闇の覇王
退廃と混沌が支配する都市、グラントシティ。夜の闇に包まれて、至る所で狂気が牙を剥く。中央に聳え立つ尖塔型の高層ビルの最上階には青白い炎が灯り、周囲を無数の蝙蝠が飛び交っている。突然、蝙蝠の群れの一部が密集し始めると、空間が歪み、やがて人影へと変貌した。朧な人影は、ゆっくりと中空を進み、尖塔の窓から中へ入った。尖塔の内部には、荘厳な装飾の施された部屋が在り、天蓋付きのベッドに絶世の美女が二人妖艶に寝そべっていた。影は二人の美女の中央に降り立ち、はっきりとした輪郭を形成していった。
「お帰りなさい、ジェクト。NFHの連中は片付いた様ね。」
ジェクトは、この暗黒の世界を統べる支配者だ。数千年も脈々と生き続けて来た闇の系譜。今宵の勝利の味は格別だった。敵対するNight Fang Hunters 通称NFHの隊員を一掃した記念すべき日だ。蒼い月の光が窓から差し込み、ジェクトの相貌を照らし出す。その白銀の瞳は、狂気を至上の美と錯覚させる程の妖しい輝きを放つ。
「麗華、ローズ、世界で最も美しい女達よ。今宵は私と共に美酒に酔え。鮮血の聖宴は甘美な悦楽の時。我が勝利を祝福する様に闇が胎動している。」
「・・・ああ・・ジェクト、貴方と共に在る事こそが、私達の悦び。私達の全ては、貴方の為だけに存在している。この美しい闇が明ける迄、求め合いたい。」
女達の指先が妖しく動き、ジェクトの肌を這う。甘い吐息が切なげに漏れる。
衣服を脱ぎ捨てると、女達はジェクトに纏わり付いた。艶かしい姿態を、ジェクトに絡ませる。背徳の宴は、朝が訪れる迄続いた。朝の光が差し込む頃、ジェクトと女達は、宇宙空間で利用する為に開発された生命維持カプセルの中に入り、深い眠りに着いた。




