3つの輪っか
さて、今日は朝、急にやることが決まったのでお昼のお弁当を得ない作る時間などあるわけもないため、購買から買った出来合いのものを食べることになる。
「いや〜、手作りのお弁当もいいけど、出来合いのお弁当もいいいいな〜。」
出来合いとは思えないほど、美味しそうなお弁当に期待しながら俺はそんなことを言う。
「でも〜、ロクちゃんは、わたしの手ずくりお弁当の方が好きだよね〜。」
クーが、張り合うように言ってくるが、実際にクーの作るお弁当は、母さんが作るお弁当とと同じぐらいうまく、俺も大好きなため
「ああ、まあな。」
と答え
「こんど、外に行ったとき、作ってもらおうかな。」
言葉を続けた。
「えへへ、がんばるよ。」
と嬉しそうにガッツポーズをしたのも束の間
「その、頭につけているのものはな〜に。」
と探るように聞いてきた。
「あ、ああ、これな、アルケからもらった花冠。」
その、言葉を聞いたクーは
「へ〜、そうなんだ。」
と、少し怖い目つきで言う。
「あ…うん。」
俺は怖気ずてしまった。
「じゃあ!お昼食べたら、次はわたしが花冠を作ってあげる!」
とまるで張り合うように言う。
「いや、二つもいらないよ。」
俺がそう言っても。
「いいじゃ〜ん。」
と、食い下がってくる。
まあ、昔の思い出に浸るのも悪くはないかなと思い。
「うん、じゃあ、綺麗なの作ってくれよ〜」
と言と
「ふふん、あまりの出来に感動しないでね!」
と大きくもなく、小さくもない胸を張りながら言った。
「モテモテだな、ロクショウ。」
とアトロナーヘ先生がタコの形に切ったウインナーを頬張りながら冷やかしてくる。
「ちょ、やめてよね〜。」
気恥ずかしさから逃げるように俺は、弁当のハンバーグを一気に頬張り、飲み込もうとしたが、予想以上に大きく、喉に詰まってしまいい。
「ん、ん、ん〜〜〜〜!!!」
と俺は苦しそうにもがく
するとアトロナーヘ先生が
「おいおい、だいじょうか。」
と呆れたように、でも心配そうに水袋を渡してきた。
俺はそれを、奪い取るように受け取ると、ぐっぐっぐっと水を飲むとようやく楽になった。
その後はみんなで楽しくお昼を食べたら。
クーが、お昼ご飯を食べ終わると、さっそく約束どうり花冠を作っているのをおれは、少し離れて見ている。
始めたばかりの頃はかなりたどたどしかったがどんどん上達していって、今となっては、かなり早く、丁寧に作れるようになっている。
「あいかわらず、うまいな〜。」
監視したように俺が言うと
「そんなことないよ〜。コツがあれば誰でもこのぐらい出来るようになるよ。」
とクーはそう返してきた。
「いや〜、そんなことないって、だって実際に俺は、どんなに教えてもらっても、うまくできなかったしなー。」
俺がそう言うと
「まあ、たしかにロクちゃんは昔から不器用だったからね〜。」
クーが笑いながらに言ってくる。
「確かにそうだけどさ〜。」
口をとがらせながら俺はそう言う。
たしかに、俺は器用な方ではなく、何をやってもモタモタしてしまうところはあるが、そうはっきり言うとさすがに、すこしヘコんでしまう。
「まあ、でもわたしはロクちゃんのそういうところ好きだな〜。」
クーはそう言って俺を慰めてくれる。
「え〜、なんでも器用な方がいいでしょう」
俺はそう言葉を返した。
「器用じゃない魅力もあるんだよ。」
クーのその言葉な納得できないが、しかしなんかそう言われるとそうだなって気になったので。
「ふ〜ん。」
そう俺は言葉よ返した。
しばらくすると、クーの花冠は完成した。
「どう出来栄えは、感動しちゃったかな?」
クーはそう言ってくる。
確かに完成度は高いが、感動するほどの出来ではなかったので、正直に
「いや、感動するほどでもないよ。」
と評価する。
クーはそれを聞くと
「そんなこというなら、あ〜げない。」
と言った。
どんなもので貰える物が貰えなくなると思うと惜しくなるのが 人情というもの。
「いや!すごい、感動した!感動した!」
俺は慌ててそう言うと
「なんか嘘くさいな〜。でも、あげる。」
と言うとクーは花冠を渡してきた。
「どういたしまして。」
俺がお礼を言っていると、アトロナーヘ先生が目に入ったので
「ちょっと、先生のところに行ってくる。」
とクーに告げ、俺は先生の元へと向かう。
そして、それを見つめるクーの目は寂しそうだった。
「何してるいるの。」
と言う俺の問いに
「あ、ああ、これを作っているいたんだ。」
と、すこし恥ずかしそうに見せてきたのは
「あ、先生も、作ってたんですか、花冠。」
その、花冠はアルケやクーに比べるとすこし不恰好だがちゃんとしたものだった。
「いや、そういえば、昔の知り合いら作り方を教えてもらったな〜っって思い出したら、作ってみたくなって、作ったんだ。」
先生の顔が赤くなっている。
「いや、でも結構うまいな、というか、先生こういうの興味ないかと思っていたのに意外でした。」
そう、俺は言うと
「失礼だな、私だって女なんだぞ。」
と口をとがらせながら言う。
「ふふ、すいません。」
俺は笑いながら謝り
「それ誰かにあげるの?」
と質問する。
「いや、こんなへたくそなの貰っても迷惑なだけだよ。」
と自嘲ぎみに言う
「え〜!これでへたくそなら、俺はなんなんだよ〜。」
そう言うと
先生は微笑みながら
「じゃあ、お前が貰ってくれないか?」
と言ったので
「それじゃあ遠慮なく。」
と先生の花冠を受け取った。
そうこうしているうちに、夕方になり飛車に乗って、俺たちの住む寮の前までつくと、皆それぞれに別れの言葉を交わし、自分の部屋に戻っていった。
俺は自分のまだ片付いていない部屋の中で、三人からもらった花冠を眺めていた。
この、すぐに枯れてしまう草と花の塊が今の俺には、黄金よりも、ダイヤモンドよりも価値のある大切な宝物に見えてしまったのだ。