2話 ゴーレムバトルエキシビションマッチ
パンプキンとルビーの実況が続いている。
『次のエキシビションマッチも楽しみですね。ルビーさん』
『本当ですね。ですが次の試合はもっと違う熱気に包まれるかもしれないですよ』
『どういうことでしょう』
『次の試合は結果は決まってます。ですが私達の技術と資源を全力で詰め込んだ、夢のゴーレムとリリ様の共演ですよ』
『夢のゴーレムというのは、リリ様用の特殊仕様のゴーレムのことですか?』
『そうです。見たら違いが分かります』
『ルビーさんがいきいきとしているので、私もさらに楽しみになってまいりました。進行を進めて、皆さんを待たせないようにしていきましょう』
『お願いします』
『この後、代表の皆様全員のゴーレム対リリ様の特殊仕様のゴーレムによる、エキシビションマッチが行われます』
『人数差がすごいですが、リリ様が勝つことは確定しているので安心して見てください。代表の皆様はどんなに攻撃しても全く問題ないので、全力でお願いします。見どころは次回開催の時に追加しようと思っている、機能が一部ついているところです』
『リリ様の勝ちが確定しているなら、安心して観れますね。代表の皆様も全力で攻撃できた方が腕の見せ所になりますから、楽しそうでいいです。特殊仕様のゴーレムはどれくらい強いのですか?』
『はい、今後代表の皆様以外にも参加人数が増えることや、もっと強いゴーレムを使ったゴーレムバトル大会が開催される可能性も考えて作りました。詳しい説明は、実物をリリ様が使ってからお伝えしたいと思います』
『分かりました。皆さん、ついにリリ様と代表の皆様の準備が整ったそうです。夢のゴーレム楽しみですね』
観客席から身を乗り出して、リリと代表たちの姿を見ようとしている者が大勢いる。
パンプキンが言う。
『では、最初に代表の皆様の入場です』
全エリアの代表が白色の選手席に入ってくる。
9体のゴーレムも同時にグラウンドの中に入ってきた。
大きな声援が響く。
『エリアの現在の上層の代表の方から、順に紹介させていただきます。トレニア様、乙姫様、ぼーん様、デモク様、ルエール様、プニプニ様、ファースト様、カーヘル様、いなも様です。皆様のゴーレムも同時に入場されています』
拠点の者達のほとんどは、代表が全員集まっているという光景を珍しいものを見たという表情で眺めている。
代表達は観客の声に応えるように手を振った。
ルエールが笑顔で手を振りながら、代表達にだけ聞こえるように言う。
「これいつまでやったらいいの?」
デモクが笑顔は固定したまま、呆れたような声を出した。
「ルエール、お前な。そういうことを言うからやる気がないように見えるんだぞ」
「そっか、難しいね」
先頭のファーストが手を振るのをやめて振り返る。
「そろそろいいでしょう。2人とも決勝戦お疲れ様でした。リリ様もとても楽しんでおられるようでしたよ」
ルエールとデモクも手を振るのをやめて言う。
「ありがとうございます、ファーストさん。リリ様に楽しんでいただけたなら何よりです」
「まあ、リリ様を楽しませられたなら、負けても悪くはなかったですね」
トレニアがルエールに突撃する。
「ルエール、ありがとー! デモクをコテンパンにしてくれて良かったよー」
「ははっ、どういたしまして」
デモクがムッとして言う。
「トレニア、ちゃんと見てなかったのか? 僅差だっただろ、僅差」
「僅差でも負けは負けでしょ。いなもと乙姫とプニプニが応援してたけど、優勝以外は許さないって言ってたよ」
乙姫とプニプニがニヤリと笑ってデモクを見る。
「ふふっ、そうだな。デモクよ。妾に勝っておきながら、優勝を逃すとは見損なったぞ」
「私達の分も良い結果を残してくれると期待していたんだがね」
デモクは大きくため息をついて、プニプニを指さす。
「そもそもプニプニは俺と戦ってないだろ! 勝手に期待するな!」
デモクは乙姫にも指を向ける。
「乙姫も自分の練習不足を俺のせいにするんじゃない! 負けたからって本気で睨むのをやめろ!」
「ふふっ、面白いことを言う。妾がいつ本気で睨んだと?」
「それだよ! 今! まさにやってるだろ!」
「あー、盛り上がっている所悪いんだが……」
「カーヘル、これが盛り上がってるように見えるのか……?」
「それはすまない。だが聞いてほしい」
カーヘルは言いにくそうに一度視線を斜めに逸らしてから、前を向く。
「これは、リリ様が昨日言っておられたことなのだが、渡したもので使いにくい物があるようであれば、練習でどうにかする前に使いやすい物に変更できないかの検討から入ってほしいそうだ」
全員がカーヘルを見た。
カーヘルには、驚いたような顔をしている全員が何を言いたいのかがよく分かった。
「リリ様から頂いたものを使えるようになるのが当然だと私も思っていたし、リリ様にもそう言った。だが、リリ様は、私が全部考えるよりも、それぞれにあった物にした方が使いやすさも増すし、見たことない形になって楽しそうだからじゃんじゃん言わせるようにしてねと言っておられた。そして、これからは全エリアでリフォームテロとゲリラリノベーションを行い、前と後を写真に撮って――」
「カーヘル、ストップ! ストップ!」
デモクは両手を前に出して抑えるような仕草をしている。
カーヘルは何だ? という顔をしてデモクを見た。
デモクはトレニアをチラッと見て言う。
「これからエキシビションマッチだ。今、全部言うとトレニアが集中できなさそうだからやめておけ。俺も詳しく知りたいし、必要なことだけ言って他のことは今度時間作って教えてくれ」
トレニアは顎に手を当てて、考え込んでいる様子だ。
カーヘルはもうほとんど言ったんだが、と困惑気味に言うと、プニプニ、乙姫、ぼーんを順番に見た。
「とりあえず伝えたかったことは、リリ様は道具の向き不向きを無くし、全員が全力を出せる環境をつくることを望んでおられるということだ。なので、それぞれが使いやすいゴーレムコントローラーの制作をしていきたいと思っているので、3人には協力をお願いしたい」
「もちろんいいとも」
「ああ、妾もだ」
「某の力の及ぶ限り協力しよう」
「感謝する」
乙姫とぼーんとプニプニが反省会を始める。
「しかし、先ほどのリリ様のお言葉はそういうことだったか」
「リリ様がより良くしようと考えておられるのに、某は自らだけの問題だと片付けてしまっていたのだな」
「考えを改めなければならないね」
その横で悩んでいる様子のトレニアが、思いついたような顔をしてカーヘルに声をかける。
「ねえ、もしかしてなんだけど、ゴーレムの方も変えてもらえるのかな?」
カーヘルは同じくらいの背丈のトレニアの顔をいぶかしげに見る。
「何か不具合があったか?」
「そうじゃなくて、アタシもっと速いゴーレムが良いんだけど、どうにかならないかな?」
「は? トレニアのゴーレムはすでにスピードタイプのものだろう。これ以上速くするって何を求めてるんだ?」
「何言ってるのカーヘル! もっと速ければデモクに勝ててたでしょ! もう防御力なんてなくて良いよ! 攻撃に当たりさえしなければ良いんでしょ!」
「お前こそ何を言っているんだトレニア! そんなことしてみろ! もしかしたら自分の攻撃の衝撃で壊れるかもしれない」
「いや、そこまで防御無くせとは言ってないだろ、さすがに」
カーヘルはデモクをジトッとした目で見上げる。
「本当かデモク。トレニアが、言ってるんだぞ」
「そう聞かれると自信はないが」
「防御力0にすると、自分の攻撃で壊れるのは知らなかったよ。それだと困っちゃうね」
カーヘルはデモクを見たまま、トレニアを指さした。
「ほら」
「すまん」
トレニアが気を取り直して言う。
「じゃあとりあえず、壊れないギリギリで作ってよ」
「リリ様に言っておく。トレニア、先に言っておくが、それだけでデモクに勝てるようになるとは思わないように」
「分かってるよ、カーヘル。でもこれで練習もすれば次回開催の時、優勝はアタシのものだよ!」
トレニアはガッツポーズをしている。
カーヘルは、そんな簡単に言うが……と難しい顔をした。
「全員練習をするだろうし、次回優勝はかなり難しいと思うが」
「デモクにだって、ルエールにだって負けないくらい練習すればいいんでしょ」
ルエールがトレニアに視線を合わせながら言う。
「トレニア、次回開催の時はプニプニもぼーんも乙姫も全力を出せるようになってるから、それも気をつけた方がいいと思うよ」
「確かにそうだね! 3人もライバルが増えるなんて頑張らないと」
プニプニがトレニアに優しく声をかける。
「我々もリリ様の手料理がかかるとなれば、トレニア相手でも手加減はできないからね」
ぼーんと乙姫も笑って頷いた。
いなもが困ったような笑みを浮かべて言う。
「リリ様に創られて、その条件で手加減ができる人なんていないんじゃないですか?」
「いなもの言う通りだよ。アタシも絶対、手加減できないって思うもん」
トレニアはがっかりしたように下を向く。
ファーストが励ますように言う。
「トレニア、私も次回までにできる限り特訓をするつもりです。一緒に頑張りましょう」
「ファーストずっと忙しそうにしてたもんね……。ライバルが増えてる気がする」
「ファーストさんが本気を出したら、もう僕達も無理じゃないかな」
「俺を見るな、俺はやれる」
ファーストは、ルエールとデモクを見て決意を新たにした様子で話す。
「リリ様とのエキシビションマッチでは、ルエールよりも多くリリ様のゴーレムに攻撃を入れられるように頑張りたいと思っています」
「ファーストさん、その心意気は良いですが、こちらの攻撃が当たるかはリリ様次第ですよ」
カーヘルの言葉に、ファースト、プニプニ、ぼーん、乙姫は全てを察したように微笑んだ。
デモクとルエール、トレニア、いなもは楽しそうに笑った。
デモクとトレニアが言う。
「カーヘルがそこまで言うなんてすごいことになってそうだな」
「リリ様のゴーレムすごいみたいだし、ルエールよりもたくさん攻撃当てられたら、褒めてもらえそうだね! アタシも頑張ろ!」
いなもが純粋な目でデモクを見る。
「そういえばリリ様が仰るには、戦いにならないから私たちとオウサツを楽しんでくださるそうなんです。私とトレニアには分からなかったんですが、デモクさん、オウサツって意味分かりますか?」
「オウサツ……もしかして鏖殺か?」
デモクはいなもと同じVIP席にいた4人に視線を向ける。
「おい、目をそらすな! 笑うな! お前ら逃げただろ!」
ルエールがいなもとトレニアに優しい笑顔を向ける。
「僕で良ければ教えてあげようか? 鏖殺はね、みなご――」
「待て! ルエール! 俺達には荷が重い」
トレニアといなもがデモクに詰め寄る。
「荷が重いって、そんな途中で切られたら気になるでしょー!」
「何か知ったら危ない内容なんですか?」
「いや、危ないというかだな……」
ファーストが真剣な表情で言う。
「全員、聞いてください。リリ様がこれより入場すると連絡が来ました」
代表全員が真剣な表情になった。
「カーヘル、確認しますが、思いっきり攻撃してもリリ様のゴーレムが壊れないというのは間違いありませんね」
「はい、ファーストさん、間違いありません。ルビーから説明が入りますが、ここにいる者なら見ただけで格が違うと納得してもらえると思います。こんなの初めて作ったよ、とリリ様が言っておられたので、誰も見たことがないのは確かです」
「それは楽しみですね。では、我々の全力をリリ様にぶつけましょう。そしてリリ様が鏖殺、つまりは皆殺しを楽しめるように、綺麗さっぱり消し飛ばされてしまいましょう」
ファーストの言葉に全員が面白そうに笑いながら、はいと返事をした。
◇
『最後にリリ様と、夢のゴーレムの入場です』
リリが赤色の選手席に入ってくる。
同時に今までのゴーレムとは明らかに違う見た目のゴーレムが現れた。
そのゴーレムの身長は8mを越え、体全体が七色に光り輝く金属でできていた。
長身に見合った巨大な剣と弓を軽々と持ち、その重そうな見た目からは想像できないほど軽快に歩いてくる。
その光景を見ている多くの者が思った。
これ自分でも勝てるんだろうか。
『ルビーさん、スタジアムから何にも聞こえなくなりましたよ』
『皆さん驚いているようでなりよりですね! 説明しても良いですか?』
『楽しそうですね。お願いします』
『はい、まずあのリリ様が操縦されている特殊仕様ゴーレム、名前をドリームと言います。ドリームは七色の秘宝によってできています』
『七色の秘宝って、この家で採掘できる最高ランクの金属ですよね! しかも他の金属は混ぜないであの大きさ。すでにすごい物な気がしてきます』
『その通りです。それに今まで見ていただいたゴーレムと同じ分類分けを、ドリームでも行っています。ドリームは攻撃力が低く、防御力が高いディフェンスタイプのゴーレムということになります。振り分けられるポイントがかなり高いので、ディフェンスタイプですが攻撃力は高くなります』
『なるほど、それでドリームはどれくらいの強さなんですか?』
『パンプキンさん! それは言えません。実際に動くのを見る前に言うのは勿体ない、という気持ちもあります。ですが、そもそもの話ゴーレムにはレベルや才能はありません。ポイントを何にどれだけ振ったか、形状はどうかという話になってしまうので、言葉で説明するよりも実際に見ていただきたいですね』
『分かりました。そこまで言われるのであれば、実際に見た方が楽しそうですね』
『そう言っていただけると助かります。今できる説明としましては、次回の新機能として、弓での遠距離攻撃ができるようになっています。それに合わせてリリ様がお使いになるコントローラーも、特別仕様になっています』
『弓での遠距離攻撃ですか、戦略性が上がりそうですね』
『はい、それが楽しみです。色々と試していただきたいですね。そして今できる説明は以上になります』
『ルビーさん、説明ありがとうございました。さて、説明の間に見ている皆さんは気持ちを切り替えられましたか? これからリリ様と代表の皆様によるエキシビションマッチが始まります。盛り上がっていきましょう』
観客席からはドリームに興味津々な視線が送られている。
パンプキンが進行を進める。
『第1回ゴーレムバトル、エキシビションマッチ開始の前に、リリ様、代表の皆様何かありましたら一言お願いします』
リリが代表達のいる選手席に向かって声をかける。
『代表のみんな、今日はよろしくね』
『こちらこそ、よろしくお願いします』
ファーストの言葉に合わせて、代表全員が頭を下げる。プニプニは前に傾いている。
リリは観客席に向かって言う。
『観てるみんなもよろしくね。今回は初回だから、ドリームのすごさが伝わるように動かすつもりだよ』
観客席から叫ぶような歓声が返ってくる。
リリは周囲を見渡して笑っている。
トレニアがリリに思いっきり手を振って言う。
『リリ様ー! アタシにも1発は入れるチャンスをくださいね!』
『チャンスはあるよ、順番は決めてあるからね』
『何の順番ですか?』
『見れば分かるよ。それに、ちゃんと防御性能も見てもらうから大丈夫だよ』
『それなら安心ですね』
『そうだね、じゃあ思いっきりやろう。パンプキン、開始の合図をよろしくね』
『かしこまりました、リリ様。では、私が僭越ながら開始の合図を出させていただきます。リリ様と同じように10秒数えまして、0と言ったら開始となります。皆様準備はよろしいですか?』
リリとファーストが言う。
『こっちは大丈夫だよ』
『こちらも大丈夫です』
『かしこまりました。では、これより、第1回ゴーレムバトルエキシビションマッチ、開始のカウントダウンを始めます。10、9、8――』
リリはワクワクした様子で、特殊仕様のコントローラーを構える。
代表達は審判はいらなそうだと笑っている。
観客はドリームがどんな動きをするのか楽しみに待っている。
『――3、2、1、0』
ゴーレムが動き出す。
『開始となりま、って速い速い! ドリーム速すぎますよ。ルビーさん、今ドリームがグラウンド10周くらいしませんでしたか?』
『それくらいは余裕ですね』
『1秒かかってないですよ』
『会場の皆さんも驚いてますね』
『あれを見たら、誰でも驚きます』
『私を含め制作者からしたら、皆さんが驚いている光景はだいぶ楽しいです。きっとリリ様も喜んでいますよ』
『それは良かったです。あ、ドリーム、代表の皆様のゴーレムに向かって、かかってこいとでも言いたげに手のひらを曲げてますよ。コントローラーであんなこともできるんですか?』
『あれはリリ様専用のコントローラーについている、音声指示機能でやらせています。音声指示は難易度が高いので、今のところリリ様専用になっています』
『なるほど。そして、代表の皆様のゴーレムが動き出しました。ドリームを見たあとだとゆっくりに見えます』
『文字通りステータスの桁が違いますからね』
『一番早くドリームにたどり着いたのは、スピードタイプのルエール様とトレニア様のゴーレムだ!』
『ドリーム、攻撃を避ける気は無いようです』
『御二方のゴーレムが走ってきた勢いのまま攻撃を繰り出します。が、ビクともしません』
『次々に攻撃を当てていますが、削れているようにも見えないです』
『他の代表の皆様のゴーレムも辿り着きました。パワータイプに期待ですが』
『デモク様といなも様のゴーレムですね』
『ドリーム、避ける気がないので全て当たっています。ですが、全く問題なさそうです』
『動いてすらいません』
『お、デモク様といなも様のゴーレムが同時に攻撃体制に入っています。同時攻撃ですか』
『無事に決まりましたが、やっぱり動きません』
『ドリーム硬いですねー。どれくらい硬いんですか?』
『ドリームは最初全ての能力を均等にできる、バランスタイプが良いんじゃないか、という話になっていました。ですがゴーレムのコアを壊さない程度の攻撃力にしたくて、ディフェンスタイプで作っています。攻撃に振る予定の余りを全て防御に振った形なので、100レベルのパンプキンさんが直接攻撃しても、ちょっとやそっとの攻撃じゃあ壊せませんよ』
『私が戦う前提は普通に恐ろしいのでやめましょう。あ、ドリームついに動くようですよ』
『一気に距離を取りましたね』
『弓を構えています。誰を狙っているんだ? あ! すごい! 一撃です! ルエール様のゴーレムが避ける間もなく粉砕されています』
代表達は、本当に綺麗サッパリ消し飛ばされて笑っている。
観客は圧倒的な力の差を感じられて楽しそうだ。
パンプキンが実況を続ける。
『また弓を構えていますね。おー! すごい! 連続で2回撃ってます。デモク様とファースト様の順に、御二方のゴーレムに見事に当たりました』
『連射もドリームの器用さなら、自由自在です』
『こちらも一撃で粉砕ですね。次は剣に持ち替えました』
『もうドリームを止めることは、誰にもできません』
『ドリームやはり速い! 一瞬で距離を詰めて、トレニア様のゴーレムを上から下に斬り捨てました! 次の獲物は誰だ?』
『パンプキンさん、私分かりました。ドリーム、トーナメントの成績上位の方から倒していってます。だから次はいなも様ですよ』
『本当ですね! 順番は決まってるというお言葉はそういうことでしたか。そして本当にいなも様のゴーレムは、ドリームの連続攻撃で一瞬で粉々です』
『近くにいたので、流れるように乙姫様のゴーレムも消しにかかってますね』
『乙姫様のゴーレムはディフェンスタイプですが、やっぱり横一閃です。鮮やかな動きですね。次はぼーん様のゴーレムに近づいています』
『ぼーん様のゴーレムもディフェンスタイプです。一応、防御体勢はとっているんですけどね』
『剣ごと折ってるじゃないですか! というかドリーム、今チョップで折りませんでしたか?』
『剣よりもドリームの方が硬いので……』
『防御体勢は取らない方が良さそうですね』
観客たちはリリらしい攻撃だと笑っている。
ルビーが話し出す。
『トーナメントに出場していた代表の方は、次で最後ですよ』
『プニプニ様のバランスタイプのゴーレムに、ドリームが近づいています』
『プニプニ様のゴーレムはとりあえず攻撃体勢をとっていますね』
『プニプニ様のゴーレム、上段からの攻撃です! 対するドリーム、下から上に剣を振り上げます! プニプニ様のゴーレムの剣を吹っ飛ばしました!』
『そのまま下に向かって斬り捨てています!』
『あとはカーヘル様お1人です』
『カーヘル様のゴーレムも、ファースト様、プニプニ様と同じくバランスタイプです』
『ドリーム、ゆっくりとカーヘル様のゴーレムに向かっています』
『スティックを少しだけ倒すと、ゆっくり動けます』
『ゆっくり動くと貫禄が出ますね』
『ドリームに実際にゆっくり近づかれると、結構な恐怖感がありますよ』
『絶対に体験したくないやつですね。おお、カーヘル様のゴーレムも攻撃をするようです』
『防御に意味はないと、分かっているからこそですね』
『ドリーム、少し離れた位置で腰に剣を構えてます』
『カーヘル様のゴーレムが、ドリームに向かって突撃していきました!』
『対するドリームはおっと! 一気に加速して、通り抜け様にカーヘル様のゴーレムを横一閃で真っ二つだー!』
『居合切りみたいでカッコいいです』
代表全員のゴーレムを倒したドリームは、観客席に手を振りながらグラウンドの中を回っている。
観客席から歓声が沸いている。
『ドリーム、あんな動きもできるんですね』
『観客にアピールですか。コントローラーで、できたら楽しそうです』
『それは盛り上がりそうですね。ルビーさん、よろしければ次回開催の時には実装をお願いします』
『良いですね。それに今の言葉はリリ様とカーヘル様に届いてますから、もしかしたら実装されるかもしれないですよ』
『そうなったら嬉しいですね』
リリと代表達は手を振って退場していった。
観客たちはすごいものが見れたと楽しそうに盛り上がっているようだ。
『さて、これにて第1回ゴーレムバトルは終了になります。この後はリリ様よりルエール様に、1日リリ様の手料理食べ放題券の贈呈と、リリ様からお話があります』
『リリ様からのお話はできれば全員聞いて欲しいと言っておられたので、そのようにお願いします』
『会場にいない方でゴーレムバトルを観ていない方がいるようでしたら、伝えてあげてください』
『全員が見られるようにモニターが配置されていますから、ほぼいないとは思いますけどね』
『一応、確認だけお願いします』
『グラウンドの片付けが終わったようですね。もう少ししたら贈呈式ですよ』




