第21話 闘技大会本選
~闘技大会本選当日~
私達は、会場でマーガムを送り出してから、観客席へと向かった。
途中で、とんでもない大勝を納めた私に金を払わせようとする輩がいたが、超スピードで逃げて今は、観客席の屋根の部分だ。
ここならば誰も来ないだろう。
それにしても、昨日私が護衛の剣を斬ったのは知らないのかな?
きっと熱気でおかしくなっているんだな。
抽選でマーガムが戦う相手が決められる。
マーガムの対戦相手は、Aブロックの勝者だ。
マーガムの実力ならば、訓練通りに動ければなんの問題も無いだろう。
問題はもう一方の、Bブロック対Dブロックだ。
Dブロックの勝者の出す気配が明らかに普通と違う。
まるで、人間では無い生物のような気配が発せられていた。
試合は私が予想した通りに進み、マーガムとDブロックの勝者で決勝戦が行われることになった。
お互い手の内はほとんど見せていないので、相手の強さもわからない。
マーガムと、Dブロックの勝者(名前はカノアと言うらしい)は、それぞれ決勝戦の舞台に上がる。
そして、互いに礼をしてから、初期位置に立った。
そして審判が開始を宣言すると、カノアが超スピードでマーガムの周りを移動する。
カノアが移動しつつ攻撃を放つが、マーガムは的確に防御と受け流しを使い分け、ダメージにはなっていない。
そしてマーガムも、《遠隔防御》でカノアの拘束を狙うが、あまりの移動スピードに配置位置が決められず、ランスで小さいダメージを与えるだけだ。
突然、カノアが動きを止める。
そして、マーガムと少し話をした後、カノアが直線的な攻撃でマーガムに向かう。
しかし、あまりにも重いその一撃をマーガムが受け流そうとしたが、カノアが空いた右腕で無理矢理に盾を殴った。
攻撃を受け流す最中に攻撃を受けたために、受け流しがしきれず、マーガムが壁に叩きつけられてしまう。
私は、マーガムが直撃を受けてしまうのも想定に入れて、いつでも守れるように準備を始める。
マーガムが立ち上がり、カノアの攻撃を受け止めた。
どうやら、マーガムは《身体強化》と《獣化》を使用したようだ。
《獣化》を使用したマーガムは黒の毛が全身に広がり、顔も犬のような顔になっている。
………気持ちよさそうな、もふもふ具合だ。
そこからはマーガムとカノアは互角の戦いになり、4分経っても決着がつかない。
そろそろ《獣化》の制限時間が来る頃だ。
私は《時空間収納》から、黒鉛で黒く塗った聖剣を出してから、何があってもマーガムを助けられる様に構えた。
そして、その時が来てしまった。
カノアの攻撃を受けようとした時、マーガムの《獣化》が解けてしまう。
私は屋根を蹴って、地面に向かって飛ぶ。
着地した瞬間に、カノアの攻撃を左手に持った黒塗り聖剣で防御する。
右手も黒塗り聖剣に添えて、受け止める補助をしたのだが、受け止めきれなかった衝撃が後ろに被害を生んだが、マーガムは大丈夫な様で安心した。
「なんだお主は!
わしの身体もようやく暖まって来たというのに!
とゆうか、わしの攻撃を受け止めるとは、どんなステータスをしとるのだ…。」
「マーガムの負けでいいので終わりませんか?
マーガムは限界なので。」
そう言ってから私は気が付いてしまった。
聖剣の黒塗りが取れて、白銀の刀身が見えていることに。
「あっ?!」
「ぬ?!
お主、その剣はまさか…!」
カノアは気が付いてしまったようだ。
そして、カノアがニヤニヤして、真っ赤な髪の毛をいじり始める。
「その剣のことは黙っておいてやるから、わしの頼みを聞いてくれんか?」
「頼み?
出来る範囲なら聞くけど。」
「お主はその者とパーティーを組んでいるから守ったのだろう?
お主達、わしと一緒に旅に出…」
「お断りします。」
間髪入れずに断る。
私の目的は、この世界を見て回って、この子達と楽しむことだ。
それ以外が入ってくるのはよろしくない。
「なぜだ?
わしとて、それなりには強いぞ?」
「私は、この子達と世界を見て回りたいの。
のんびりやっていきたいの。」
「そうか、残念だが意見は変わら無さそうだのぅ。
なら、1回でいいからダンジョンに一緒に入って貰えんか?」
「それなら、いいよ。
マーガムと一緒に居てくれれば後で会えるから。」
私は跳躍して屋根に向かう。
マルムと合流してから、会場の外に降りてからマーガムと合流しようとしたのだが、私達は何故か軍に囲まれていた。
「お前、さっき会場に乱入してたよな?」
あっ、ヤバイ…。
ばれてるよ…。
「ひ、人違いじゃあないですかねぇ…。」
「んな訳あるか!
白銀の髪の毛なんぞ、お前しか居ないわ!」
えっ?
………フード取れてるじゃん。
「まぁ、別に逮捕したりするわけじゃない。
あのままだと、確実に死人が出てただろうからな。
ただし、今後はやるなよ?
観客が納得しないからな。」
「マーガムとこの子の為なら、何でも|やりますよ。
それに、納得出来ないなら私が戦いますよ?」
私はそう言い残し、マーガムと合流してから、カノアとダンジョンに入る打ち合わせをする為に、[食事処 平等謳う精霊亭]へと向かった。




