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第1話「ああ……、なんて、”運”がない」

※既に手元で完結済みの作品です。よって、絶対にエタりません。

※ギャグ:シリアス=7:3くらいのギャグ多めです

※後半はシリアスとギャグの割合が反転します。後半はヒロインとの恋愛要素多めです

※24/6/7初回は複数話連続投稿します

 

「ああ……、なんて、”運”がない」


 俺は不運の星に生まれたのだろう。


 毎日、登校時には必ず信号に引っかかる。それも、通学路に存在している13個全ての信号に。それだけじゃない、些細なことでいうと、鳥のフンが頭に落下した、俺だけ交通ICカードが壊れて反応しない、急に目の前を通った黒猫、それだけで不運なのに、さらに、尻尾を踏んで顔面を引っ掻かれる、などなど挙げるとキリがない。


 挙げ句の果てには、コンビニ強盗に遭遇して、防犯用のカラーボールをなぜか俺の顔面にジャストミートされる始末だ。店員さん、明らかに俺を狙ったよね……。


 そのせいで、何度、遅刻したことかわからない。


 そして、今は————。人生で一番の不幸の真っ最中だ。


 夢ならば、どれほど、よかったでしょう♪ウェッ!!


 と、歌いたくなるくらいには、不幸だった。ちなみに、このウェッがないと調子が出ない。ウェッがあの名曲を支えているというのが、俺の持論だ。


 そんなしょうもないことを考えている中でも、時は動いているわけで。まさか、こんな最期を迎えることになるなんてな。というわけで、さようなら、俺の人生。


 俺、雲輝 悟(くもき さとる)の身体に衝撃が走る。薄れゆく意識の中、幼馴染である妙連 恵菜(みょうれん えな)の叫び声だけが耳奥に残った。


 *


『ようこそ、ワタシはこの世界の住人、AIナビゲーションシステムNEVAです』


「ここは……一体?」


 白い部屋。天井も壁も、床すらも真っ白い正方形の部屋に俺はいた。この部屋はどこかで見たことがある。


 俺は思い出してみる。……そうだ、恵菜と約束していたんだった。高校2年生の夏、1学期終業式の帰り道の話だ。時間がたっぷりある夏休みを、今流行りのフルダイブ型のVRMMO RPGゲームで遊び尽くそうぜと。そう、ここは、VRゲームのヘッドギアでアクセスした際に、はじめに連れてこられるホームだ。


 記憶が曖昧だが、おそらく、帰宅して、ヘッドギアをセットしてゲームを起動したところなのだろう。と、なれば、さっそくゲームを楽しもうではないか!


『どのゲームを始めますか?』


「決まっている。最近インストールした流行ゲーム。EternalSagaを頼む!」


 EternalSaga――、現実世界と同じように五感を完全に再現をできる世界初のフルダイブ型ゲーム。世界的に大流行の兆しを見せており、フルダイブ型のゲームとしては世界最速で1000万ダウンロードを達成した革新的なゲームだ。


『承知しました。……。……初めての潜入フルダイブとなります。キャラを作成してください』


 NEVAがキャラメイクを促してくる。ホログラムで投影されているキーボードを操作しながら、キャラメイクを始めることにした。


 まずは名前か。


 【クモキ】、でいっか。本名だけど。恵菜とゲーム内のどこで待ち合わせをしたのか、うろ覚えの状態だ。もしかしたら、待ち合わせしていないのかもしれない。そういった状況からも、彼女に気づいて貰う必要があるしな。


 本名であれば、気づきやすいだろう。……それに、クモキという苗字はかなり珍しい。他人が見ても、まさか本名だとは誰も思うまい!!


『次に、外見を決める必要があります。キャラメイクをしてください』


 ホログラムで人の身体が投影される。デフォルトで表示されたのは、現実世界の俺と全く同一人物だ。まるで、鏡に映っているのでは、と錯覚をするほどの出来栄え。


 ふっ、何度見ても、俺はイケメンだ。特にいじる必要もないさ、俺は俺のままで完成されているのだから。


 余談だが、VRゲームでは、外見は現実に近い形の方が望ましいと言われている。動かす体躯たいくに差があり過ぎると、現実世界に悪影響を及ぼす可能性があるからだ。身長や体重といった身体的パラメータに乖離があればあるほど、現実世界に戻った際に、自分の身体の制御に違和感を憶えるようになるらしい。


 まあ、そういうところも加味して、今のままでいいだろう。


 というわけで決定、と。


『次に職業クラスを選んでください』


 仮想ウインドウが表示される。


 ―――――――――

 ▶騎士ナイト

 弓兵アーチャー

 魔術師ウィザード

 剣士ウォーリア

 援護兵ヒーラー

 盗賊シーフ

 ―――――――――


 今カーソルが合っているのは騎士ナイト。先ほど設定した俺の分身が、才能スキルのモーションを繰り出している。


 やっぱり、改めて見ると、俺カッコいいな! こうやって剣を振るう姿も捨てがたい。……だが、職業クラスに関してはもう決めてある。


弓兵アーチャーだ。ふっ、なぜかって?」


『いえ、そんなこと一言も……』


「カッコいいからだ、あのサーヴァントも弓兵だろ?」


『すみません、何をおっしゃっているか、理解に苦しみます』


「雑種がッ!!」


 いかん、いかん。つい、ナビゲーションAIにキレてしまった。なぜだろう。誰もいないのに視線が痛い。沈黙がわずかばかり続いた。


『……次に移ります。種族の選択をして下さい。今のキャラメイクですと、人族になりますがよろしいでしょうか?』


 またしても、仮想ウインドウに各種族の特徴が表示された。どれにするか迷うな……。


 ▶︎人族

 《ステータスポイントの取得が他種族より大きいです。器用な人族は全アイテムを使用することができます》

 獣人族

 《素早さに補正がかかります。獣人族にしか使用できない特殊な才能スキルを身につける可能性があります》

 ドワーフ族

 《力に補正がかかります。調合、錬成、強化の成功率に補正がかかります。また、ドワーフにしか作成できない武具を作成できる可能性があります》

 魔族

 《知力に補正がかかります。他の種族に使用できない特殊な悪魔術を使用することが可能になります》


 今回は全アイテムを自由に使用してみたいし、人族にしてみるか。YESと。


『次にステータスを決定します。記憶情報から基本ステータスを割り振ります』


  げ。嫌な予感が全身を駆け巡る。自慢じゃないが、不運の申し子である俺は【運の良さ】のステだけは絶対に低い自信がある。下手したらマイナスなんて値も採りうるかもしれない。ステータス画面を恐る恐る見てみる。なん……だと!?


 プレイヤーネーム:クモキ

 種族:人族

 職業:弓兵アーチャー


 体力35

 力14

 身の守り2

 知力12

 素早さ9

 運の良さ 50


 【運の良さ 50】。ステータスの中で一番高い項目が、運の良さ……だと!? 現実世界と仮想世界は違うということか。もはや、俺に欠点はなくなったと言っても過言ではないな。俺という存在が末恐ろしいぜ。


『次に、ログインボーナス中になりますので、冒険に役立つレアアイテムをお渡しします。ガチャをお引きください』


 ガチャ!? この世で一番嫌いな言葉だ! 不運続きの俺は、レアすら出てこない。全てノーマルだ。100回最低保証でスーパーレアがでるソシャゲのガチャで、何故かバグで最低保証のスーパーレアが出なかった男だぞ!!


 しかも、だ!! ソシャゲの運営に文句言ったら、そもそもゲームのデータごと初期化されて、ログイン出来ない始末だ。自分の不運さが恐ろしい。


 目の前ではアイテムの名前がロールされて次々と表示されており、ストップを押すように促してくる。うう、仕方がない。ストップボタンを押してみよう。


『おめでとうございます! 不運の腕輪を手に入れました。呪いのアイテムとなりますので、外すことは出来ませんのでご注意ください』


「なぁにが、『おめでとうございます』だッ!! 呪いの装備を手に入れて喜ぶ奴がいるか!! 人間様を煽るな!!」


『……ステータスが更新されました。表示します』


 こいつ、まったく聞く耳をもたないな。どれどれ、更新されたステータスは、と。


 体力35

 力14

 身の守り2

 知力12

 素早さ9

 運の良さ -999


「ガチャを引いて、運が悪くなるんかい!!」


『おめでとうございます!』


「いや、嬉しくないからッ!!」


 はあ。不運の星の下に生まれたと諦めるしかなさそうだ。


『最後に、固有才能ユニークスキルの付与となります。完全にランダム。何が出るかはワタクシにも分かりません。仮想世界に入り次第、付与されます。即時確認することをお勧めします。……さて、あとは潜入フルダイブと唱えてくだされば、アナタを仮想世界が出迎えるでしょう』


 俺は間髪入れずに唱えることにした。それは現実世界との離別の言葉。


潜入フルダイブ


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― 新着の感想 ―
[一言] 軽めのギャグは良いと思います
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