人外になったJK
以前の私は人だった。
ガワのナリもウチのカタチも人だった。人の間に生きることのできる、人間だった。
今の私はなんだろう。
かろうじて人の形は保てたが、明らかに変質してしまった何かがあると思う。自らの奥底から侵食してくるどす黒くて悍ましい何かが、とてもとても恐ろしくて不気味で気持ち悪い。表現しつくせない感覚が、血の巡りを遡るように胃の底から逆流するように私の中を駆け回る。
私は何になったのだろう。
人でなくなったのは何故だろう。
私は何にならなれるのだろう。
たどり着くのは何処だろう。
答えのでない疑問が腹の中で渦を巻き、ぐちゃぐちゃと気味の悪い音をたてながら私を苛む。
つまるところ、留まることしかできないのである。
「私は誰だったのだろうか。」
私、というからには女だったのだろうか。男でも私と使う人はいるが、その場合はある程度の歳になる。私が身にまとう衣服は記憶にある中で制服と呼ばれるものであったが、それが男物なのか女物なのか判別がつかない。しかしこの下半身にまとったひらひらと頼りないものはスカートと呼ばれたような気がした。スカートは女が履くものであったと思う。いやいや、男が女の格好をしていたこともあった。あれは文化祭と呼ばれる学校で行う祭りのときで、学校とは未成年が勉学を学ぶ場所で、そこでは生徒が皆制服を着ていて…。
「迷い子、聞こえておるか迷い子。そう、ヌシである。迷い子。」
取り留めもなくつらつらと考え事をしていたら、良く分からないが狐面をかぶったモノがいた。そこが顔なのだろう。
「やはり私は、迷ってしまったのですか。ここに取り残されてしまったのですか。」
「そうだ。悲しかろ、悲しかろ。ワレが仲間のところへ連れていってやろ。さすればヌシは迷い子でなくなる。」
そう言われて、自分の顔が濡れていることに気づいた。
どうしようもなくて、どこにいくにも何をしたらいいのかわからない。
コレについて行けば、何か変わるだろうか。
だが、コレは、このモノは、ヒトではない。
これ以上、ヒトから離れていいのだろうか。
私は人だった。
ガワのナリもウチのカタチも人だった。
人の間に生きることのできる、人間だったのだ。
その外へ踏み出すことなど、怖くて、恐くて、恐ろしくて、おぞましい。
「迷い子でなくなれば、何になりますか。私は人に戻れますか。」
気づけば、そう聞いていた。
狐の面をつけたモノは、困ったようだった。
「ヌシはもう、カタチを変えてしまった。過ぎたところに戻るのは、難しかろう。」
「カタチを……。」
「気の毒だの。ワレでは何もしてやれん。連れて行ってやることしか、なるようにしてやるしかの。」
あまりにシリアス過ぎて先の展開を考えたら途中で(私が)泣き出したので中断したもの。
主人公が幸せになる未来が見えたら続きを書きます。