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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第三章 獣の国
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第20話 闘技大会予選

 マーガムと別れた私達は、マーガムの応援をするべく、観客席へと向かった。


 闘技大会の会場は、東京ドームと同じくらいのステージと、それを囲むように観客席が設置されている、かなり広い会場だった。


 会場では、予選の勝者を当てる賭け事が行われていたので、白金貨10枚をマーガムに賭ける。

 ちなみに、オッズは0.01だったので、マーガムが勝てれば白金貨1000枚になる。

 賭けたときに、賭け事を仕切っている男が良いカモが来たと言わんばかりに、笑みを浮かべたが、きっと真っ青になってくれるだろう。


 ちなみに予選のルールは、バトルロイヤル方式で、最後に立っていた者の勝ち、というルールだ。


 私とマルムは、ポップコーン(に見える物)を購入してから、席に座った。


 予選は、4ブロックで、マーガムは、予選Cブロックなのでまだまだ出番は無い。


 予選Aブロックは、一番人気の冒険者が他の冒険者を圧倒して終わった。

 今回の闘技大会はレベル低いのかな?

 動きは隙だらけだし、マーガムなら余裕で勝てそうだ。


 予選Bブロックは、一番人気を他の冒険者がほとんど攻撃した為、一番人気が脱落して、4番人気の冒険者が勝ち進んだ。


 そして、いよいよマーガムの出番だ。

 バトルロイヤルが始まり、このブロックでも一番人気を潰そうと冒険者達が動く。

 マーガムは初期地点からほぼ動かずに、向かってくる冒険者だけを槍で突いたり、時には盾で殴ったりして戦闘不能にしていく。


 しばらくすると、一番人気の冒険者とマーガムの一騎討ちになった。

 一番人気の冒険者は、大剣を軽々振り回している筋骨隆々の大男で、小柄なマーガムが潰れてしまいそうな絵面である。


 それを見て、悲鳴を上げる観客もいるが、マーガムならば、振り回す程度の大剣など難なく受け止めるだろう。

 なぜなら、最終日にはマーガムが、《剣舞》の《神速抜刀》を防いだのだから。

 《神速抜刀》は、そのスピード故に、受け止めると凄まじい衝撃が来るので、受け止めるには、それだけの防御力と技術がいる。


 マーガムは、獣人故の察知能力の高さで、相手の攻撃の当たる瞬間を正確に受け止めるか、受け流すかを判断出来るので、1対1なら《剣舞》の相手も出来る。


 そんなマーガムが負ける筈もなく、大男の全力は受け流しつつ、ランスで反撃する。

 軽い一撃は、受け止めてから盾全体で相手に突進して、着実にダメージを与えていった。


 しばらくすると、マーガムが無傷で大男がボロボロという、私達以外は予想していなかった状況になり、会場が悲鳴と歓喜に包まれた。


 私とマルムは、マーガムと合流する前に、賭けの儲けを受け取りに行く。


 賭けたときには笑みを浮かべていた男が、真っ青で対応してくれた。

 なんでも、全ての賭け金を合わせても、白金貨1000枚には届かないらしい。

 しかし、満額払わなければ、賭け事として成り立っていないので、信用を失う。

 信用を失えば、2度と賭けてくれる者は居ないだろう。


 さらに言えば、白金貨1000枚は、中規模の商店ぐらいでないと持てる額では無いそうで、どう解決したものかと思っていると、マルムが助け舟を出してくれた。


「ギルドの円で払わせればいいのでは無いですか?

 そうすれば、先にお金を受け取れますし、そのあとはギルドが面倒を見てくれるでしょう。」


 なるほど、使うこと無くて完全に忘れてたよ。


「そんなことされたら、堪ったもんじゃねぇ。

 おい、お前ら!

 口封じしろ!好きにして構わん!」


 真っ青な男がそういうと、後ろからぞろぞろと武器を持った男達が現れる。


 そして、私達を見て好きなことをするのを想像した瞬間、男達の武器が()()()()


 男達は、意味がわからない、といった様子でしりもちをつきながら、納刀された聖刀を構える私を見る。

 その脳内は、恐怖で埋め尽くされ、持っている武器を落としていった。

 そして、真っ青な男は、その場に崩れ落ちた。


 とりあえず、全員縛ってギルドに向かおう。

 マルムには、マーガムと合流してくるように伝えて、ギルドに向かった。


 ギルドでは全ての処理が、滞りなく進んでいき、私のギルドタグに10億円が振り込まれた。


 庶民な私は、いきなり金持ちになってしまい、手が震える。

 ギルドタグは、《時空間収納(アイテムボックス)》に収納しておく。


 でもこれで、マーガムとマルムを不自由させること無く育てることが出来る。

 そう思えば、悪いことではないな。


 まぁ、マーガムが戦って私が儲けを出している時点で、教育には悪いんだけど。


 そんなことを考えていると、マルムがマーガムを連れて来た。


 私は事の経緯を話してから、マーガムの勝利を祝って、中心街で宿探しと飯屋を探しに向かった。


 宿は直ぐに見つかった。

 高級宿を見て回っていたら、風呂つきの宿を見つけた。

 私はそこに決めた。


 しかし、飯屋はなかなか見つからない。

 ティーナさんの店のようなおいしい料理店はないものか…。


 そして、一時間程探したとき、私達は見つけたのだ。


 [食事処 平等謳う精霊亭]を。


 私達が店に入ると、そこにはティーナさんがいた!

 人間の国(ヒューゲン)にいるはずなのになんで?!


「ティーナは妹ですね。

 私はシィーナと申します。」


 私達は、ティーナさんの話をシィーナさんにしつつ、食事を楽しんだ。

 グレッドドラゴンの肉が、ティーナさんの時と同じく口に含んだ瞬間、旨みの電撃が瞬間的に身体中を駆け巡り、とても美味しかった。


 食べ終わった後、私達は宿に戻って風呂に入った。


 この世界に来て初めてのお風呂で、私はマーガムとマルムと一緒にお風呂に入った。

 過去の勇者が広めたのか、シャンプーや、リンス、ボディソープも用意されていたので、皆を綺麗に洗った。



 私達は、お風呂から上がった後、明日に備えてマーガムをマッサージしてから、いつも通り小の字で一緒に寝た。


 そういえば、Dブロックはどうなったのだろうか。

 あと賭けの支払いもどうなるのかな?

 まぁ、Dブロックの勝者はともかく、賭けの支払いに関してはどうでもいいかな。

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