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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
アフターストーリー 2

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遺跡の地下拠点ハーゼの町 1

「へぇぇ~こんなところに地下への階段があったんだね」


 心配そうに見つめるコムギさんとレイモンに手を引かれた俺は、クウがいる場所に着いた。するとそこには、どこかに繋がってそうな下り階段があった。


「えっへん! おいら、偉い?」

「うん、偉い偉い!」


 クウが撫でて欲しそうにしていたので、彼の頭を撫でてあげた。


「トージに褒められるの嬉しいぞ。だから次も見つけてやるからな~」


 クウは俺を見ながら嬉しそうにその辺を動き回っている。


 クウが見つけた階段は、沈んでいた遺跡都市から数百メートル離れたところにあった。遺跡の建造物は相変わらず砂によってほとんど見えなくなっているが、地下へ行ける階段はすぐ見えるところにあり、階段を隠すような石蓋は見当たらない。


 地下へ続くとされる階段は全く砂をかぶっておらず、誰かが日常的に使ってるような印象を受ける。


「人工物?」

「……ふむ。トージが思っているように、ここは突如として見つかったものではなく、誰かが拠点として使っている階段とみていいだろう」

「では、ここはやはり地下の拠点ですか?」


 拠点というと、この世界では魔導師の拠点を意味する。地下へ行けばまだ見知らぬ魔導師がいる可能性があるとは思うがどうだろうか。


「ううむ。我の記憶では遺跡都市が砂に沈んでいない時、そこにはまだ数人ほどがテントで生活をしていたのだが、その者らはどこに行ったのだろうか」


 そう言ってレイモンが難しそうな顔をしている。


 考えるまでもないと思うが、その者たちの行方はおそらく――


「――そんなの簡単ニャ!」


 俺を心配して大人しくしていたコムギさんが、自信ありげに口を開いた。


「……む? コムギは分かるのか?」

「ウニャ! トージはすでに答えを見つけているのニャ」


 えっ?


 コムギさんじゃなくて俺が答えるのか。しかし、コムギさんの期待の眼差しが可愛すぎて猫吸いしそうになる。


「トージ。かつての者らはどこに行ったのだ?」

「か、階段を下りてみれば分かるんじゃないですかね。当時いた人がいるかは不明ですが、地下が拠点だとすればそこに移ってるかもしれませんよ」

「おぉ! そうか。では行こう、地下の拠点へ!」


 俺の憶測を何の疑問を持たずに信じているようだが、拠点があるかどうかははっきり言って何とも言えない。


 ここはひと気も無ければ魔物すらもいないが、地下に下りた途端に危険な目に遭わないとも限らない。果たしてこのまま素直に下りても大丈夫かどうか。

 

「トージは何も心配いらないニャ! 危険な目に遭う前に私が守るからニャ。だから心配しなくていいニャ~」

「コムギさん……!」


 何て頼もしい言葉だ。一番最弱かつ非力な俺を猫さんが守ってくれるというのは、猫好き冥利に尽きる。


「ではトージ。我が先頭になって下りていくが、それでいいか?」


 とても俺がおんぶしていた人とは思えない頼もしい発言だが、しかし外での行動にブランクがあるレイモンを先に行かせるのは流石にまずいような。


「いえ、俺が先に歩きますよ。レイモンは女性ですから俺の後ろにいてください」

「ほぅ! トージは我を女性と見てくれるのだな。ふふ、悪くない」

「い、いえ……」

「…………トージは身近な女性に甘すぎるニャ」

「えぇ? そんなことは……」


 やはりコムギさんの嫉妬心は種族に関係なく強いのか。


「お? トージトージ! 地下に下りて行くのか~?」


 しばらく周辺を歩き回っていたクウが俺の元に戻ってくる。


「そうなるね」

「じゃあ、おいらが先に行くぞ~」

「え?」

「おいら、向かう先が危ない場所かどうか分かる猫だからな~。おいらを先に歩かせればバッチリだぞ!」


 そういや、クウのスキルが何なのかをあまり聞いていなかったが、鼻が利く猫ということなんだろうか。


 コムギさんは知ってるのかな。


「コムギさん。クウって、実は凄いのかな?」

「ああ見えて探検猫を長くやっているからニャ。危なそうなところは分かると思うニャ」


 そういえばそうだった。俺とコムギさんと出会うまではずっと一人で洞窟を探検してたんだよな。


 それなら俺よりも断然クウが先に行くのが安全だろう。


「ん? トージが先頭じゃないのか? 我はトージの後ろをついて行くので合っているのか?」

「それで大丈夫ですよ」

「む、そうか」


 そうなると必然的にコムギさんが最後尾になるが、彼女は初めから分かっていたかのようにレイモンの後ろについた。


「じゃあ、行くぞ~!」


 灯りのない下り階段をクウが軽やかに下りて行くのに続いて、俺はゆっくりと下りた。


 そうして特に何事も起きずに階段を下り続けていくと、地下深いはずなのに外にいた時よりも明るくなっていくような感じがあった。


「むぅ。うむむむ……この明るさは魔導の力なのでは……?」


 などと、後ろを歩くレイモンがぶつぶつ独り言を言っているが、その明るさが徐々に明らかになってきた。


「トージトージ~! 早く下りてこい~! いっぱい人間がいるぞ~!」


 やっぱり拠点で間違いなさそうだな。


「いま行くよ」


 先を行くクウは特に俺を待つことなく、人がいる所へと進んだようだ。


 相当地下深くまで階段を下りてきた時点で少し疲れを感じたが、最深部に下りた瞬間に何となく体が軽くなった気がした。


 ……多分気のせいだと思うが。


 ふと後ろを見るとレイモンがだるそうにしていて、その光景をコムギさんがやれやれといった感じで見ている。


 最深部は人工的な通路で、構造はレイモンがいた地下の部屋に似ている感じがした。しかも横並びで歩けるくらいの幅がある。


 レイモンとコムギさんも最深部にたどり着いたので一緒に歩き進むと、空間の入り口付近で俺たちを迎える一人の女性の姿があった。


 どうやら魔導師ではなさそうだが。


「ようこそ、遺跡の地下拠点ハーゼの町へ!」


 そう言って、不思議な瞳の色をしている女性は両手を広げて笑顔で俺たちを出迎えてくれた。

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