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実家のような安心感
実家のような安心感。という言葉がある。
長らく家から出ていた者が帰省した際に、ふとした拍子に居間で眠りこけてしまうような。
そういう事がある。
これは、単に住み慣れている家が安心する。というだけの話なのかもしれないが、一説によると、皿洗いによる可能性もあるとされる。
母親が、何気なく家事をしている音……。
特に皿を洗っている音は、人に原初の記憶を、自身の原風景とでも呼べる記憶を呼び起こす効果があるらしい。
家を出る前。社会の荒波に揉まれる前に、親の保護を受けていた時代……。
それを無意識にも思い出す事で、心は子供の頃へと遡り、無防備にもぼんやりとしてしまうのだという。
勿論、家によって皿洗いのスタイルは異なる。
一枚一枚流す几帳面なスタイル。
皿をまとめて流すオーソドックスな主婦のスタイル。
水を流しながら洗う速度重視のスタイル。
様々なそれが存在するので、一概にどれが最も実家のような安心感を出せるのか? という問いに答えは無い。
しかし、正解に限りなく近い洗い方は存在する。
何か?
それは、心である。




