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第20話《固有才能《ユニークスキル》の効果切れました。ステータスが元の状態に戻ります》


 *


「パパ!! すごい、すごいのです!! あんなに大きなコボルトを駆逐するなんて!!」


 俺の身体が大きく仰け反った。ユイユイが体重を乗せて、抱き寄ってきたのだ。


「ふっ、当然だろう?」


 ……ふぅ、やれやれだぜ。あれ、エトナは? いつもならエトナも心配そうに駆け寄ってくるのに……。いたいた、っと、ほら、駆け寄ってこいよ! あれ? なんか、ものすごく哀れんだ瞳で俺を見つめている。まるで、捨てられた小動物に向けるかのように。俺、なんかしたか?


「わー、スゴーい、オメデトーっ」


「エトナ、全く心がこもってないんだが……」


「ソンナコトナイヨーっ」


 この反応、そうか……照れ隠し、だな。俺の言動を垣間見て、更に俺に惚れ直したというところか。それで、恥ずかしくて素直になれない、と。可愛い奴めッ! ……ふっ、俺はなんて罪な男なんだ!


 さてと、悪いが、恥ずかしがり屋さんをずっと待つわけにもいかない。システムメッセージが仮想ウインドウに表示されているし、内容の確認といくか。


 《おめでとうございます! レベルが上がりました! LV7→15》

 《振分ポイント40獲得。ステータスに分配して下さい》


 伊達にLV80のボスじゃないと言うことか。経験値がパーティーで等分されたとはいえ、膨大な値を獲得できた。おかげで、一気にLV10を超えたな。振分ポイントも取得出来たし、力と素早さに振っておくか。確定っと。


 次は、お待ちかねの……。


 《新しい才能スキルを獲得しました》


 待ってました!! どれどれ……。


 ・狙撃スナイパーLV1……弓装備時に射程を僅かに伸ばす。LVが上がるほど、射程が伸びる。


 三連矢トリプルアローLV1……三つの矢を同時に放つことが出来る。LVが上がるほど、威力が上がる


 LV7→15

 体力35

 力40→70(+30 固有才能により現在75)

 身の守り2

 知力12

 素早さ13→23(+10)

 運の良さ−999(固有才能により現在999カンスト)

 才能スキル

 識別LV1、夜目LV1、アイテム付与LV1、酒乱化、狙撃LV1、三連矢LV1


 おおおお、やっと冒険者っぽくなってきたな……。あとはアイテムドロップか。これは、アクセサリーか?


 《クモキはアイテムを取得した》

 ・狂戦士の指輪 レアリティ? 特殊効果:敵の全耐性を極微小下げる。【鑑定】により具体的な数値が判明。


 レアアイテムっぽいぞ!! 【鑑定】スキルがないから、詳細の効果は分からないが、確認してみるか。なになに……狂戦士の威圧により、敵の全耐性を極微小下げる、か。器用貧乏な感じが半端ないな……。まぁ、せっかくのドロップだし、ありがたく貰っておこう!!


装備イクイップメント:狂戦士の指輪」


 さて、全ての事務処理を終えた俺は、狐っ娘が青い炎になってしまった地点へと視線を移した。既に五分は経過してしまっている。初めから何も無かったかのように、火種は消滅してしまっており、そこにあるのは落ち葉のみだ。


「くそ、間に合わなかった……、ごめんな、メギツネ……」


「メギツネさんは優しいから、きっと、わっち達を怨んでいないのです」


「「メギツネ……」」


 俺達は星空を見上げる。ちなみに、いまはまだおやつの時間。星一つ出ていない、青空だが。


「……ふたりとも、メギツネ言いたいだけでしょっ!?」


 流石エトナだ。俺達の意図を察したか。


「バレたか。いや、マジで最初名前聞いた時に笑い堪えるのに必死だったよな……」


「まさか名前がメギツネだとは思わなかったのです……」


「……さて、取り敢えず、豊樹の枝木に帰るか! もしかしたら、狐っ娘もいるかも知れんし!」


「これでクエストの報酬はがっぽがっぽ、なのです!」


 ユイユイの目がお金に変わっている。きらきらと輝いていた。


「うん、そうだねっ! そのお金で、ずんだ餅も食べたいしっ、じゅるり。ずんだ餅を考えていたら、おなか空いてきたよ」


「ユイユイの指なら食べてもイイぞ」


「ママとはいえ、さすがに嫌なのです!!」


 うーん、なにかを忘れている気がするのだが……。


 俺達は獣道を折り返し、エラルドへと帰還するために歩き始めた。


 俺はこのとき、気づかなかったのだった。仮想ウインドウに表示されていたメッセージに。


 《固有才能ユニークスキルの効果切れました。ステータスが元の状態に戻ります》



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