カップ焼きそば食べますか?
出来たてホカホカの、カップ焼きそばは、好きですか?
「そなたは、聖女か?」
グレーの髪色に、金色とグリーンのオッドアイの目が光り、赤いカーペットが敷かれた玉座に座っていた、アルト王子殿下が立ち上がって、カップ焼きそばを片手に持つ私の前に近づいてきた。
「それは?」
「え?あ、これですか?カップ焼きそばです」
カップ焼きそばをアルト王子に差し出すと、出来たてほかほかでまだ湯気が立ち上がり見た事ない容器と、茶色い変な細長い物体に、白いものがのっている奇妙なものを見た、アルト王子の尻尾が逆立って見えた。
「アルト王子殿下!用意に近づいては、いけません!」
護衛騎士たちが、一斉に私の周りを囲うと、剣を向けた。流石に、疲れすぎてリアルな夢か、なにかだと、剣の先をつついてみると、サクッと指が少し切れて血が流れた。
「ほ、本物の剣?」
びっくりして、私が手を引っこめるとアルト王子がカップ焼きそばを、じっとまだ見ていた。
「食べますか?」
「い、要らぬ!そんな得体の知れないものなんか!」
「そうですか。では、私はお腹が空いてるので、遠慮なく食べます」
右手に持ってた割り箸をカップ焼きそばの容器に突っ込むとズルズルと、音を立てて一気に麺をすする音が、王の間に響いた。周りのお偉い人たちが、私の異様な食べ物と、その食べ方に、ギョッとした顔で見つめられていたが、お腹は減ってるし、作法なんて気にしてられない。
「ふぅ。美味しかった、ご馳走様でした。さてと、私はこれで失礼します。皆様、お邪魔しました」
くたびれたスカートの裾を叩いて、空の容器を右手に持って、立ち上がった。私は暇な、人間じゃない。ゴミ屋敷1歩手前の家の片付けもしなきゃならないし、明後日からまた地獄の社畜生活が待ってるし、貴重な休みくらい、推しを愛でながら、ぐうたらしたいもんだ。私は、軽く頭を下げて、王の間みたいな場所から出ようと扉に手をかけた。
「貴様!その場を動くな!」
再び剣を向けられ、いい加減腹が立ってきた。
「あの、家に帰りたいんで退いてもらえますか?社畜OLは、寝る暇すらなく、疲れてるんで」
甲冑姿みたいな鎧を着た人?猫?よく分かんないけど、私は構わずその人たちを押しのけて、でっかい目の前の扉に手をかけた瞬間、後ろから声が聞こえた。
「異世界の者よ。我が王国、ハベルト王国の危機を我と共に救ってはくれぬか……どうか頼む」
頭を下げるアルト王子の姿に、近衛騎士たちや、周りのお偉い方々が、王子殿下が頭を下げるなどと慌ててお偉いさんが止めていた。
「どうか、私の話だけでも聞いて欲しい」
「はぁ……話だけなら。でも、私の家には帰れるのよね?」
息ぴったりに、首を横に全員が、左右に振るといよいよこの世界が、推しである、"猫の国の王子が異世界転生……ってあの漫画の世界に異世界転生したってこと?
「嘘でしょ?ちょっとまって。異世界に転生されて、召喚されて…私、死んだの?聖女って、まさか──」
その場にいた全員が、私を見つめながら、頷いていた。
「う、う、嘘だぁあああっ!」
春の絶叫する声が城中に、響き渡った。
ちょこっと最初だけ、面白要素を含んでますが、恋愛小説です( ´ࠔ`* )猫の姿をした人の顔をした、イケメン王子アルトと、しがない社畜OL 春の恋模様を描いていきます。




