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杞憂に終わることはなかった不安は、呆れに変わる。
何をどうしたらこんな子供がお金になるのか。
「僕、そんなにお金にならないと思いますが……」
「はっ、小綺麗で良さげな装備してんじゃねーか。これが売れなきゃ村のがきゃ石ころにもならんなあ」
あの村のこどもを売ったりしてるのか……。
ふむ、飢餓に苦しんでるから、そういうこともあるかもしれない。
けど、村が好きで渡すはずもないし、こいつらが好き勝手やった結果なんだろうな。
「えっと、僕を売るとして……どうするつもりで?」
「あ?怯えてんのか?」
いえ、呆れてます。
「大丈夫、優しくしてやんよ」
そう言って手が伸びてくる。
ーースパッ
一閃。一瞬という速度が伸ばされた手首を通り抜け、ポトリと落ちる。
「あ゛ぁあ゛あ゛ぁ゛あ゛っ」
耳障りな。
手首1つ斬られたくらいで。
いや……くらい、じゃなあないな……はは。
「て、手が……俺の手があっ」
「てめえっ、何をした!」
「ガキだと思って嘗めたマネを……っ」
まぁ、怒るよね。
でも、
「そっちから手を出したんですよ」
こっちも少しは怒ってる。