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へっぽこ魔人生  作者: 岸辺濫瀟
第5章

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18.新聞と女子会

 タルバが創造神様にお説教されてから2週間が経過した。魔人たちからの接触はなくまた平穏無事な生活が戻ってきたと喜んでいた俺は自室でベゼル王国内にて配布されている新聞を見て驚いた。


 新聞の見出しはこうだ。


 〔帝国で謎の怪奇事件発生!帝国兵1万人失踪事件〕〔ドーガの呪われた広場〕〔名もなき英雄タルバ〕


 これって多分俺のテストでやったことだよね?あれ?アステールってやつと爺さんが片づけるって話は?


 帝国軍が人員が足りずにこうなることは仕方がない。それは内内で処理するだろうし、実際に怪奇事件として流そうとしている。問題はドーガにある呪われた広場だ。これは俺が戦った場所のことであり、俺の作成した呪われた血が撒かれた場所だ。ちゃんと浄化してもらわなければ環境的にもよろしくない。


 あの爺さん……浄化を依頼する金をケチりやがったな?片田舎の鍛冶師が稼げる金なんて限界があるからな。アステールと違ってテリトリーではあるが指示を出せる相手がいるとは思えない。

 かといって俺は爺さんを責めることが出来ない立場だ。そもそも俺のためにテストをしてくれたわけで、その尻ぬぐいまでしてくれたんだ。俺とか未だに一文無しだし。


 ここはありがたく考えておこうかな……

 爺さん以外に俺の剣を手入れしてくれる人いないし。


 それよりも俺の名誉回復運動?主導者はベゼル王国第一王子レイベルってなってるけど……これってもしかしてなくてもレイ?新聞には『不死身の英雄』の男主人公のモチーフであり、数か月前ヒルドにて帝国軍を撃退した英雄って書かれてるぞ?


 俺が戦ったのは大多数のゴブリンと白いローブを着た奴だけだったんだが……誰かの功績をパクってねぇか?これ。


 もはや人間社会で生活しないからこそこんなのんびりとしていられるが、どうやらベゼル王国では俺は死んだことになっているらしい。そして過去の沙汰になっていなかった功績が表出したようだ。


 うーん。有難迷惑だな。顔写真は流布されなかっただけマシか。それにしたって今更じゃないか?

 新聞だと王族・貴族が俺の功績を認めているらしいな。珍しいこともあるもんだ。まぁベゼル王国とはこれからは無関係だろうからほっといてもいいだろ。


 俺は考えることを辞めて布団にもぐりこんだ。俺の部屋は俺が外に出ない限り誰も入ってこれないのだから二度寝を邪魔する者はいない。

 有意義な一日よりも数時間の安寧。寝た後の後悔よりも今の心地よい微睡に体を預けることが一番だ。どうせ魔人の寿命なんて長いんだから一日くらいいいだろ。


――――――――――――――


 タルバが二度寝を決め込みぐっすりと眠っている頃、廃城1階ではカナンと三人娘が対峙していた。お互いがじっと見つめあい不審な行動に出ないか監視していた。

 いつまでも続くかに思えた冷戦もカナンの一言で休戦を迎える。


「その耳たぶ……彼の従者?」


「ええ、私たちは主の従者です。あなたは?」


 ラキの問いかけにカナンは余裕を持って鷹揚に答える。


「私はカナン。カナン=アズール。そういえばわかるのではなくて?彼から話は聞いていない?」


「お名前は伺っておりますが、本日ご用件があるとは伺っておりません」


「それは仕方ないわ。だって今日はあなたたちと話をしにきたのですから」


「あたしたちと?なんで?わっかんない」


 事務的に丁重に扱うイリムと対照的に反射的に答えてしまったアウローラ。ラキとイリムから鋭い視線をもらい、やらかしたことに気づく。失敗に気づくとアウローラはシュンとしてしまったが、ラキもイリムもアウローラに割く余力はない。相手は原初の魔人なのだから。


「そうね。まぁ座ってお話ししましょうか」


 カナンはそういうと勝手知ったる足取りで図書室へと向かった。迷いなく一直線に。彼女の行動からラキたちはこの廃城を彼女が知っていることに気づく。


「早く来なさい。騒ぎを起こせば彼の邪魔になります」


 上位者としての命令に体が反応する。自然と体が彼女の命令に従おうとして動き始める。カナン=アズールが敵対行動に出ていないため、彼女の指示には従うべきと判断した彼女たちはカナンの後ろをついていった。


 図書室に入ると新しく配置したイスと机に腰かける。カナン1人に対して私たち三人は横一列に並ぶ。面接スタイルでの話し合いだ。


「まずあなたたちに聞かなければならないことがあるの。あなたたちはタルバ様のことをどう思っているのかしら?」


「優しい人!強い!凄いの三つ!」


「アウローラ、それはありきたりです。?私としては世に光を齎す方でしょうか。世界に主様の功績をお伝えしないことこそ、世界の損失。そう考えるに足る方です」


 アウローラをいつものようにたしなめるイリムはもう平常運転のようだ。アウローラも胸を張って語るため、これに関してはアウローラも一歩も譲らないようだ。


「あなたは?――たしかラキ、と言ったわね?」


「私にとって主は救世主です。創造神様の魔人であることも含めて主には世界を背負う、そのような存在かと思います」


「三人がタルバ様を尊敬していることはわかるけど、私が聞きたいのはもう少し単純なこと。あなたたちはタルバ様を男性として見ているかどうか、よ」


「「「ありません」」」


 カナンの単純化した質問に食い気味でハモる三人娘。きっとタルバが見ていたら心が折れていたかもしれない。釣り餌に食いついた魚の如く食いちぎる勢いで解答した三人に対してうんうんと頷くカナン。


「そう、それはよかったわ。ちなみに理由を聞いても?」


「タルバ様、強いけど、隣で支えるのは無理!あたしじゃ普通過ぎ」


 アウローラがいの一番に答える。客観的に見たときタルバの功績や行動は立派なものだ。中身はともかく。これから先も隣にいるには対外的な評判も含めて従者の範囲が限界だと悟っている答えだった。獣人だからこそ強さには敏感で、隔絶した強さを持っていると思い込んでいるアウローラはタルバの隣に居続けることがそもそも出来ないだろうと踏んでのことだった。


「アウローラは現実的ね。じゃあイリムはどう?」


「どうして私の名前を……気にしないことにしましょう。私の場合、エルフには魔人についての伝承が残されておりました。今でこそこうして普通に会話できますが、根底にある魔人という存在に対する恐怖心はあります。それに魔人の方には使命があります。それを隣で支えるのは無理です。私では主様と同じ視点に立つことが出来ません」


 イリムの場合、エルフという種族が魔人の恐ろしさを正統に継承してきたからこそ、幼少期より刷り込まれた魔人に対する抵抗感、恐怖が残っている。これは慣れてきても刷新することは難しいことだ。心とはそのように単純には出来ていない。

 そしてアウローラとはまた違った意味で支えることは出来ないという回答。これは力はともかく、隣に立つ女性としては同じ視点を持てることが支えるための能力だと思っているため、その力が足りない自分では無理だと固辞している。


「最後にラキは?あなたは元人間でしょ?拒否する理由ってあまりないと思うけど」


「私にとって主は崇拝すべきお方です。私と男女の関係になるという低俗な行為をなされるおかたではありません。故に、そのような関係になることはありませんし、求められた時は自害してでも拒否させていただきます」


「固い意思があるのはいいことね。三人の考えは理解できるわ。私は三人もいるのだから誰かしら手を出しているのかと思っていたけれど、タルバ様は身持ちが固いようね。これは中々手ごわいかも」


 カナンが想像していたこととして三人の誰か、もしくは全員が彼のお相手なのではと思っていた。三人とも十分に美しくスタイルもよく、忠実だ。邪な勘繰りではあるけれど現実的なことでもあった。英雄色を好むとも言う。


 カナンとしてはどちらでもよかった。時間をかけてじっくりと自分への意識を向けさせればいい。カナンには世界中の誰よりも人間関係において優位に立てる経験だけはあるのだ。この世にたった一人の殿方を振り向かせる。それは従来と比べて難易度が高くとも金銭、容姿、内面や戦闘力。どれをとってもパーフェクトだと自負していた。


 しいて言うならば相手がもしも髪がショートやボブの女性が好みであれば髪を切る必要があるくらいだ。それも一瞬で埋められる差だ。向かうところ敵なし。恋愛関係での常勝不敗は確定していた。


 だが話を聞いていて気づいたことがある。彼女たちも十分魅力的だが、一度も手を出さないなんてことがあるのか、と。この疑問に対する可能性は2つ。前向きに捉えた場合、カナンと同じように特定の相手でなければならないパターン。

 もう一つの可能性は女性に興味がない、つまり男性に興味があるパターンだ。


 後者の可能性の場合、カナンは乗り越えられない壁がある。性別だ。彼女は長い年月をかけて強固な地盤を築き上げた。実際にそれは他の魔人に対しても優位になるほどだ。

 だが彼女が所有していないものとしてもう一つの性別だ。魔法の世界であれど人体を自由に改造することは出来ない。それこそ神の領域だ。


 もしもタルバ様が男性が好みであるとすればカナンの野望は叶うことはありません。タルバを拉致監禁して洗脳を施す以外に見向きされないでしょう。


 カナンは三人娘との会話において迷宮入りを果たしていた。彼女たちを説得するために、事情聴取するために来たのだが、大前提が崩れ落ちる感覚。まるで足場がなくなってしまい、空に投げ出され前後不覚に陥っているようだ。


 頭がくらくらする。考えたくないけれど、一度動き出した負の思考の歯車は止まることを知らない。


 ここにきてカナンの勘違いを加速させる思い当たる節があった。露天風呂で混浴したときのことだ。タルバはカナンから距離をとって話をしていた。そして目線を常に逸らしていた。


 私は照れているのかと思っていましたが、もしも男性が好きだったのであれば私の行為に忌避感を抱いていたのでは?興味もない女性がいて風呂に侵入してくるなど嬉しくないでしょう。自分で言うのも何ですが絶世の美女です。過去の男性たちはこぞって近寄ってきましたし、距離を取られることなどありませんでした。


 タルバ様が仲いい魔人も奇しくも男性ばかり。これは偶然と言えるのかもしれませんが、タルバ様は銭湯がお好きです。それが男性の裸姿を見られるからとすれば……!!由々しき事態です。私は普通の男性ならば振り向かせられますが、創造神様が選んだお方が普通の存在であるはずがないのです!


「さっ……三人にお聞きしたいのですが、タルバ様から好みの女性や女性に興味があるような素振りを見られた方はいますか…?三人にアプローチをかけたかでもいいですが……」


 突然顔色が悪くなったカナンを不審に思いながらも三人は数か月での共同生活を思い返して答えた。


「あたしは一回もない!」


「私もありませんねぇ…お聞きしたこともありません」


「主はいつも自室か図書室に籠られて私たちともあまり一緒にはいませんから……そういったお話を聞いたことはありません」


 三人の解答にカナンは雷に打たれたように衝撃を受ける。魔人大戦を終わらせた時よりもこの衝撃は大きかった。


 男性ならば女性が好きだという先入観に囚われていた。ましてやタルバ様と対になるのは私。もしも私の相手がタルバ様として想定されているのであれば当然タルバ様も異性が好きなのかと思っていた。


 だが神々はそこまで細かな干渉は出来ない。それは私の魔人生において証明している。過去に同性愛の方々は一定数いた。自分とは異なる考え方ではあるが、本質として誰かを愛することには変わりなかった。


「もしかするとタルバ様は女性がお好みではないのかもしれません……」


 カナンの口から出た言葉に今度は三人が驚かされる。重い沈黙が図書室に漂う。彼女らも貞操観念が固く立場を利用して近寄ってくるような方ではないと思っていたが、その可能性は考えたことがなかった。


「それは……否定できません…ね…」


「主様から女性関連のお話は聞いたことがありませんね。冒険者だからこそ男性が多くなりがちなのかと思っていましたが…」


「タルバ様、あたしたちの風呂も気にしない。それよりも本読んでる」


「それはもしかするとエッチな本なのでは?」


 アウローラからのタルバの趣味にカナンから素朴な疑問が提示される。


「自室でも読まれていますからね…ありえます」


「でも詮索するのはよろしくないのでは?」


 イリムが同調するがラキが遠回りに不敬な行為を咎める。


「いいですか?これは一大事です。過去の英雄達は恋愛関係で身持ちを崩しているのです。それは王や皇帝であってもそうです。そのため、タルバ様の周囲をコントロール出来る状態にしなければあのお方の使命のお邪魔になります。必要なことなのです。私たちの中だけに留めれば良いのです」


 今ここに新たな魔人の同盟が組まれた。あまりにもしょうもない同盟の発足経緯だが着実にタルバの周囲を固める強い結びつきになっていくことになる。もちろん、タルバ本人は全く知らないことである。


「私たちは協力をしなければなりません。これは偏にタルバ様のために、です。タルバ様に醜聞などあってはなりません。いいですね?」


 原初の魔人としての威厳などはもうそこになかった。ここにあるのは1人の女性として真剣に男性に向き合おうとする千年以上を生きる魔人だった。なりふり構ってチャンスを見逃せば二度となくなる儚い希望。

 彼女にとってタルバは待ち望んだ希望であり、理想であり、最終防衛ラインなのだ。


「承知いたしました。私たちのほうがタルバ様のことに詳しいですが、立場としては下ですのでもしものときは頼ることになるかと……」


 ラキの発言がカナンの心を起爆させた。何気ない言葉がカナンの琴線に触れた。


「私たちのほうが詳しい…私のほうがタルバ様について詳しい自信があります。あなた達は数か月の情報しかありませんでしょう?私はタルバ様について詳細に調査させました。現時点では私の方が詳しいと思いますよ?」


 にっこりと笑いながら張り合うカナン。この言葉には三人もむっとさせられる。つい先日あったばかりのぽっと出の知らない女性に自分の主について詳しいと言われた彼女たちはカナンが原初の魔人として恐れられていることも忘れて反論し始めた。


「情報しか知らない方よりも直接コミュニケーションを取っている私たちの方がタルバ様のことをよく知っていると言えるのではないでしょうか」


 イリムの先制攻撃!カナン、言葉が出なくて悔しそうだ。


「でもそれはこれから埋まる差ではなくて?今議論の論点はタルバ様の過去でしょう?」


「データで完全に理解出来るとお思いなのですか(笑)」


 苦し紛れの反論をしたカナンにラキからの嘲笑を含んだ指摘が入る。カナンの額に青筋が浮かび上がる。


「これから理解していけばよろしいのでは?時間はありますから」


「時間で決まるならあたしたちにあなたは勝てない、一生平行線」


 務めて冷静に話そうと心がけるカナンであったが、アウローラからの突き放す一言に撃沈した。カナンが拳を握りしてめた。それでも一歩も引かずにカナンから目を離さない三人。痴情の縺れでもなく、人間関係のトラブルでもないが1人の男性を巡って争う女性の構図は一般的な修羅場と近似していた。


「えぇ、そうですか。ですが私の方が彼のいいところは知っていると思いますよ!一緒に温泉も入りましたから!!」


 カナンがあっためてきた必殺の一撃に顔がゆがむ三人。それはそうだ。彼女たちはタルバに見向きもされていないのだ。カナンが情報を集めたことでは優位性が取れたけれど、個人的な関係性がどれだけ進展しているかは別問題だった。

 意中の男性ではないが、敬愛する主だ。自分たちが知らない姿を見ていると思うと嫉妬が渦巻く。


「そっそれは関係ありませんっ!そこまで親密にはなれていないことは明白です!だってあなたも見向きされてないのですからっ!」


 ラキからのカウンターを食らって心が痛むカナンはそれからも三人と自分のほうが如何にタルバのことを知っているか、良さはどこかを語り合うという時間を過ごした。結論から言ってこの四人は非常に仲が良くなった。


――――――――――――――


 魔人の王が最初にその威を示したのは魔人たちに対してだったという。当時の魔人たちには王という存在はいなかった。

 魔人大戦というセントラム大陸を巻き込んだ戦争が起きたことのきっかけが魔人の王の争いということもあって、魔人内で魔人の王に関することはタブーにされていたのだと推察される。


 魔人の王はセントラム大陸にあった旧ベゼル王国の都市ドーガ付近で戦闘を行った。これが魔人の王に関する歴史書で語られる血の海事件だ。


 後世に伝えられている伝承には魔人の王がまだ王になる前の頃、新参者の魔人としてその実力を疑われたという。経緯は不明だ。だが魔人という存在は功績が広く認められ、高い実力と運を持つ存在が進化すると至るものだという。


 恐らく何かしらそのバックグラウンドを疑問視されたのではという考えが一般的だ。

 魔人の王は当時のヴェルフ帝国軍と戦闘を行うことになった。敵の中には他の魔人が作成した人造魔人も含まれていたという。


 魔人王は退路を断たれ、幽閉され、軍隊からの大量の攻撃に晒された。記録として大量の魔法攻撃と人造魔人による接近攻撃が主だったという。それ以外にも呪いがかかっていたとか。


 常人であれば絶体絶命の窮地。魔人の権能を用いて危機を脱するかに思われた。しかし魔人王は最低限の権能だけで攻撃を回避。加えて、大量の血を操り大群を一瞬で殺害したという。


 魔人王の行動を見ていた魔人たちも何が起きたか理解できなかった。その時に血の海が出来上がり、その血は呪いを帯びて今日にも生物が近寄れない環境として残されている。魔人王が作成した呪いの血は何人にも浄化することが叶わず、彼の王の憎悪が込められた象徴になった歴史的な遺産の一つだ。


 敵をただ殺害しただけではなかった。魔人王が殺害した敵たちは体がバラバラになって転がっていたようだが、頭部と胴体が残っている人間を丁寧に切断して回ったという。絶対に自身の手で殺害するという強い信念と人間という種族に対する憎しみがあったとされている。


 魔人王の意図は当時の記録のみでは歴史の闇に葬られている。だがこの惨状を見させられた魔人たちは魔人王がお怒りになっていることを悟った。曲がりなりにも魔人を試す機会において、不適格な敵をご用意していたことに気づかされたのだ。


 魔人王は一言だけ魔人たちに言い放って空を飛び去っていった。何を言ったかまでは記されていないが、魔人たちはそのたった一言の言葉で動けなくなってしまったそうだ。

 代表として破壊神の魔人、カナン=アズールが返事を返すことができ、事なきを得たが、魔人王は普段と戦闘時の性格に乖離があることが証明された。


 温和だという記録もあるが、戦場では残忍さが突出している。そういった二面性を持ち合わせている危険な存在だったが、そんな一面に惚れてカナン=アズールが魔人王にアプローチを始めたと言われている。


 またこの時期に魔人王の従者たち三人がカナンと協力関係を築き、魔人王の記録を取っていたため遥か後世である現代でも研究が続けられている。


 魔人王がどのような会話をしたかは定かではないが、この時の記録には魔人王が女性を好まれない可能性を真剣に危惧する記録がある。魔人王の貴重な私生活を垣間見る重要資料ではあるが、一研究者としては魔人王の個人的な嗜好を危惧しているのか理解に苦しむ。


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