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魔理  作者: 新戸kan
あなたとのひびと

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38/302

ここは ていと です

 帝都までの道のりは平和だった。マモノや帝国の兵士に遭遇することはなかった。

 そして王都を出て3日後、私たちは難無く帝都へ到着した。それこそ罠ではないかと疑うほどに…。


 街の入り口が見えてくると、少女は立ち止まり振り返る。

「…ここまでってことだな。助かった。気を付けてな」

 クキョさんもやや疑っているのか、彼女にしては淡泊なやり取りだ。

 少女の方も忍者のようにサッと去るのだろう思っていたが、なかなかその場を離れない。

「どうした?帰らないのか?」

 少女は何も言わず、ただ一点を見つめていた。

 ――私の眼だ。

 彼女は私に何かを託している。自分には出来ないことを私にしてほしいと―――そう目が訴えている。

 それもまた『決められた道』なのだろうか?

 だけど私は自分で決めた。そうであっても私は――――

 私は彼女に向かって強く頷いた。それを見た少女は深く一礼して風の様に去っていった。

「わけ分かんなかったな。渡されたもんにも、使者です。言葉は話せます。しか書いてなくてな。問題児に慣れてるアタシでも対応に苦労したぜ」

「アナタが、言うの?第二号でしょ?」

「それなら、オマエは三号だな」

 二人が言い争いを始めそうな雰囲気になってきたので、間に入り街へ入ろうと促す。

 あの説教事件以来、こういうことが増えたように思う。喧嘩するほど仲が良いってやつだよね?


 ―――この街で見つかるのかな?私に出来ることが…。


 

 街の景観は王国と変わりない。戦争が始まる前は姉妹国家であったということだろうか。

 ふと気になることがあり、不審に思われないよう気を付けながら辺りを見回す。

 王国でも見なかったがここでも茶髪や金髪を見なかった。私のとこには結構いたのに。

「ナタカ、どうした?もうちょい先まで行こうぜ。この辺りは店も少ないみたいだからな」

 キョロキョロ見てたからお腹減ってると思われたのかな…。




 街の中心部まで来ると熱気が格段に増した。所狭しと人々があふれ、かなりの賑わいを見せていた。通常時なら問題ないが、今は戦争中。その賑わいは異常なほどだった。

「何かあんのか?」

 クキョさんも気にしてるようだ。


 その時、ぐ~、とおなかが鳴る。誰のとは言わないが。

「そ、そこの店で腹ごなしついでに情報を集めるか」

 バレバレですよ、クキョさん…。



 クキョさんが屋台のおじさんに注文しつつ、尋ねる。

「オッサン、それ3つな。いつもこんな賑やかなのかい?」

「お嬢さんたちは旅の人かい?このご時世に」

 おじさんの言葉についドキッとしてしまう。平常心、平常心。

「今だからこそ、アタシら傭兵の出番って訳さ」

 そう言って、クキョさんは背中の大剣を指差す。ついでにチラッと水着鎧を覗かせていた。

 それで背負ったままだったんですね。…隠せるほどの大きさではないけど。

「へぇ、傭兵ねぇ、初めて見たよ。いるんだね、そんな人」


 クキョさんがおじさんと話している間、自分が襤褸を出してはまずいと思いクマさんに話しかけた。

「クマさんが着てる服っていつも違いますよね?服いっぱい持ってるんですか?」

 彼女が外出時に着ている服は毎回違うもので、同じ服は一度たりとも見なかった。今日も外套の隙間から覗く服は今まで見たことがないものだった。

「おトーさんと、おカーさんが、いっぱい、用意、してくれる。だから、全部、着る」

「ふふ、御洒落さんなんですね?」

「それほど、でもない」

 なんか嬉しそうに照れてる。可愛い。


「マギ大会?!」

 クキョさんが大声出して驚いている。その声は歓喜しかなかった。

「そうさ。あ。これね」

 クキョさんはおじさんから食べ物を受け取り、それを私たちに手渡す。それを食べながら私たちも話に耳を傾けた。


「これはマギ大会の前夜祭さ。もう少し早く来てりゃ、お嬢さん方も参加できたのにねぇ」

 マギ大会?

「マギ大会ってのは…」


 戦いは1対1の場合、魔力量の差で武器に優劣が付き、結局のところ魔力量が多い方が勝つことが多い。(もちろん武器種によっては違ってくるが)

 そこで、みな平等に一般的な大きさの武器を使うことでその差を失くし、腕だけで競うことを目的として作られたのだ。

 魔技大会ってことね。



 話を聞いたクキョさんの目の色が変わった。嫌な予感しかしない。

「出れねぇのは残念だが、これは見に行くしかねぇな!」

 やっぱり…。

 すかさずクマさんに目配せする。彼女は私の意図を汲み取ってくれたようだ。

 そして、私たちは慌ててクキョさんを引っ張っていき、他の人に聞かれないようボソボソと小声で説得を始めた。

「クキョさん、何しに来たか分かってます?」

「ん、先に、情報、集める」


 そう、ここで何をしたらいいのか何もわかってないのだ。敵地でもあるしまずは情報が必要!

 二人がかりで説得を試みるが。

「いやいや、使いが遅れたのはこれに合わせてだって。それにこれも立派な情報収集だ」

 ぐ…、クキョさんが何故か冴えている…。戦闘大好きっ娘、恐るべし…!

 クマさんは既に諦めて、首を横に振っている。長い付き合いでクキョさんの性格が分かっているのだろう。

 だが、私が諦めてはいけない!



 が、ダメでした。いいように言い含められてしまった…。

「よし!じゃ宿を探すぜ!」


 ルンルン気分なクキョさんは宿でもご機嫌だった。



 そして魔技大会が始まった―――

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