↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/106

29話 完璧な作戦

「よし、事件を起こしに出発だね」


 窓を開け、まずは調味料専門店コフシーに向かった。

 コフシーの店主は協力をお願いしたあと、捜査班に様子をずっと見張っていてもらっていたが、店内の店員に説明する以外誰かに言う様子もなかったので拠点内ではほぼ白だと考えられている。

 人がいなかったので、一瞬でたどり着く。


 コフシーに着くと、外で店主が待っていた。

 周りには誰もいない。

 店主は3人に気がつくと声をかけてくる。


「早かったな、さっそくだが壊してくれ」

「ええ、任せてください」


 アルバートが答える。

 樽の前に移動する3人。

 ピーちゃんはサラの肩から降りる。

 剣を構える2人。


 アルバートが縦に切りつけた後、すぐにサラが横に切り裂く。

 樽が大きく砕けた。

 そのあとアルバートとサラ、それに店主も足で何度も踏みつぶす。

 ピーちゃんもくちばしで結構な速さで割るのに協力した。

 それだけで樽はバラバラに砕け散る。

 無事に誰にも見られることもなく事件を起こすことに成功した。

 店主にサラが伝える。


「私達がこの樽を運ぶのを昼間に見られていると思います。もしかしますと私達が犯人だと思われるかもしれません。ですが私たちはグルーク資料館が燃やされた後にこの町にやってきました。ですので、もし聞かれるようでしたらそう答えていただけると助かります」


 店主は分かったと言って3人が次の犯行に向かうのを見送った。


 3人はコフシーの店主から見えなくなると、屋根の上に登ってアクセサリーを売っているイユートに一瞬で着いた。


 イユートの店主も外で待っていた。

 周りには誰もいない。

 3人に気がついて声をかけてくる。


「やあ、早かったね、看板を外すところからお願いできるかな」


 店主に聞いてみると看板は台に乗っているだけらしい。

 なのでアルバートとサラにピーちゃんが魔法の詠唱風に〈飛行〉をかけた。

 店主は2人が飛ぶのを驚いてみている。

 2人が看板をもって降りてきた。


 ピーちゃんが看板の上で倒れないように抑える。

 2人が剣を構えた。

 ピーちゃんは思う。

 かなり上にいるからセーフ。


 半分くらいのところでやめるように言っておく。

 アルバートとサラがだるま落としのように下の方から切っていく。

 半分になったので地面に降りた。

 あとは2人が手で押さえて切っていく。


 看板がバラバラになったので、店主に許可を取ってあたかも屋根の上で壊しましたよという風に屋根の上や、その付近の地面にばらまいた。

 ここでも無事に誰にも見られることもなく事件を起こすことに成功した。

 イユートの店主にもコフシーの店主に伝えたのと同じように、自分達はグルーク資料館が燃えた後に来ましたという話を伝える。


 店主は分かったよと言って3人を見送った。


 次はポーションを売っているキュヘーレだ、ここにも一瞬で到着する。

 ここも周りには誰もいないようだ。

 店主は中で待っているようだったので、入り口をノックする。

 店主が出てきて声をかけてくる。


「早かったですね、ここに置いたままで大丈夫ですか?」


 店の前に置いたままだと、店に傷がつくかもしれないので、ピーちゃんが金属製の容器を運んで2人が道で切ることにした。

 2人の前に巨大な寸銅鍋のようなものが置いてある。

 アルバートは足で蹴り上げて浮いている状態のものを、上から思いっきり切った。

 半分に割れる容器、落ちる前にもう一度横に切る。

 金属製なので今の状態で、これ以上切るのは難しそうだ。

 ピーちゃんが次の容器を渡す。


 サラは無詠唱でスキルを使って剣に炎を付与した。

 いきなり剣が燃えたように見えるので、店主は驚いたようだ。

 サラは気にしないように言ってから。

 剣を使って地面に置いてある容器を、溶かすように切っていく。

 いくつもの破片になったところで、サラは切るのをやめた。

 ピーちゃんが次の容器を渡す。


 すべての容器が大きい破片と小さい破片になったところで、店の前に戻していく。

 無事に犯行が終わったところで、ここでも今までと同じように、自分達はグルーク資料館が燃えた後に来ましたという話を伝える。


 キュヘーレの主人もそれを聞いて、分かりました、と言って3人が移動するのを見送った。


 次はデカップの防具屋だ。

 店主は外で待っていた。

 3人に気がついて声をかけてくる。


「おや、思ったより早かったな、よろしく頼む」


 移動はもちろん一瞬だったが、キュヘーレで少し時間がかかったので2番目くらいに思われているようだ。

 石像に近づいて音が出ないように倒す。

 そのあと剣で小さいブロックになるように切る。

 ブロックになった石像を足でなるべく細かく砕いていく。

 デカップの店主は盾を使って、砕いている。

 無事に粉々になったところで、今までと同じように、自分達はグルーク資料館が燃えた後に来ましたという話を伝えた。


 デカップの店主がああ、分かったと言ったので最後の犯行に移る。


 最後はベリスの武器屋だ。

 もちろん周りには誰もいない。

 店主もいないようなので、扉をノックする。

 店主が出てきて言う。


「おお、ちょうどいいタイミングだ。ちょっと待ってろ剣を持ってくる」


 店主が次に剣を持って出てきた時、剣は赤く光りひびが入っている。


「壊しやすいように色々やっておいたぜ」


 3人が思った。

 やる気に満ち溢れ過ぎている。

 さあ、早く壊せという風に見てくるので、アルバートが剣を持って、サラが剣を砕いていく。

 見事にバラバラに砕け散った。

 ベリスの店主は満足そうだ。


 満足そうなベリスの店主にも今までと同じように、自分達はグルーク資料館が燃えた後に来ましたという話を伝える。


 ベリスの店主もそれを聞いて、言う。


「おう、そうだな、グルーク資料館が燃えた噂が広まったあたりで、新人冒険者が他所の町から新しく入ってきたって噂が広まったから、誰も疑わないと思うぞ」


 3人でそれは良かったとベリスの店主に伝えた。

 無事にすべての犯行が終わったので宿に帰ることにする。

 ベリスの店主は明日の噂が楽しみだと嬉しそうに笑って言った。

 3人も笑って楽しみだね、楽しみですねと伝えてから、ベリスの店主に見送られて宿屋に戻った。


 宿屋の部屋に窓から入る。

 無事に誰にも見られずに戻ることが出来た。

 ピーちゃんはデザートの食器を片付けてから、2人に聞く。


「ねえ、アルバート、サラ、明日噂が広がるのは昼以降だろうし、森の盾の人達が朝確実に来るとも限らないし、まずさっさとグレイトホーンを倒してからお昼に町を回らない? 朝のうちに冒険者ギルドで森の盾の人達と話したいんですって伝えて、だいたいどれくらいの時間に彼らが帰って来るか聞いてみたら教えてくれるんじゃないかな」


 アルバートとサラも噂がどうなるのか楽しみなようで、ピーちゃんの案に賛成のようだ。


「朝のうちに噂を聞いてもまだそこまで流れていないでしょう。なのでそれでよろしいかと思います」

「明日の噂が変わってから聞いた方が楽しいでしょうし、森の盾の方々と確実に会うにはその方が良さそうに感じます。なのでそのように、動くことにいたしましょう」


 ピーちゃんはアルバートとサラが言っていることを聞いて、明日は早くから行動することを決めた。

 なので、2人に伝えた。


「じゃあ、明日は早めに起きて冒険者ギルドに行こう。それで、最後までは待たずにさっさと森に向かおう。そのために早く寝ないとね」


 2人はそれを聞いて寝る体制に入る。

 ピーちゃんはそれを見て2人にこう言う。


「おやすみ、アルバート、サラ」

「「おやすみなさい」」




 ピーちゃん、アルバート、サラは朝早くから起きて冒険者ギルドに向かっている。

 まだ人通りもあまりなく、噂は流れていないようだ。

 冒険者ギルドに入る。

 マッチェがすでに受付にいた。


 ピーちゃんはそれを見て、ギルド職員って昼は自由だけど朝は早いんだなと思った。

 冒険者もそこまでいないので、すぐにマッチェと話すことが出来る。


「マッチェさん、おはようございます」


 マッチェは3人がいつもより早く来たのでおはようございます、今日はお早いんですねと言った。

 3人は今日は最後まで待たずに早めに森に討伐に行きたいんですけど、大丈夫ですかと聞く。

 マッチェはそれを聞いて、ギルド長に相談に行った。

 そのあとすぐに戻ってきて、今いる冒険者を全員雇って行くといいと言われたことを話す。

 3人はそのようにお願いしますと言った後に、聞く。


「森の盾の方々とお話ししたいのですけれど、いつもどのくらいに森から戻って来られますか?」


 マッチェはサラに聞かれて思い出してから伝える。


「いつも鐘が7回鳴る少し前には帰ってきてますよ」


 3人はそれを聞いて、ありがとうございますと言って、その場の冒険者全員を雇う準備が終わるのを待つためにその場を離れた。

 少しずつ冒険者が入って来るのを見ていると、マッチェが呼びに来る。

 無事に16パーティほど集まったようだ。

 ネックレスを受け取る。

 全てのパーティと挨拶をしてから冒険者ギルドを出た。


 少しは人通りが増えてきたようで、勇者パーティだと言われながら町を出る。

 そのあとやっぱりサクサク、トスッでグレイトホーンを狩っていった。

 今日は何とか60台でギリギリ収まるくらいで町に戻る。

 町に入る時、3人はとてもワクワクした気持ちだった。


 町に入って昨日事件が起きた店を回ってみることにする。

 まずは調味料専門店コフシーからだ。

 コフシーに向かっている間、3人は視線を感じた。

 もしかしたら予想通り、犯人扱いされているのかもしれない。

 でもそれは逆に予定通り、事件が起きたと噂されているということだ。

 3人は少し楽しくなってきた。


 コフシーに着く。

 コフシーでは樽がバラバラに砕け散った様子を見て、多くの人が驚いていた。

 コフシーの店主はくそ、誰がこんなことをという風にたまに演技しているようだ。

 ちょうどそのタイミングだったらしい。

 3人は思った。

 ここの店主意外にも演技派だと。

 なのでアルバートとサラもそれに合わせて動く。

 店主さん何があったんですかと言いながら近づいた。

 店主は3人を見て、酷いことをされたんだ、ぜひ聞いてほしいからこっちに来てくれと言って3人を裏に連れていく。

 裏に着くと店主は3人に笑って言う。


「無事に町の人達が噂してる。3人の事も聞かれたが、昨日言われたことを伝えると全員納得してたな。しばらくはこうやって演技しておくから明日には町中に噂が広がってると思うぞ」


 それを聞いている店員も笑っているので店全体で、噂を広げてくれるようだ。

 3人は笑いながら引き続きよろしくお願いします、と言ってアクセサリーを売っているイユートに向かった。


 イユートではバラバラになった看板を多くの人が見上げている。

 イユートの店内に入ると、客はいないようなのですぐに店主と話すことが出来た。

 店主は3人に気がついて楽しそうに声をかけてくる。


「やあ、他の店の噂も聞こえてきたから無事に事件が起きたってことになってるみたいだよ」


 店主は他にも噂になっていることを教えてくれる。


「それから昨日3人が言っていた通り、3人が犯人じゃないかって噂も流れてるみたいだよ。でもグルーク資料館が燃えたあとに来た人たちだから、違うんじゃないかって噂も一緒に流れてるみたい。ちゃんとイユートでは3人がグルーク資料館が燃えた後に来た人たちだって噂を流しておいたよ」


 3人はアリバイがあるって最高だねと思いながら、笑って引き続きよろしくお願いします、と言ってポーションを売っているキュヘーレに移動した。


 キュヘーレでは店の前に散らばった金属の破片を多くの人が見ていた。

 店の中に入る。

 キュヘーレでは客がそれなりにいた。

 店主は少し悲しそうに見える。

 3人が近づくと聞いてください、酷いことが起きたんですと言って裏に案内された。


 裏に着くと店主は面白そうに教えてくれる。


「無事にうちでも事件が起きたと思ってもらえたようです。勇者パーティがいないのに事件が起きたということで、すごい早さで噂が流れているようですよ。町の皆さんは空を走る光を応援していますから、今回の事件で犯人ではないという噂になるので話題になりやすいみたいですね」


 ポーションを作っている人達もそれを聞いて笑いながら、ポーションを作っている。

 3人は町の人達は勇者パーティを応援してるんだな、という実感がさらに増した。

 3人はキュヘーレの店主に笑いながら引き続きよろしくお願いします、と伝えてデカップの防具屋に向かった。


 デカップの防具屋では砕けた石像を何とか元に戻せないかと、店主と店員で組み立てようとしている。

 その様子を多くの人が見ていた。

 3人が近づくと店主が気がついて大きな声で話しかけてくる。


「君たち聞いてくれ、昨日宣伝のために出してもらった石像が昨日の夜のうちに壊されてしまったんだ。詳しく話したいから店の中に来てくれ」


 店の中に客はいないようだ。

 店の中に入ると店主は嬉しそうに教えてくれる。


「町の人達は誰もわざとだとは思ってないみたいだな。俺たちが必死に直そうとしてるのをみてるからなおさら、わざとだとは思えないみたいだ。昼間は暇だからこのまま直せないか試しているみたいにやっておく。任せてくれ」


 3人はこの調子ならわざとだとは、ばれなさそうだと思い。

 デカップの店主に笑いながら引き続きよろしくお願いします、と伝えてベリスの武器屋に移動した。


 ベリスの武器屋では店主が店の前で、くそが、また俺の店を狙いやがって、という演技をしている。

 大勢の人がその様子を見ていた。

 3人はやっぱりやる気に満ちているなと思った。


 店主は3人に気がついて大声でまくし立てる。


「おい、あんたら聞いてくれ、また犯人が俺の店を狙いやがったんだ。許せねえから詳しく話を聞いてくれ」


 と言って店の中に入るように促される。

 中に入ると店主は気分がよさそうに教えてくれる。


「いやー最高だな。どうせ今回の俺の店を壊したのは空を走る光だって噂も、うちの店を壊した犯人が流した噂なんだろ。そう思うと犯人が流した噂を打ち消せると思うだけで、やる気が出てくるよな。今も思いっきり噂が流れてるし、今日中には噂が変わってそうだな」


 3人は店主が昨日からすごいやる気に満ち溢れていた理由に、納得した。

 ベリスの店主は昼間は暇なので演技をこのまま続けるつもりのようだ。

 それを聞いて笑いながら引き続きお願いします、と伝えた。

 ベリスの店主はおう、任せろと言って表情を苛立ったものに変えて店を出ていった。

 3人もそれに続いて店を出る。


 店から離れる3人にベリスの店主が大声で協力頼んだぞと叫んだ。

 それを聞いて、3人も任せてくださいと大声で返した。

 3人が犯人なんじゃないかという噂を打ち消すために、わざと大声で叫んでいる店主に手を振って冒険者ギルドに向かった。


 冒険者ギルドは冒険者たちが戻り始めており、もう少しするとだいぶ混みそうだ。

 冒険者達からの視線を感じる。

 マッチェの受付に向かう。

 マッチェは3人に気がついてこんばんはと声をかけてくる。

 こんばんはと挨拶を返しながら、ネックレスを最初に渡す。

 マッチェはネックレスを受け取りながら、聞いてくる。


「町で今噂されている内容をご存知ですか」


 ピーちゃんが答える。


「今日勇者パーティがいないのに事件が起きたって話? それともピーちゃん達が犯人なんじゃないかって話?」


 マッチェはそれを聞いて、答える。


「両方です。皆さんがこの町に来ていただいた日が、グルーク資料館が全焼した事件の次の日なので、皆さんが犯人だとは職員や冒険者の誰もが考えていません。ですが何故かそのような噂が流れているのです。理由を知っていれば教えてもらえませんか」


 ピーちゃんはアルバートとサラに楽しそうに、全部言っていいよねと聞く。

 2人は面白そうに、よろしいと思いますと答える。

 ピーちゃんはマッチェに教えてあげることにした。


「マッチェさん実はね、今日の事件の犯人はピーちゃん達なんだよ」


 マッチェはかなり驚いている。

 周囲からどよめきが聞こえる。

 何故そんなことをと聞いてきた。


「昨日町で勇者パーティがいないから事件の犯人は勇者パーティだって噂が流れたでしょ。あれを聞いて嫌だなと思ったから、空を走る光を応援している店の人達に協力をお願いしたんだ。それで噂を打ち消すのに何か壊していいものはないか、聞いて回ったんだよ」


 ピーちゃんは大きく翼を動かして話す。


「その時にたくさんの人に見られてたから、犯人なんじゃないかって噂が流れてるんだと思うよ。それで深夜に店を回って壊していいよって言われたものを、壊して回ったんだ。今日は無事に事件が起きたって噂が流れたから、勇者パーティが事件の犯人じゃないって町中の人が思うよね。町の人達が安心できる完璧な作戦だよ」


 マッチェはそれはすごいことを思いつきましたねと3人に伝えてくれた。

 ピーちゃんはしかもグルーク資料館が燃えた後にピーちゃん達は来たから絶対に犯人ではないんだよ、と完璧な作戦の完璧さを教えてあげた。


 マッチェは次回また同じような事をする場合は事前に相談して欲しいという事を伝えつつ、冒険者ギルドからもピーちゃん達が犯人ではないという正確な情報が流れるように、グルーク資料館が全焼した後に来たという話を広めておきますね、と勇者パーティの噂をかき消す作戦に協力してくれるようだ。


 楽しそうなマッチェにピーちゃんは聞く。

 森の盾の人達は今日は冒険者ギルドに戻ってきそうかな? と。

 マッチェは答える。


「ええ、今日も森の盾の方々は森に向かいましたし、皆さんが会いたいと言っていたという話もお伝えしてあるので、冒険者ギルドには必ず来てくださると思いますよ」


 それを聞いて3人でマッチェにありがとうございますと言ってから、冒険者ギルドの外で待つことにした。

 冒険者ギルドから職員が何十人も出ていく。

 その時に3人を見つけては、完璧な作戦ですねと楽しそうに伝えてくれる。

 冒険者たちがギルドの中に入る。

 そして出ていくときに3人を見つけて、完璧な作戦だなと言いながら町に向かって行った。

 3人はそれを見て冒険者たちも協力してくれるんだねと思った。

 完璧な作戦はここまで完璧だったかと思えた、数百人程度の人数が冒険者ギルドから出ていった辺りで森の盾が冒険者ギルドにやって来る。

 そして3人を見つけて、近づいてくる。

 ケルビンが言う。


「すげー完璧な作戦だな、今は誰も3人のことを疑うやつはいなくなったぜ」


 と町に入ってからの様子を教えてくれた。

 それを聞いて3人はお互いを褒めあう。

 ピーちゃんが完璧だねやったね、アルバートが完璧な作戦です、サラが完璧な作戦でしたねと褒めあった。

 それを見て楽しそうな森の盾のリーダー、ジュールが聞く。


「それで俺たちに何が聞きたいんだ?」


 森の盾に少し冒険者ギルドの入り口から離れてもらう。

 近くには誰もいない状態でアルバートがまずは理由を伝える。


「情報誌を読んでいて、町で起きた事件で何故こうなったのか原因が分からないものがあったので、原因を知っていれば教えてもらえないかと思って皆さんを待っていました」


 サラが情報誌を取り出して見せる。


「この、町で急に暴れだした人が実は化け物でしたという事件です」


 それを聞いて森の盾のメンバーはジュールがあー、ケルビンがあれかー、グラムが分からないよねと少し嫌そうだ。

 ジュールが気を取り直して教えてくれる。


「原因は俺たちも知らないんだがな、町で生まれて、町で育った奴が急に暴れて調べてみたら化け物だったっていう話だろ」


 ケルビンが続ける。


「あいつ話してることもおかしかったよな。俺はもう俺じゃないんだとか町に被害がーとか」


 グラムが冒険者や衛兵の間で言われている原因について教えてくれる。


「魔物が町で生まれたその人を殺して成り代わったていう話もあるね。それか伝承でしか伝わってないけど、デメシードっていうものを使ってその人が化け物になったかじゃないかって言われてるよ」


 デメシードって何なんだろうなと森の盾の3人は話している。

 デメシードという単語を聞いてアルバートとサラは一瞬嫌そうな顔をした。

 すぐに元にもどる。

 ピーちゃんは思った。

 

(あの、運営の正気を疑われるイベントの中でも上位に食い込む、えぐさとグロさが酷いデメシードがこの世界に実装されている)


 続けて考える。


(えー、あれって公式のホームページとか攻略サイトとかが荒れに荒れた原因の最悪のイベントだよね。失敗すると後味がすごい悪いし、成功しても結構グロいし、そういう噂を知ってたから、攻略サイトのお世話になってから攻略したあのデメシードか。というか、これがウィルが心配されてた理由なの、結構日数経ってるけど大丈夫だっけ……)


 ピーちゃんはウィルの水槽に、何を入れてたかなと思い出す。


(まだ、大丈夫かな。ちゃんと対策できるものは初日に入れてたね。でもあのデメシードか、二度と見たくなかったんだけど。しかもゲームじゃなくて目の前で見ないといけないのが、結構つらい。ちゃんと人員をそろえてから、空を走る光のみんなに原因はこれか聞いた方がいいね)


 空を走る光の治療の進み具合を考える。


(そろそろ治るだろうし、聞けば答えられるんじゃないかな)


 原因について話し込んでいる森の盾のメンバーに、ピーちゃんが言う。


「教えてくれてありがとう」

「いや、原因を教えてやれなくて悪かったな」


 ジュールは残念そうな顔をしている。

 アルバート、サラ、ピーちゃんは首を横に振る。


「いえ、予想だけでも聞けてよかったです」

「お話を聞けて少しすっきりした気分になりました」

「ありがとー」


 森の盾のメンバーはそれならよかったと言って、冒険者ギルドに入っていった。

 ピーちゃんは2人に言う。


「アルバート、サラ、原因が分かったからすぐに宿屋に戻ろう。あれはやばい」


 アルバートとサラも急いだほうがいいと思っている。


「はい、ピーちゃん 急ぎましょう。デメシードは使い方によっては最悪の事態を引き起こします」

「はい、ピーちゃん 急ぎましょう。デメシードは回復薬の原料にするのが一番いい使い道ですのにね」


 3人はできるだけ素早く宿屋に戻る。

 そして部屋に入ってすぐにピーちゃんは営業終了を宣言した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。