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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第一章 everyday
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一秒

一秒、だった。


深い皿、浅い皿、グラス、箸、ナイフ、フォーク、スプーン、鍋……種類は多様。

油、ソース、米粒、焦げ……汚れもまた、多様。

仮にここに一般の主婦がいたのならば、そのあまりの量と雑多さに、頭を抱え、どこから手をつけたよいかと悩み、結局、諦めるだろう。

それ程の皿を前にしても、陽は冷静に、最善手を選択し、標準的な協会員の最高速度である、一秒一枚の速度で皿を洗い、喜一の手元に、一瞬、目をやった。


本当に、一瞬。

ただの、様子見。


しかし、それだけで、充分だった。


「——!?」


なぜなら、喜一のラックには、既に三枚の皿が置いてあったからである。


一秒で、三枚の皿を洗う。

有り得ない——事ではない。

協会のトップである在前九龍は一秒に九枚。異なる汚れの付着した皿を洗う事が可能である。

故に、一秒で三枚の皿を洗うのは、不可能では無い。


しかし、それが可能なのは、


「まさか、これ程とは……」


実力者だけ、である。


「……負けました」


圧倒的な、彼我の実力差。

それを理解した事で、陽の口からは、自然と敗北が宣言されていた。


決闘開始から、僅か一秒での決着、だった。


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