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第15話「さようなら、おっぱい……。また、会える日を楽しみにしている」

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 *


「どこで(はぐ)れちゃったの?」


 エトナの質問に狐っ娘は指を森の奥に差す。


「もう少し奥……だと思います。奥に神聖な湖があって、そこで体力を回復出来るのですが、辿り着く前にはぐれてしまって……」


「大変だったな……」


 俺は三人に追いつき、さも自然に会話に参加する。さも、可哀想にと、同情の眼差しを狐っ娘へと向けながら。


「……」


 だが、沈黙。誰も取り合ってくれようとしない。ぐすん。


「……えっ、パパ、なんか泣きそうなのです……」


「自業自得だよっ!」


「はい、俺が悪かったです、すみません。もうしませんから仲間に入れてください……」


「……う〜ん、わかりました、許します。初対面ですし、きっと場を和ませようと冗談を言ってくれたのですよね」


「そう、イッツジョークだ!!」


「本当に反省しているのかなっ!?」


 エトナが鬼の表情でこちらを睨みつける。


「もちろんだ! 俺が今まで嘘をついたことあるか?」


「うん。嘘の方が多かった気がするけど」


「……」


 日頃の行いが悪いとこうなります。


「まあ、今回は許すことにしようっ。メギツネさんも許してくれるみたいだし。一回だけだからねっ」


 はいー。言質取った。


 とりあえず、俺は感謝の意を全身に込めて、嬉々と震える(演技をする)。


 フリだ。馬鹿め、俺がこんなことで本心から謝罪するわけなかろう。一切反省などしない。


 男が男である限り、おっぱいは見たいものなのに、なんで謝らなきゃいけないんだ。少年である俺が大志を抱くのは当然だ! 絶対、俺の夢は諦めないからな!!


「あれっ、なんか怪しいなぁ?」


 ギクッ。


 エトナの勘が冴えわたる。俺の反省の色が薄いことに気づいたか。俺は地べたに許しを乞うように深々と頭を下げた。単純に顔を覗かれたら、嘘だと速攻でバレるからだ。断じて謝っているわけではない。そう、顔を隠すためなのだ。


 「まあ、いっか」と、エトナは諦める。俺は口角を上げる。


 勝った!! 俺の謝罪を信用するとはまだまだ甘ちゃんだな、我が幼馴染よ!!


 まだ、おっぱいを拝む権利は行使していないッ! 権利があるうちは諦めないぞ。


「……それよりもっ、メギツネさんの職業クラスは何なのかなっ? もしかしたら、今後、共闘するかも知れないし、一応把握しておきたくてっ」


 エトナの質問にメギツネは答える。


「私は盗賊シーフです。あまり戦闘向きのステ振りをしていなくて……。コボルトにもやられそうになっちゃいました」


「お、盗賊シーフ? なのです!?」


 盗賊シーフという単語にユイユイが反応した。どうしたんだろうか?


「わっち、いいことを思いつきました! 確か……盗賊シーフならアイテムの性能が分かる才能スキルがあるのです! 白うさぎさんがそんな事言っていたのですよ! さっきのコボルト討伐のお礼は、それでいいのです!!」


 ウォイッ!! 俺のおっぱいを拝む権利に何してくれやがる!?


「あ、その程度なら全然良いですよ、じゃあ、クモキさんが身につけているこのマントにしましょうか! うーん、あまり見たことない素材ですね……。では、さっそく。【鑑定】!!」


 コイツッ!! 強引に恩を返しに来やがった!! 俺は肯定どころか、なにも言ってなかったよねッ!?


「……こ、これは!?」


 うぅぅ、バイバイ……、俺のおっぱい……。


「……すごいです。初めて見ました。レアリティSの防具になります」


 おっぱい……。


「ええぇぇぇえええっ!? そのオンボロのマントがっ!?」


「たしかにクソダサなのです……」


 相も変わらず、俺のパーティーは本当に優しい奴らばかりだな。涙で世界が歪んで見えやがるぜ。俺は涙をこぼさないように空を見上げた。うん、木々の緑で覆われていて、清々しい青空を覗くことはできなかった。まるで、今の俺の気持ちを暗示しているようだ。


 さようなら、おっぱい……。また、会える日を楽しみにしている。


「身躱しマント。レアリティS。敵の物理攻撃を確率判定で自動回避して、レベル差が大きいほど確率は高まる。確率計算として、(相手のレベルー自分のレベル)+(運の良さ)÷10ですね。補足情報として、低レベル攻略を目指すなら必須級防具との記載がありますね」


「えーっと、俺のステを考えると……、レベル差がマイナスじゃない限り、ほぼ、100パーじゃねーか!!」


 これは!! 俺のステータスを考えると、かなり使える防具を序盤で手に入れたな。おそらく、物理攻撃はほぼ無効化出来たようなものだろう。ただ、魔術攻撃は流石に防げなそうだから、注意する必要があるな。


「運の良さステはレアアイテムドロップ率にも影響を及ぼすのです。パパは序盤から良い防具を手に入れましたね! 腐ったミドリムシ色のマントですが素晴らしいです!」


「ユイユイ……例えが辛辣だ……」


 マントってめっちゃカッコいいと思ったのにな。実世界では身につける機会もないし。女子にはこのロマンが伝わらないらしい。


 はあ、と目線を下すと、視界の端になにか光るものが入ってくる。


 ん? あれ、なんだ? 俺は周りを見渡す。女性三人(一人女児だが)は先を進んでおり、話に夢中で気づいてなさそうだ。もしかしたら、宝物かもしれない。


 先ほどのコボルトの戦闘で使用した固有才能ユニークスキルにより、運の良さは最高値の状態。これはチャンスだ。きっとものすごいお宝かもしれない。俺のものだッ!! 絶対にみんなには知られないようにしないと。特にユイユイは金にがめついから、奪われちまう。


 俺はバレないように、隠密行動をする。草地に落ちている光源に近づき、そそくさとしゃがみ込んだ。そして、光るものを手中に収めた。


 《1ギルを手に入れた》


 ……って、たったの1ギルかぁぁぁい!!


 ブオォン。


 しゃがみ込んだ瞬間、頭上に突風が吹き荒れる。


「え!?」


「きゃあぁっ!! クモキくん、後ろっ!!」



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