第四十四話
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複数の神社を一箇所にまとめることを『神社合祀』と呼ぶそうです。詞之久居町では勇さんのおじいさんが亡くなった時に、町にある三箇所の神社を一つにまとめるようなことが行われたのだそうです。その際に御神体を自分の神棚に持って来てしまったので、勇さんの家の神棚は先輩にショックを与えるほど強力になったんですかね。
今回、祟神による呪い返し効果で次々とお亡くなりになる人が出てきてしまったということもあって、最終的に玉津先輩のお父さんが町に呼ばれることになったのですが、
「まずは神棚の御神体を移動させて神社の主神とすることを所轄庁に認証してもらって、法務局の方で宗教法人の変更登記を行う必要がありますね」
と、先輩のお父さんは言い出しました。
奈良の時代から女系の神様(稲田の神様)を祀り続けていた土地柄であり、その神様が菅原家のよって退けられ、貶められて来た結果、現在、神様による呪い返しによってボコボコ人が死んでいるような状態です。
毎日、毎日、人が死んでいるのですが、誰かが毒を盛って殺したわけでもなく、ナイフで刺し殺しているわけでもないので事件性はないんです。ただ、ただ、腸が捻り切れたり、心臓が捻り潰されている状態でお亡くなりになっているので、
「「「「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ」」」」
捜査に関わっている警察の人達も、日を追うごとに顔色が真っ青になっています。
神社の名前まで変更するとなれば氏子の方々や地域住民との話し合いが重要になるのですが、猛烈に反対をしていた宮司さんは雷に打たれてお亡くなりになっているので、
「「「「この恐ろしい事態が解決するのなら! 早急にやって欲しい!」」」」
と、皆さん言っておりますし、警察の幹部が恐ろしい亡くなり方をしているとあって、
「こんなに恐ろしいことが早く解決するのなら! 早急に対処して欲しい!」
と言って県知事さんも了承することになり、神社の主神は櫛名田比売として、神社の名前も稲田神社にする変更手続きが行われることになりました。
神社の敷地内には神社の由来が看板に書かれていたりするんですけど、名前が変更になった神社には新たに説明を加えた看板が立てられることになりました。そこには詞之久居島で大量の白骨化した遺体が発見されたことから、宮司が雷で打たれてお亡くなりになったこと。更に加えて詞之久居町で原因不明の死亡案件が立て続けに起こるようになった為、古くから町で祀り続けていた櫛名田比売を主神とし、神社の名前も古くからあった稲田神社に変更することになったということが書かれることになりました。
その後、災いを恐れた町の人々の多くが神社に参拝するようになり、それが功を奏したのか、はたまた島に関わる悪人をあらかた片付けてしまったからなのか、そこは良く分かりませんが、誰かが七転八倒の末に死んでしまうということはぴたりと止まることになったんです。
ちなみにこれは後日譚になるのですが、詞之久居町の稲田神社では、女性に対して非常に暴力的な男性、家庭内暴力予備軍の男性、実際に家庭内で暴力を振るっている男性が参拝をすると、胸の苦しみを訴えて具合が悪くなるという現象が多発するようになりました。
この現象は『世界の不思議と謎』を取り扱うオカルト情報誌にも載ることにもなりましたし、SNS上にも発信されることになったため、
「結婚を考えている男性がいるのなら詞之久居町の稲田神社に参拝するのがおすすめ!」
ということで、他県からもカップルが神社に参拝をしに来るようになったそうです。その結果、詞之久居町は観光地としても栄えるようになるのですが、ごくたまに、
「うっ・・!」
本当に胸が苦しくなる男性もいるのだそうで、
「えええええ〜!」
一緒に参拝をした女性は、結局、交際継続を断念することになるみたいです。
この神社本当の本当にヤバくないか?と言われるようになるのはまだまだ先のことになるのですが、とにもかくにも、事態を解決するためにやって来た先輩のお父さんは私の両手を握りながら言いました。
「たくみが死なずに済んだのはさつきちゃんのおかげだよ〜!」
「いえいえ、私が何かをやったとも思えないんですけど」
「いやいや!さつきちゃんが居なかったら確実に死んでたって〜!」
先輩のお父さんは私の手をぎゅっと握りながら言ったんですね。
「さつきちゃん、申し訳ないんだけど、まだまだ息子は危ない状況みたいなんだよ」
「え?」
「神様級と接触した所為でチャンネルががっちり開いちゃっているというか、何でもかんでも見える状況になっちゃっているでしょう?」
「ええ?そうなんですか?」
「そうなんだよ、いつも以上に見える状態になっているでしょう?」
確かに先輩は町史を読み込んだわけでもないのに詞之久居町の歴史に詳しすぎますし、町で幅を利かせ続けた菅原家の悪行についても詳しすぎるほど詳しいようにも感じましたけれども、
「本当に危ない状況だから、申し訳ないんだけどさつきちゃん、もう少しの間たくみと一緒に居てくれるかな?」
お父さんは私の手をギューッと握りながら言いました。
「夏休みが終わるまでまだ日にちがあると思うんだけど、さつきちゃんにはうちの離れで暮らして欲しいんだよ」
「はあ?また離れですか?」
「うちにはほら、呪物とかも多いから」
「私がまた離れの方に住んだとして、何かが解決するんですか?」
「もちろん解決するよー!」
佐竹さんの事件があった時には生き霊が私に取り憑いていたし、マスコミが安アパートに押しかけて来たということもあって、先輩の家に厄介になっていたのですが、
「えええ?また先輩の家に逆戻りですか?」
どうして私が?とは思ったのですが、
「離れに住みながらうちの神社でバイトをしたらどうだろう?お守りとか神札とか売る簡単な仕事だし、お金になると思うんだけど?」
という先輩のお父さんの言葉に私は二つ返事をすることになったんです。
こうして私の夏休みは警察の取り調べと巫女さん業務で終わることになったのですが、大学も始まってようやっと自分のアパートに帰ることが出来たというのに、
「神村ゼミに入るつもりはある?」
先輩からの勧誘を受けた私は言いましたとも。
「いや、別のゼミに入るつもりなので、お断りさせて頂きます」
「え?なんで?」
ゾンビマスクをかぶった先輩は驚き慌てるように言いました。
「今だったらおまけで単位をくれると思うよ?大学で何もしなくても単位がついてくるんだよ?滅茶苦茶お得なのになんで?なんで入らないの?」
「いや、だって」
私は腐り切った先輩のゾンビ顔を見上げながら言いました。
「先輩とゼミでまで一緒なんて絶対に嫌ですよ」
巫女さんのバイトは意外にお給金が良いので継続して行いたいと思っているし、ゾンビの植毛作業も意外に手間賃を払ってくれるので継続して行っていきたいと思っているので、
「バイト先が先輩のところで、学部も一緒、ゼミまで一緒なんて・・」
私は首を横に振りながら言いました。
「いや、もう、そこまで一緒はいいです」
先輩の何が嫌って、ゾンビマクスはいいんですよ。ゾンビマスクは。
だけどスケキヨマスクが嫌なのよ。
真っ白すぎるというか、内側にお札が貼ってあるのが怖すぎるというか。
「それに先輩と一緒に居ると事件に巻き込まれそうで嫌なんです」
「はあ?なんだって?」
「しかも先輩がホームズなら私はワトソンというか?よくわからない見える力を使って解決に導く先輩は率直に言って凄いとは思うんですけど、ワトソン役の私が居る必要ある?詞之久居町で私、今必要あります?と、何度思ったことかわからないですよ」
「はぁあああ?」
ゾンビのマスクをかぶった先輩はワナワナと震え出したんですが、いくら震えたって一緒のゼミに入るつもりはありません!
今度は海に移動した霊能力者二人のドタバタ劇をお送りしたいと思います!!
もし宜しければ
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