衝撃波
ありえない。と思わずにはいられなかった。
腕を掴んでいた。
この体勢なら、何が起ころうと主導権はこちらにある——はずだった。
それなのに、震脚。
相手はその場で一歩踏み込んだ。
「ぐうっ!?」
不意なる衝撃。
喜一は手を離し、その場に膝を付いていた。
強烈だった。
全身が痺れた。足の先から、頭の先まで。
踏み込みの際に発生した衝撃をそのままこちらに向けて、地面を通して放ったのだろうが……それに指向性を持たせるとは尋常な技ではない。
「何者だ……お前は……?」
追撃を避ける為に喜一は会話を挟んだ。
「ただの通りすがりの者アルヨ」
相手はそれに乗ってくれた。
「こんな山奥で、これ程の手合と出会う事があるとは……」
「世の中何があるかわからないアルね〜」
「ああ。本当にそう思う。驚いている。だが——」
「アル?」
「今度はこちらの番だ」
膝を付いたままの姿勢で、喜一は地面に掌を打ち込んだ。
発生する衝撃。
それは周囲へと拡散せず、収束し、一直線に前方の相手へと向かい——
「アル!?」
衝撃波を受けて、相手はぐらりと体勢を崩した。
「弓徒!」
「応!」
好機。
気配を消し迫っていた弓斗が、拳を振り上げた。




