一本の槍であり凶弾であり獣
決闘を挑まれたのならば、受けねばならない。
『世界皿洗い協会』の者はそのように教育されている。
しかし——
「決闘かぁ……私としてはここで三人まとめてやっちゃっていいんだけどなぁ」
虎子は虎子であった。
さながら、突き出された一本の槍。
放たれた凶弾。
「虎子君。君も皿洗い師ならば、皿洗いで勝負するべきではないかね?」
「うーん……それはそうだけど……」
不満そうであった。
今にも気を変えそうな雰囲気であった。
だから、だったのか。
「決闘するなら、まずは俺からにしてくれよ」
腕を掴んだままの弓斗が言った。
「てめぇは一人ずつ相手にしたらいいじゃねぇか。まずは、俺だ」
「弓徒!」
口を挟もうとした喜一を、弓徒は視線で制した。
虎子が新しい玩具を貰ったように声を弾ませた。
「なにそれ? 君を倒せば喜一くんってわけ?」
「いきなりメインディッシュを食わせる店があるか?」
「君は前菜? でも……うん。そういう風に順々にやるのも面白いかも」
無邪気な笑み。
一見しただけでは悪意は見えない。
だが、この場にいる誰もが知っている。
この女の中にある凶暴な獣性を。
彼女が、他者を引き裂き肉を喰らう事に至上の喜びを感じる者であるという事を。




