライラ顔が目に()かび、少しだけ足早に帰路を急ぐのだった。


 壁門(へきもん)の衛兵に礼を言い、マイルネの町に入った(ころ)には、随分(ずいぶん)と夜も深くなっていた。「(おそ)くなっちゃったね」と苦笑いをこぼした(おれ)は、さすがに()まってるかなと思いながらもギルド本部の(とびら)(たた)いた。しかし煌々(こうこう)()かれた明かりの中、(いま)(いそが)しそうに仕事をしているローリエさんの姿(すがた)窓口(まどぐち)に見えていた。


「うわぁ、まだ働いてる。……ブラックですね」


「あ、ハクさんにマーロン様。お(つか)れさまです~」


 台座(だいざ)に上半身をぐったり(ゆだ)ねながら手を()ったローリエさんは、どうやら随分(ずいぶん)とお(つか)れのご様子。昼間同様、冒険者(ぼうけんしゃ)姿(すがた)はまちまちなものの、職員さんたちは夜中も(いそが)しそうに働いています。ご苦労さまです。


「ご注文の品を、お(とど)けに参りましたー((ぼう))」


「あら本当に採ってきてくれたんですね! 助かります~。ハクさんが納品(のうひん)してくれる素材は高品質のものばかりで、いつも引く手数多(あまた)なんですよ~」


 台に置いた素材の束を強奪(ごうだつ)するように回収(かいしゅう)した彼女(かのじょ)は、(おれ)たちに()を向けたまま悪徳商人のように中身を確認(かくにん)し、「オホホホ」と誤魔化(ごまか)すように向き直りドスンと布袋(ふくろ)を置いた。


「今回の報酬(ほうしゅう)です。お受け取りください♪」


「あ、あはは……、ど、どうも……」


「それにしても、随分(ずいぶん)と時間がかかりましたね。いつものお二人(ふたり)であれば、もう少しお(もど)りも早いかと思ったのに」


 と言われ、(おれ)とマーロンさんは同時に(しぶ)い顔だ。改めてギルド入口に()めていた馬の上からネイサンを()ろした(おれ)は、まだ間抜(まぬ)け面を(さら)して(ねむ)っている大マヌケを窓口(まどぐち)前の(おど)()に放り投げた。


「アガッ!? イテテテ、……ハッ!? こ、ここは、(わたくし)はどうなって!!?」


 地面に顔をぶつけ、ようやく目を覚ました男がキョロキョロと挙動不審(きょどうふしん)に周りを見回している。そして数秒後、近くで(あき)れている(おれ)姿(すがた)を見つけ、「は、ハク様~」と泣きついてきた。


「ここがどこかは(ぞん)()げませんが、(わたくし)めをお助けいただいたのですね! ああ、不肖(ふしょう)(わたくし)、ネイサン・マリオネットは、貴方(あなた)様のお(やさ)しきお心遣(こころづか)いに感服するばかり! 一生ついていかせていただきますぅ!」


 足にしがみつくネイサンを蹴飛(けと)ばしてローリエさんの前に差し出した(おれ)は、「この魔物(まもの)も買い取ってもらえますか」と単調に言った。


「ハク様!?」と(あわ)てふためきながら自分は人間ですと釈明(しゃくめい)しているネイサン。それから無の表情をしている(おれ)たちに改めて深々とお辞儀(じぎ)をしながら自己(じこ)紹介(しょうかい)をした。


(わたくし)、北はキュリオス王国にて商業ギルド『ホワイトコースト』を営んでおりますネイサン・マリオネットと申します。此度(こたび)は公国との交易品をお(とど)けするため、こうして直接自ら()(さん)じた次第(しだい)であります。以後お見知り置きを」


 舞台(ぶたい)のフィナーレでも演じるよう大袈裟(おおげさ)挨拶(あいさつ)したネイサンは、くるりと回ってローリエさんの手を取り、チュッとキスをする。嗚呼(ああ)コイツ、なんてアレな(やつ)なんだ……。


「は、はぁ……。それで村長さん、その商業ギルドの代表さんを連れてこられて、(わたし)たち冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドにどのような御用件(ごようけん)なのでしょうか?」


「いや、なんだかうるさい(やつ)なので、あとはローリエさんにお任せしようかと」


 ローリエさんとネイサンの両方から「はい!?」と声が上がる。しかし(おれ)からしたら、それこそ「はい!?」だ。


「ただでさえ(いそが)しいのに、余計な仕事を()()けないでくださいよ! ええと、ネイサンさんでしたっけ? あとはそちらのハクさんの方で」


「そ、そうですよハク様! 不肖(ふしょう)ネイサン、今後はこの身をハク様のためにお(ささ)げする所存(しょぞん)なのですよ!?」


 すがりつく男を足蹴(あしげ)にした(おれ)は、これ以上構ってられるかと放り投げ、ピラピラと手を()った。そして(さわ)二人(ふたり)強引(ごういん)にギルド内へと()()み、(おれ)たちはようやく面倒(めんどう)なクエストから解放されたのだった。


「まったく……。なんだって(おれ)たちがこんな目に」


 やっと一日のノルマを達成したものの、随分(ずいぶん)と夜も(おそ)くなってしまった。しかしまだまだやることは山積みだ。


「アナグマ族は見つからないし、サワーさんとも会わなきゃならないし、先が思いやられるよ。ったく」


 ひとり(つぶや)いてみる。

 しかしどうにもならない違和感(いわかん)が……。



「マーロンさん……?」


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