↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/106

28話 協力お願い

 ほとんどの冒険者達が森に討伐に向かっていった時間にまずはデカップの防具屋に行く。

 何人かの人影が見える。

 店の中に入ると店員が店の中の装備を点検しているようだ。

 その中を抜けて店主の元へ向かう。


 店主は3人に気がついたようで、おや、君たちは昨日のと声をかけてくる。

 なので、そうです昨日も来た新人冒険者ですとお伝えしておく。

 そのあと流石に知らないだろうと思いつつも、一応聞いてみる。

 今日の朝から町で噂され始めた話をご存じですかと。


 デカップの店主は嫌そうな顔をして、あれか、勇者パーティが町で大事にされている物を壊したって話かと言ってくる。


 ピーちゃん、アルバート、サラは思った。

 ありえない、いつどこで知ったんですか、早すぎますと。

 気を取り直してサラが伝える。


「私達もその話を聞いて、すごく嫌な気持ちになったんです。ですので噂を消すために協力していただけませんか?」


 デカップの店主の店主は聞いてくる。


「何をするんだ?」


 アルバートが内容を伝える。


「空を走る光の皆さんがいなくなって、事件がなくなったから犯人だ、という噂が流れています。なのでここで何か目立つものを夜の間に壊させていただいて、それが町の人の目に留まるようにします。そうすることで勇者パーティが犯人という噂を、消せるのではないかと考えています」


 少し時間がかかってしまうとは思いますが、壊した物の代金はお支払いします。もし難しいようでしたら、壊すものはこちらで用意するので場所だけ貸していただけませんかと言った。


 デカップの店主はそれを聞いて、ちょっと付いてこいと言って店の裏に向かって行く。

 店の裏は結構大きな工房になっていて、そこで店舗で売っている防具が作られていた。

 防具を作ったり補修したりする職人が働いている。

 金属製の装備も作れるように窯なども置いてあるようだ。

 店舗は木製だったが、裏は燃えないようにレンガのようなものでできていた。


 ピーちゃんは職人が手で皮装備に金属を取り付けたり、皮を縫ったりしている様子を見て装備ってこうやって作るんだと感動している。

 店主の後ろをついていく。

 店主は大きな石像の前で止まった。

 デカップの店主は石像を指さして言う。


「これは店の前に置いて、装備をつけて展示するために用意してた石像なんだ。だが、わざわざこれのために大きいサイズの装備を用意するのは素材が無駄になるし、店の前に置くと中が見えないしで邪魔だったんだ。だから特に代金はいらない、壊していい」


 作ったときはでかい装備にはロマンがあるし、良い広告にもなると思ったんだがな、と思いながらデカップの店主が壊す許可をくれる。

 3人はありがとうございますと言った。

 そのあとデカップの店主は一応作ってみた石像用の装備を、その石像に着せた。

 装備を着けた石像をアルバートとサラが店の前に運ぶ。

 石像を横に倒すことで何とか店舗の入り口を抜ける。


 店の前に剣を掲げた大きな石像がそびえ立った。

 店の前を通る人たちが、石像を見上げている。


 デカップの店主はそれを見て宣伝効果自体はありそうなんだよなと、残念そうにしていた。 

 ピーちゃんが店主に伝える。


「今日の夜、鐘が8回鳴った後にここに来るよ。他の店にも頼む予定だから少し遅くなるかもしれないけど大丈夫?」


 デカップの店主はその時間帯の人通りについて考えて言う。


「いや、もう少し遅い方がいい。その時間だとまだ人がこの辺にいるから見られる。鐘が小さく9回鳴ったあたりで来てくれ」


 ピーちゃんは思った。

 深夜だ、今日は空を走る光には会いにいけないなと。

 そのあとデカップの店主は聞いてくる。


「他にどこの店に頼むんだ?」

「空を走る光の方がお勧めしてくださった、キュヘーレとイユート、コフシーにお願いする予定です」


 サラが答えた。

 それを聞いてデカップの店主は尋ねる。


「ベリスの武器屋には行かないのか?」


 ピーちゃんは勇者パーティが利用している店は誰でも知ってるんだね、と遠い目をしている。

 アルバートが伝えた。


「被害にあった店に頼むのは、申し訳ないと思ったのでやめました」

「あそこの店も空を走る光を応援しているから、こういうことには参加してくれると思うぞ。何なら、俺があそこの店主に伝えておくから、他の店を回ってから行くといい」


 3人はよろしくお願いします、と言ってからポーションを売っているキュヘーレの道具屋に向かった。

 キュヘーレでは今の時間は客がほとんどいなかった。

 冒険者がいなくなって、空くまで多くの町の人は買い物に来ていないようだ。


 店主の元に向かう。

 キュヘーレの店主もあなた達は昨日の、と声をかけてくる。

 それにそうです、と伝えて一応1軒くらい噂を知らない店はないかと思って聞いておく。

 今日の朝から町で噂され始めた話をご存じですかと。


 キュヘーレの店主は残念ながら知っていたようだ。

 あの勇者パーティが町で大事にされている物を壊したという噂ですか、と聞いてくる。

 3人はデカップの防具屋よりも、聖なる木に近い位置に店があるから仕方がないなと思った。

 そのあとデカップの防具屋で伝えたのと同じように、誰にもばれないように勇者パーティが犯人という噂を消したいので、事件が起きたように見せかけるため何か目立つものをここで壊させてくれませんか。もちろん代金は払いますと伝える。


 キュヘーレの店主は少し考えて、店の裏にどうぞと言って案内してくれる。

 裏は店舗と同じ石製で、デカップの防具屋よりはだいぶ小さい工房だ。

 店の裏では薬草をすりつぶしたり、薬草や果物を煮て出てきたエキスを混ぜたりしている。

 出来上がった物は大きなガラス製の容器に、種類別に入れているようだ。

 魔法をかけて効果を上げている人達もいる。

 その奥に巨大な金属製の容器が複数個あった。


 キュヘーレの店主はそれを見て言う。


「これはもっと大量にポーションを作って、置いておきたいと思って買ったものです。ですが残念なことに味が変わってしまったり、見た目が悪くなったりしたので使っていません。いらないものなので、壊しても構いませんし、代金もいりません」


 店主はこれが使えれば、作る手間も減って楽だったのにと思いながら壊す許可をくれる。

 ピーちゃんはその容器を見てこの大きさなら、ポーションを100個は軽く超える量作れそうなのにねと思った。

 その場にいる店員にも手伝ってもらって、すべての容器を店の外に運び出した。

 銀色に輝く容器が日の光を反射している。

 この時間帯だとかなりまぶしい。

 店の前を通る人達にもそのまぶしさが伝わったようで、かなり目立っている。

 キュヘーレの店主はそれを見て、しばらくは布をかけておきますねと布をかけた。


 そのあとピーちゃんがそれくらいなら人がいないかなと思った時間で聞く。


「今日の夜、鐘が9回鳴った後にここに来るよ。他の店にも頼む予定だから少し遅くなるかもしれないけど大丈夫?」


 キュヘーレの店主はそれを聞いて、その時間帯の人通りについて考えて言う。


「はい、その時間帯なら誰もいませんし、問題ないと思います」


 そのあと他にどこの店に頼む予定ですか? と聞いてきたのでベリス、デカップ、イユート、コフシーですと伝える。

 キュヘーレの店主はそれを聞いて、それなら皆さん協力してくれそうですねと楽しそうに教えてくれた。

 そのあと3人はよろしくお願いします、と言ってからアクセサリーを売っているイユートに移動した。


 イユートではこの時間帯には客はおらず店員が、店舗に並ぶアクセサリーを磨いている。

 店主の元に向かう。

 店主がやあ、昨日の人達だねと声をかけてくる。


 それにそうです、と伝えてここはキュヘーレと聖なる木を挟んで同じくらいの距離だから知ってそうだな、と思いつつも聞いておく。

 今日の朝から町で噂され始めた話をご存じですかと。


 イユートの店主は当然のことながら、知っていたようだ。

 勇者パーティが町で大事にされている物を壊したとかいう噂かい、と聞いてくる。

 3人はまあそうだよねと思った。

 そのあと今までと同じように、そうです、勇者パーティが犯人という噂を消したいので協力してくれませんかと伝える。


 それを聞いて店主はちょっと付いてきて、と言って店の外に出ていく。

 店の外でイユートの見た目を気にする店主は看板を指さして言う。


「そろそろ店の看板として汚れてきたから新しいのに変えようと思ってたんだ。だから壊していいし、代金はいらない」


 ピーちゃんには店の看板を見て、どのあたりが汚れているのかよく分からなかった。

 見た目が派手だなと思ったので、そのあたりで誤魔化されているのかもしれない。

 この看板は確かに壊れていたら目立つような気がする。

 イユートの店主は次はもっと煌びやかな見た目の看板にしようと思った。


 イユートの店主に今までと同じように鐘が9回鳴った頃にここに来ます、というと同時にどこの店に頼むかも伝える。

 店主はその時間帯の人通りを考えて問題ないと思ったようだ。


「その時間なら大丈夫そうだし、店で待ってるね」


 イユートの店主にもよろしくお願いします、と言ってから調味料を売っているコフシーに向かった。


 コフシーはこの時間帯も前に来た時と同じくらい、混んでいるようだ。

 店主に会いに行く。

 店主はピーちゃん、アルバート、サラに気がついてすぐに声をかけてくる。

 昨日買った調味料に何か問題があったか、と。

 3人はあの量を買ってすぐにここに来たらそう思われるよね、と納得した。

 なので違うんですと否定してから、一番聖なる木から距離があるコフシーの店主に聞く。

 今日の朝から町で噂され始めた話をご存じですかと。


 コフシーの店主はあれだろ、勇者パーティが町の大事なものを壊した犯人だってやつと見事に知っていた。

 きっとこの辺でも誰かが叫んだんだろうなと思いながら、その件でこっそりお伝えしたいことがありますと伝える。

 コフシーの店主はそれを聞いて不思議そうにしながらも、人が少ない方に移動してくれる。

 そこで今までと同じように、勇者パーティが犯人という噂を消したいので協力してくれませんかと伝える。

 コフシーの店主はそれを聞いて店の裏についてくるように促す。


 店の裏には調味料の原料が、大量に置いてあった。

 だいぶ大きめの厨房のようになっている。

 調味料の原料を混ぜたり、炒ったり、絞り取ったりと様々な工程が行われているようだ。

 その中をコフシーの店主は進んでいく。

 厨房の奥に倉庫があるようで、そこに店主が入った。

 その中は調味料の原料が届いた状態のまま在庫としてあるようだ。


 その中の一番大きな店主の身長と同じくらいの樽に近づいて言う。


「こいつは調味料の原料が入ってる樽だ。いつもは原料を届けてくれる商人に渡して、また入れて持ってきてもらってるんだが、こいつは古いからそろそろ燃やして燃料にしようと考えてたんだ。だから代金はいらない、思いっきり壊してくれ、その方がよく燃えるしな」

 

 裏口を通って客が入りにくくないように、店の脇に置かせてもらう。

 かなりの大きさのため驚いて、多くの人が見上げている。

 ピーちゃんは思った。

 良かった、この大きさの樽が一般的に使われているってわけじゃないんだねと。

 そのあとコフシーの店主に今までと同じように鐘が9回鳴った頃にここに来ます、というと同時にどこの店に頼むかも伝える。

 コフシーの店主もその時間帯の人通りを考えて答えてくれる。


「その時間なら問題ないな、明日噂が変わるのが楽しみだ」


 コフシーの店主にもよろしくお願いします、と言ってから最後のベリスの武器屋に移動した。


 ベリスの武器屋では無事に営業再開できたので楽しそうに、武器の整備を行っているようだ。

 店の中に入る。

 店主がピーちゃん、アルバート、サラを見つけて声をかけてくる。


「話は聞いたぞ、ずいぶん楽しそうなことするんだな。見事に噂をかき消してやろうぜ」


 ピーちゃん達は思った。

 被害にあったのにやる気に充ち溢れすぎじゃないだろうかと。

 そのあとベリスの店主はこっちだ、と言って店の裏に向かう。


 店の裏では金属製の武器を作るための炉や、熱い武器を置くための台などが多くあった。

 職人が武器の手入れを行ったりや、新しい武器を作ったりしている。

 燃えないように広い工房は全て石製で出来ていた。


 ベリスの店主は普通に考えて人が持てないほど、巨大な剣の前で止まった。

 そしてそれを指さして言う。


「こいつは一度作ってみたかったから作った巨大な剣だ。一度ウィルの奴に頼んでぶん回してもらったが、最高に面白かった。まあ、実戦では使えないからただの飾りなんだけどな。だがあいつらの噂をかき消すのには丁度いい大きさで、すげー目立つと思わないか」


 3人はこんなものがある時点でかなり目立つだろうなと思ったので、とても目立つと思います。最高ですと言った。

 ピーちゃんはあの大きさの武器を振り回すのは楽しそうだなと思った。

 店の外に運び出す。

 店の前に剣を突き立てた。

 店の前を通る人たちが剣を見上げている。


 ベリスの店主はそれを見て、やっぱすげー目立つよなと満足そうだ。

 ピーちゃんはデカップの防具屋の石像と同じくらいの大きさの剣なんだから、目立つのは当然だねと面白く思った。

 そのあとピーちゃんがベリスの店主に言う。


「今日の夜、鐘が9回鳴った後にここに来るよ。他の店にも頼む予定だから少し遅くなるかもしれないけど大丈夫?」


 ベリスの店主はすぐに返事をした。


「当たり前だ。あいつらの変な噂流されたままじゃあ胸糞悪いからな。さっさとあんな噂消しちまおうぜ」


 やる気に満ち溢れているベリスの店主にもよろしくお願いします、と言って店を出た。

 3人でこれからの予定を確認する。


「今日はこれからまた叫ぶ人がいたりしないか、町をパトロールする感じでいいかな?」


 アルバートが答える。


「はい、それでよろしいかと思います。さすがにもう起きないような気はしますが確認は必要かと。それに今までまともに町の様子を見れていません。実際に見るといういうことも、大事なことだと思われます」


 サラがそのあとを続ける。


「町のパトロールが終わりましたら、宿屋に戻りまして部屋にいるという風に思っていただくことも大事ですね。窓からこっそり抜け出して今日、頼ませていただいた店に向かうことにいたしましょう」


 ピーちゃはそれを聞いて言う。


「じゃあせっかくだから前々から気になってた、グレイトホーン店とかグルーク資料館がどうなったかとかもついでに見に行こう」

「「はい、お任せください」」


 グレイトホーン店は想像通りグレイトホーンの肉がたくさん売られていた。冷蔵庫に入れられていない状態で並べられている肉は、魔法で保存しているので腐らないらしい。冷蔵庫いらないんだねとピーちゃんは思う。

 そしてグルーク資料館はまだ中身が戻っていないらしく開いていなかった。


 パトロールを終え、宿屋、幻獣の止まり木につくと店主グラッドが声をかけてくる。


「前にあんたらが原因が分からない町で起きた事件について知りたいって、言ってただろ。あれで1つ思い出したことがあるんだ」


 店主グラッドは内容を思い出しながら教えてくれる。


「確か内容はこうだった。今まで悪いことを何もしてなかった奴が急におかしくなって、暴れだしたらしい。それで衛兵が捕まえてそいつのことを色々と調べてみたら、実は人じゃなくて化け物だったみたいでな」


 グラッドは不思議そうにしながら続ける。


「どうしてそうなったのか誰も原因が分からなかったらしい。生まれも育ちもこの町で、見た目も人なのになんで化け物になったんだろうな」


 ピーちゃんは思った。

 これがウィルの種族が半人半魔になった理由なんじゃないかと。

 とりあえずファーストに伝えて、情報誌にそういう事件が載ってなかったか調べてもらおう。


 3人で店主グラッドに教えてくれてありがとうございますと伝える。

 それにグラッドが構わないぜとと返してきたので、頭を下げてから部屋に戻った。


 白、金、赤、緑色で装飾をされたケーキを食べながら鐘が9回鳴るのを待つ。

 3人で明日の予定を確認する。


「さっき店主さんに教えてもらった人が化け物になってたって話だけど、たぶん空を走る光のリーダー、ウィルの種族が半人半魔になってたのと関係があると思うんだよね。だから、どうしてそうなったのか理由を知りたいんだけど、森の盾の皆は教えてくれるかな?」


 アルバートとサラは答えた。


「教えていただけると思います。ランクも高いようですから、詳細を知っていそうです」「何でも聞いていいとおっしゃっていたので、大丈夫かと思います」


 ピーちゃんはそれを聞いて言った。


「よかった。なら森の盾の皆を冒険者ギルドで明日待つことにしようか」

「はい、そうしましょう」「はい、そういたしましょう」


 鐘が9回鳴る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。