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魔力ゼロの最強光剣使い ~評価されない落ちこぼれ宇宙軍士官候補生は異世界で近接無双する~  作者: タック
二章 大災害級〝施しのアウグストゥス〟

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報酬でお買い物

 アユムは最上階である四階の応接室に通されていた。

 何やら高級そうなソファーや机、絵画などが設置されている。

 非常に落ち着かない。


「先ほどは大変失礼しました、アユム様」

「俺の名前は言いましたっけ?」

「それは冒険者ギルドでのご活躍を聞いて調べさせて頂きました」


 アユムはおかしいと思った。

 今日クエストを達成したばかりなのに、その情報をもう知っているというのだ。

 偶然ではなければ――


「たぶんアユム様がお考えの通りです。気になったタイミング的にはそう、初めて目にしたとき。一目惚れというやつです、はい」


 アユムは思わず顔をしかめてしまう。

 これが恋人にしたいような美女相手からならウェルカムなのだが、目の前にいる商人は中年男性だ。

 しかもクルクルとした変な髭を蓄えていて、視線の読めないサングラスらしき物をかけている。


「申し遅れました。ワタシの名前はジョンソン・エドラ。この商館を任されています」

「偉い方だったのか」

「商館……といっても、普通の商館ではないですがね。災害級出現に悩まされた各国が商人ギルドに協力して作られた商人の館――という意味での商館です」


 たしか本当の意味での商館というのは、特定国の商人を囲うためと歴史の授業で習ったことがある。

 それとはまた別という意味だろう。


「それで、なんで俺を襲わせて試すような真似をした? あの割符で報酬を支払う気はあるのか? 俺はここで買い物をできるのか?」

「おっと、質問が多くお有りのようですね。順を追ってご説明させて頂きます」


 ジョンソンは営業スマイルとも違う、胡散臭そうな笑みを浮かべている。


「アユム様を襲わせた理由。それは貴方様を買っていたからです。ああ、買うというのはもちろん購入とは違いますよ。これは定番の商人ジョ~~~ク!」

「はぁ」


 ノリも良く分からず、アユムとしては相づちを打つしかない。


「その注目株アユム様が、緊急クエストを達成したとの報告も届きました。そこでどこまで腕が立つのか、特異性があるのかを試させて頂きました。もちろん怪我をさせないようにとの指示で」


 緊急クエスト達成したくらいでいきなり試されるというのはおかしな気もするが、何か異世界特有の事情でもあるのだろう。


「結果、不思議な武器で制圧されてしまいました。それも一瞬の内に! 無傷で! 称賛に値するしかないですね。商人としては、その武器も気になりますなぁ……それ相応の報酬は支払うので情報をご提供願えませんか?」

「あ~……」


 周囲には市販の魔道具と偽っている光剣を、この場で本当のことをバラしていいのだろうか。

 アユムは一瞬悩んだ。

 しかし、速攻で七面天女から通信が入った。


『艦長アユム、ここは一切合切の開示をしましょう』

(マジか)

『ただし、このような条件をお付けください――』


 七面天女から出された条件は、アユムにとっては渋面になってしまうようなことだった。

 AIには人の心がない。


「わかった。ジョンソンさんだけに話す」

「おぉ!」

「ただし、他にバラしたり、この情報を元に敵対したりするようなことがあれば――」

「あれば?」


 アユムは言葉を溜めてから、その魔王的なAI思想を話した。


「この世界を破壊する」

「……これはまた規模が大きいですな」

「俺〝たち〟には、その力がある。この光剣も、しがない量産品の一つだ」

「な、なんと……」


 嘘は言っていない。

 元の世界では量産品だ。

 この世界でもいつか作れるようになるだろう。


「とまぁ、物騒なことを言ったが、この世界を攻撃する意図はない。無意味だからな」

「そ、それは助かります。もしかして、その言い方からすると、アユム様はこの世界の人間では――」

「星の外から迷い込んできた」


 アユムは現状を包み隠さず話した。

 ジョンソンは疑いの表情を一切見せず、真剣に耳を傾け続ける。

 すべての話を聞いたとき、彼はいきなり立ち上がった。


「素晴らしい!! 素晴らしいですよアユム様ァァァ!!」

「あ、うん……。でも、この話を嘘だとは思わないのか?」

「このサングラスは珍しい魔道具でして、真実を見抜くことができるんですよ! 妨害されている気配もないし、全て真実ゥゥゥ!!」


 あまりのテンションの高さに引いてしまう。


「全面的に協力致しましょう!」

「そ、それは助かる」


 アユムとしては七面天女の脅しに近い言葉に恐怖して従うパターンかと思ったが、どうやら商人魂の方に火が付いてしまったらしい。

 これはもう、前者と後者のどちらが良いのかは判断できない。


「えーっと、それじゃあ、割符の謝礼と、ここでの買い物の許可をもらえるかな……?」

「もちろん! ブラックカード待遇でお買い物をしていってください! ああ、今日はなんと素晴らしい日だ……!!」


 こうして手持ちの資金分、必要な資源を揃えることに成功した。

 ちょっとグイグイ来すぎてジョンソンは苦手だな……と思ったアユムであった。

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