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第12話「さすがに、注意するのが遅すぎやしないか!?」

本編手元では全章完結済みの作品です。

次の話で序章が完結しますので、ブックマークで応援をお願いします。

6/17 16時ごろ投稿予約済み

 

 *


 翌朝、豊樹(ほうじゅ)の枝木へとやってきた俺とエトナは早速ユイユイと合流する。


「パパ、ママー、今日のクエスト攻略、よろしくなのです!」


「よろしくね、ユイちゃん!! 今日も可愛いね~」


「てへへ~!!」


 俺はエトナの様子を横目でチラリと窺う。特に変わった様子はなく、いつも通りのエトナがそこにいた。正直、昨日の公園の件はエトナが何を相談したかったのかが分からなかった。今日も様子がおかしかったら、どうしようかと、心の中では心配していたのだが、大丈夫そうだ。少しは気分が晴れたのかもしれない。


 俺がおっぱいを揉みしだいたことが効いたのかもな。よし、これからは、定期的にあの胸を堪能することにしよう。決して自分のためではない、エトナのためだ。


「クモキくん、顔が下品だよ」


「はっ!?」


 顔が下品ってなんやねん。ここはいつものキメ顔で、話を戻すことにしよう。


「コホン。まずは、パーティーを組むにあたって、改めて自己紹介からするか」


 エトナとユイユイは俺の提案に深く頷く。


「よし、じゃあ、まず俺からだな。俺はクモキだ。職業クラス弓兵アーチャー。LV7で昨日始めたばかりの初心者だ。見ての通り人間族なんだが、せっかくなんでも装備が出来るのに、不運の腕輪とかいう呪いの装備を身に着けているせいで、運の良さのステータスはマイナス999だ」


「マ、マイナスなのです!?」


「わっち、マイナスアレルギーで。マイナスと聞くとかゆくなっちゃうんです。今まで溜めてきたお金がマイナスになると思うと……ひ、ひぃ!!」


「え!? つまりはクモキくんアレルギーってこと?」 


 さすがにその解釈はひどくないか!?


「うんうん。しょうがないね、ママがぎゅーしてあげるよっ」


「ママ―」


 なんだろう。もし、一人娘が生まれて、俺が、家族の中で唯一の男だったなら、こういう居心地の悪さになるのかもしれない。うん、世の中のお父さんって凄いんだな……。俺は父にはなれないかもしれない。


「マイナスだが、大丈夫だ! 俺の固有才能ユニークスキルでマイナス999がまさかのプラス999、カンストにまで上昇するからな!」


「プラス999なのですか!? ぐへへ~。わっち、プラスという言葉に弱いのですよ」


 絶対に金を思い浮かべたな。ユイユイの頭には金銭のことしかないのかもしれない。エトナも若干引き気味だ。


「そして、この仮想世界での整った顔は、なんと驚け、現実世界の顔そのままだ。ごめんな、お子様には少し刺激が強かっただろう?」


 いくつもの女性を骨抜きにしてきた、45度スマイルで勝負をかける。ユイユイとは父、娘の関係だが、これだけの美少女だ。将来的には俺のお嫁候補になるかもしれない。


「ん? わっち、顔よりも金がある人がいいです」


「ひ、ひどいッ!!」


「そんなクモキくんは置いといて、次は私の番だねっ! 私はエトナ、LV6で、クモキくんと一緒に昨日始めたばかりだよ。私も人間族で体力は60、身の守りも20あるんだよ!! 身の守りの高さが分かるように、職業クラス騎士ナイトだよ。騎士ナイトを選択したのは守りたい人がいたから。この盾でユイちゃんのことも守るからよろしくね」


「よろしくなのです!! ママはぎゅーしてくれるから大好きです! おっぱいも大きいですし」


「そこなのっ!?」


「はい、大きいは正義です!! 額面もおっぱいも大きいに限ります!!」


 俺は激しく首肯する。さすが、我が娘だ。良く分かっているじゃないか。


「そこ頷かないっ!! 昨日のことを忘れたとは言わせないよ!!」


「ひぃ!」


 何でもしていいって言ったじゃんか! り、理不尽だ……。おっぱいを揉みしだいてしまったことは、話題をずらすことによって、回避しよう。うん、それがいい。


「ユイユイ、最後だ自己紹介を頼む!」


「わっちのなまえは高校生探偵、工藤新〇!」


「いや、ユイユイだろ」


「幼馴染で同級生の毛〇蘭と遊園地に遊びに行って、黒ずくめの男の怪しげな取引現場を目撃した。取引を見るのに夢中になっていたわっちは、背後から近づいてくるもう一人の仲間に気づかなかった。わっちはその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら……。……体が縮んでしまっていた!!」


「いや、ユイユイは元から小さいんだろうよ」


「そ、そんな複雑な事情があったなんて……」


「いや、エトナ、真に受けなくて良いと思うぞ」


「というわけで、わっちは高校生探偵に夢見る、美少女小悪魔、ユイユイです。わっちも2週間前に始めたばかりの初心者なのです。LVは12で、魔族なのです。職業クラス魔術師ウィザード。よろしくなのです!」


「いろいろ、ツッコミどころはあるが、俺らよりLVも高いし、期待しているぜ。よろしくな」


「よろしくねっ!」


「はい、よろしくなのです、パパ、ママ!」


「じゃあ、依頼クエストを受けるか」


「待っていました! なのです!」


 ちょうど昨日の受付のお姉さんのカウンターが空いていた。すかさず、3人で並んだが、受付のお姉さんは引きつった笑みを浮かべている。あまり、歓迎されていないのかもしれない……。


『ほ、本日はどのようなご用件でしょうか?』


「ああ、今日は依頼クエストを受けたくて。LV10前後でいくつか見繕ってほしいんです、お姉さん(・・・・)


「え、おば……」


「うん、ユイユイ、一回黙ろうか」


 そう、女性はみな、お姉さんなのだ。誰が何と言おうと、お姉さんなのだ


依頼クエストですね。承知しました。LV10前後の依頼書を並べます』


 カウンターに依頼書が8つ並ぶ。あとはどの依頼クエストを受注するか、か。軽く目を通した感じ、どの依頼書も似たり寄ったりだ。だが、その中でもひときわ報酬が高い依頼が存在する。


 うん。絶対これだけは辞めよう。俺の不運センサーが早速、警報を上げている。


 《クエスト──アーゼスト森林コボルト討伐戦──受注しますか?》


 内容:アーゼスト森林に生息するコボルトが荷車を襲い、積荷に被害をもたらしている。コボルト20体を討伐して、荷車を安全に運搬出来るようにしよう!

 推奨:LV10

 報酬:30000ギル


 《はい》 《▶いいえ》


 このクエストに関しては速攻で「いいえ」を選択する。他の依頼書も吟味していると、ユイユイが嬉しそうにぴょんぴょん跳ね回っていた。


「どうしたんだ、ユイユイ?」


「すっごい、高い報酬の依頼があったから、それを受けたのですよ!! アーゼスト森林コボルトとう……、たたかい? とかいうやつですよ!!」


「「え!?」」


 俺とエトナが異口同音に驚きの声を上げる。お子様には分からないかもしれないが、おいしい話には裏があるんだぞ!!


 逆ナンパされたと思ったら、宗教の勧誘だし、1億円に当選しましたというメールはなぜかこちらから振り込む必要があるとか言われるし。俺が不運とかは関係なく、普通の人でも同じような経験はあるはずだと思うが、さすがに社会経験が足りなかったか……。


 うん、でも、飛び跳ねて喜んでいるユイユイの姿を見ていると、微笑ましくなるな。この姿を見ることができただけでも、良しとするか。


 もしかしたら、普通の依頼書かもしれないしな。だが、受付のお姉さんはその依頼書を見て、平然と語るのだった。


『あ……それ。……受けちゃいました……か。最近そのクエストの受注者は全員が死亡しているので、お気をつけ下さいね』


「「え!?」」


 受付のババアめッ!! さすがに、注意するのが遅すぎやしないか!?



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