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自作の変換表を見ながら、わたしは祈りの書に書き込んでいく。
何度も弾かれて、何度もやり直す。
拓人には、走り書きしたメモをアンヌに託した。存在するかもわからない ' プレイヤー ' に先を越されることを考えると、一分一秒も無駄にできない。
──そいつより先に、この世界を書き換える。在るべき姿に。
いよいよなりふり構っていられなくなったわたしは、すべてを投げ出してコマンドを書き続ける。
限界が来たら祈りの間の床で仮眠する。エッタには随分叱られたが、ついには折れて、せめて栄養だけでもと摘まめるものを差し入れてくれるようになった。
──わたしはきっと、酷い姿をしているだろう。
湯浴みをしないせいで髪は束になってごわつき、睡眠不足の目はひりついて涙が止まらない。
インクで汚れた手でぐいと目を拭う。
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何度、何度、何度、何度弾かれても諦めない。
だって、わたしが石鹸を作るとき、完璧な配合なんてなかった。
──何を燃やした灰なのか?
──何に使った油で、どんな物が含まれているのか?
いつだって答えは違った。
だって、わたしが酵母を作るとき、完璧なタイミングなんてなかった。
──暖かすぎてタイミングを逃したり。
──涼しくて発酵が進まなかったり。
いつだって答えは違った。
人間だってそうだ。
──同じ言葉をかけたって、喜ぶときも、怒るときもある。
──あなたに喜んでほしいから、よく見て、考えて、寄り添って。
そうやって好きになっていったんだ。
一期一会の素材と向き合って、間違って、間違って、辿り着いた。
決まりきった選択肢。指数で上がる好感度。
──そんなのは、いらない。
真っ黒に汚れた手が、何万回目かもわからないコマンドを刻み込んだ。
──11111111
終端記号を書き込むと、白く光る文字が、考えるように少し震えた。
> Executing...




