緊急
「先ずは色々と迷惑をかけたことを謝らせてくれ、すまない」
そう言うと彼は深々と頭を下げ、俺はすかさず椅子から立ち上がった
「いえいえ、全然迷惑かかってないんで…と、とりあえず頭を上げてください!」
今俺は、石山家のリビングで石山さんのお父様と対話していた。
なぜこうなったのかだが、理由は彼女が家庭教師のことを親に話していなかったことが原因だった。
ご両親は塾長からの電話でこの話を知ったらしく、正直俺も塾長から聞いた時は(え?どういうことだ?)と驚いたもんだ、普通は親に話をするのが当たり前だと思うのだが…
「ところで娘さんは、いらっしゃらないんですか?」
この場には、当事者の美羽さんが居ない、普通話し合いなら居るのが普通だと思い聞いてみた。
「美羽は今、妻と買い物に行っているよ、それに君は美羽が居ると少し困るのではないか?」
それを聞いた俺はある程度理解した。
「なるほど、塾長から私の素性は聞いている感じですか」
「流石に娘を見ず知らずの人に、ましてや男ときたら心配に思うのが、親というものだろ」
「親になったことはないですが、分かりますよ、その気持ちは…特に今回の件があったとなると尚更思うのは当然だと思います」
「分かってくれるとありがたいよ…少しばかりこちらの話を聞いてくれないか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「ありがとう…」
そう言うと少し暗い表情を浮かべながら話し始めた
「正直…今回の件が起こってしまった時点で、親としては失格だ」
言葉を詰まらせつつも話を続ける
「言い訳と言われればそれまでだが、妻と私は仕事の関係上、家を空けることが多くてね、
娘はいつも【大丈夫だよ】と言ってくれていた。だが、美羽は自分で判断して行動しなければならない時が沢山来たのだろ…今回は偶々、貴方方が善人だったからトラブルが起きなかったから良かったものの、もし美羽に何かあった後だったら、私は…」
親としての過ちに気付き、反省している父親に声をかける
「貴方が今することは後悔ではない、この後どう行動していくかを考えることです」
「え?」
「幸い娘さんに悲劇は起こらなかったんです。だからこの件はそれでいいじゃないですか、だから前を向いてください。後悔なんてしてる暇ないですよ」
「フフ…家庭教師というのは伊達じゃないね、まさか私にも指導してくれるとは」
「生意気でしたか?」
「いや、ありがとう。お陰で私が次にすることが分かったよ」
そう言った父親の顔からは迷いが晴れたようだった。
「なら良かったです。自分は暗い話が嫌いなので」
「はっは、それはすまない」
すると父親のスマホの通知が鳴り、内容を確認した。
「そろそろ戻るとのことだ」
それを聞いた吉川はせっかくの家族団らんを邪魔しないようために、帰る準備をし始めた。
「せっかくならご飯でもどうだい?」
「いえいえ、家族でしっかり話せる時間を邪魔しちゃ悪いでね、自分は帰ります」
「そうか…色々気を利かせてしまってすまないね」
吉川は帰るためリビングの扉に手を掛けた時
「最後に1ついいかい?」
父親に呼び止められ振り返る。
「どうしました?」
「君に頼みたいことがある……」
そして美羽の父親と吉川は1つの約束を交わしたのだった。
至らぬ点も多々あると思いますが、「初心者が頑張ってるな」みたいな感じで今後も読んでいただければ幸いです。
作者の一言
大きな決断は親に話を通してからにしましょう




