新しい武器と特訓の成果
獣人の町『シルバーレイク』の門を背にする。
60日振りの外の世界だ!
実際は60日間ずっとギルドに引きこもりだったので、町の思い出はほとんどギルドしかないが。
エリックの依頼の期限は決まっておらず、
ミーア達とパーティーを組んだばかりということもあって『レヴィタニア』にはゆっくり戦闘訓練でもしながら徒歩で向かうことになった。
「それでゼロはギルドでは何やってたんだい?」
ミーアが聞いてきた。
「エリックと剣術をやったり
ジャミルに弓や投げナイフなんかを教えて貰いました」
訓練の日々が頭を過ぎる。
「マジか……
ジャミルってあのジャミルか!?」
バンが驚いた様子で聞いてきた。
どのジャミルかはわからないけれども多分そのジャミルだろう。
「はい。エリックが言うには器用さだけならギルドで1番らしいですね」
確かそんな事を言っていた。
「「意外過ぎる(わ)……」」
ミーア達全員がそう呟いた。
「ミーア達は?」
確かエリックの話では罰として依頼を受けて貰っているって言っていたよな。
「ハハハ……
まぁ、あちこちと採取やら何やら行かされたよ」
ミーアは力なく笑う。
「でもその分報酬は良かったわ」
フィリアはそう言うと新しい杖を見せてくれる。
「武器」
リンの杖も新しくなっている。
「全員武器が進化したぜ!」
バンも斧が一回り大きくなっており何かの装飾がされている。
「この通りね!」
そう言ってミーアは飛ぶ斬撃を放つ。
数メートル先にいたゴブリンを真っ二つに斬り裂いた。
「ミーアだけズルイぞ!」
「抜け駆けはダメ!」
「私だって攻撃魔法覚えました!」
バン、リン、フィリアそれぞれが文句を言う。
どうやら全員がレベルアップしているらしく今回は強い魔物が出てもかなり余裕がありそうだ。
しばらく進むとオークに遭遇する。
オークはDランクの魔物で肌は緑色。
豚の様な頭で人型をしており、大きさは3メートルくらいで筋肉量が物凄くかなり強そうに見える。
「オーク1体か……」
ミーアは落ち着いた声でそう言うとパーティーに視線を向ける。
誰が行くかを相談している様だ。
「俺が行くぜ!!」
バンが筋肉と斧を見せる。
「それじゃ私が補助するわね」
フィリアはそう言うとオークの右足付近を魔法で液状化させる。
まるで泥沼の様に足を取られるオーク。
「ウォリャー!」
バンは助走をつけてジャンプをしオークの頭上から一気に斧を振り落とす。
斧は魔力を帯びて薄っすら青い光に包まれている。
オークは頭蓋から胸元まできれいに真っ二つに割れる。
「へっ、続々と出てきやがったぜ……」
バンの視線の先にはオーク3体とゴブリンが何体か見える。
「行きます!」
オレは仲間に合図をして魔物の方へと走り出す。
特訓の成果を見せてやる!
素早く『投げナイフ(爆)』を手前のオークの顔面目掛けて投げつける。
ナイフはオークの顔面で爆発し、視界を奪う。
素早く剣を抜きオークの左脚を斬りつけ、そのままの勢いでヤツの腹に思い切り剣をブッ刺す!
両手に力を込めて腹から剣を抜くと共に勢いよく一回転してからオークの首をぶった斬った。
剣を鞘にしまい。
弓を構えているゴブリンに『投げナイフ(疾風)』を
投げる。
ナイフはゴブリンに刺さると同時に風の刃がゴブリンを斬り裂く。
更に投げナイフを構えた別のゴブリンに『投げナイフ(撃)』を投げる。
ゴブリンにナイフが刺さると同時に衝撃でゴブリンをぶっ飛ばした。
残りはオーク2体にゴブリン4体。
「やるじゃん!ゼロ!!」
ミーアが驚いて目を丸くする。
「フレイムアロー……」
リンが小さく呟くと炎の矢が12本空から敵目掛けて降り注ぐ。
炎の矢一発はファイアーボールの数倍の威力があり離れていても熱気と爆音が物凄い。
土煙が薄くなり立っている魔物は残りボロボロになったオーク2体だけ。
フィリアは身体強化魔法をミーアとバンにかける。
ミーアはオークに向かって走り、
振りかぶっている相手の右腕を斬り落とし、そのままの勢いで背後に回りジャンプしてから首を斬り落とす。
バンもミーアよりわずかに遅れて走り出すと
オークの数歩手前から飛ぶ斬撃を放つ。
斬撃はオークの腹に当たり真っ二つに引き裂いた。
「こんなもんだな……」
戦闘が終わると斧を担いでバンが言った。
武器が変わったって言ってたけれども、
正直みんな異様にレベルアップし過ぎている様な気がする。
「エリックに貰った武器……なんか魔力効率が異様に良過ぎて常に魔力全開で戦えてるって感じがするんだよね」
ミーアはそう言ってエリックに貰ったという剣を見つめた。
他のメンバーは倒した魔物から魔石を回収している最中だ。
ふと何かの視線を感じて崖の上を見る。
崖の上の人影が人か何かの大きな塊の様な物をこちらに向かって投げつけるのが見えた。
オレは咄嗟に落とされたそいつを助ける為に予測した落下地点に向かい全力で走り出した。




