1話 プロローグ 愛人を作ればいいっていいました?
「そんなに私を責めるなら君も新しく男を作ったらどうだ」
目の前にいる私の夫は実にとんでもない事を口にした。
(信じられない!)
結婚して2年間、初夜以来何も「されなかった」のがアダになったのか私は彼の発言に動揺した。
「新しい男?」
「愛人だよ」
「・・・」
夫のギルはサラッと爆弾発言を続ける。
「マーリン、君だって疲れは溜まっているはずだよ」
挑発しないように彼は私をエステやリラクゼーションに誘導するが私にとっては何もかもが地雷だ。
「息抜きで不倫ですか?」
(領地の会計仕事は私にやらせてるからって「息抜きで」他の女と不倫だなんて見損なったわ!)
当の本人はやれやれどう言えば私を納得させるかと頭を悩ませているみたいだ。
(社交界で一目惚れと言われて結婚したのに、その末路がこれなんてあんまりよ!)
「君だってこの私、ダグラス伯爵家の妻なんだ。言い寄ってくる男はいるはずだよ」
そう言いながら夫は愛人を待たせてるのか屋敷の外に出ていく。
(何が私の妻だから、よ!)
確かに社交界の華と呼ばれていたけれどそれは次々に変わっていくものだ。
褒められていい気になったのは最初だけ。
これまでギルに嫌われていないか不安だったけれど愛は憎しみに変わるみたいだ。
「そっちがその気なら私だって好きにするわよ!」
(絶対にギルよりも地位のある素敵なお人を虜にしてみせるんだから!)




