第十話 赤帝黄帝会談(Ⅱ)
前に分割二話にする予定って書いてたのに
なんか文章が膨らんで、二話では終わらせれない
状況になったので、この会談は第三話目まで伸びます…
すいません…
もう1万5千文字もあるの…。・゜・(ノД`)・゜・。
海華帝戦争。
そう呼ばれている戦争が現在進行系で
海帝と華帝の間で行われている。
戦争が勃発したのは今から13年前の
六帝暦1008年、第二期であった。
(1年はその期間を第一期から第十二期で区分されている。
しかし、その銀河標準時間の表記が
何時、どういう風に決まったのかは、誰も知らない)
銀河の対極に位置する赤帝においては、
その詳細な情報を把握するのは困難であるが、
概要だけは華帝国と海帝国の両公報機関の公報と
赤帝の諜報機関によって調査されていた。
どの色帝においても同じ事であるが、
隣接する色帝と何某かの『領土境界問題』が存在し
(赤帝と黄帝も、長年の禍根としてそれは現在進行系である)
その領土境界問題における青色帝国と赤紫色帝国…、
別称を使えば、海帝と華帝における領土境界問題が
たいていの色帝間においては境界線域での
現地星系国家を介した代理戦争的な小競り合いで終わるのではなく
主力艦隊を使った色帝間戦争にまで発展した戦争であった。
赤帝の諜報力範囲で分かる事は宇宙地図上での話なので
「現地で本当は何の問題があったのか?」
という詳細情報までは調査が行き渡っていないが、
諜報部からの概要の説明によると
海帝と華帝の境界宙域に『カインベルン宙域』という
互いの連邦帝国に板挟みになっている宙域があり、
元海帝宙域であった『フェルドバス宙域』と
華帝宙域である『ホークアイ宙域』の両宙域から
互いの連邦に正式参加するか否か?という事を要求されたらしい。
本来、色帝同士が正面決戦を避けたい宙域の場合、
あるいは、逆に特定宙域で完全に戦争状態に陥ったとしても、
色々な地理的利害関係から、領土境界に相当するそれらの宙域は
両色帝が中立宙域を作って、互いに安全保障に努めるものである。
少なくとも、赤帝と黄帝、赤帝と水帝の領土境界問題は
正面決戦を避けたい赤帝と黄帝の領土境界、
あるいは戦時中であるので、白色帝国領域で戦争中の赤帝と水帝は
互いの領土境界は中立化させて領土境界の均衡を保っていた。
白色帝国宙域において戦況の趨勢を決める事が
色帝間の戦争における暗黙の了解事項となっている現代においては、
領土境界から攻めるという事は、定石的な戦略ではないのであった。
しかし、一方の色帝に領土境界において
何某かの理由で『積極交戦の意志あり』の場合には、
逆に、その中立地帯を戦争の橋頭堡として利用する為
互いに連邦に積極的に編入しあおうとするのである。
つまり、この海華帝戦争というものは
どちらか一方の色帝には積極的な交戦の意志があり
それに対する色帝が交戦を受諾しての領土戦争であった。
今回の場合は最初に仕掛けたのが海帝国であるので、
戦争のホスト帝国は、海帝国と記録されている。
同時に、これは赤帝と黄帝に対しては
歴史解釈的に心苦しい面のある戦争でもあった。
遡れば300年前の、青黄帝戦争…、あるいは、
海光炎帝戦争と呼ばれる故事の戦争に、この戦争は関係していた。
当時、青帝に六菱覚醒した皇帝が現れ、黄帝の門前領メタフを侵攻し
黄帝を牽制した後に銀河中枢突破を目指そうとした、という戦争が起きた。
その故事が、現代の海華帝戦争の古い因果に絡んでいるのだった。
故に赤帝や黄帝としても、
遠い地での他人事と割り切るのは難しい戦争でもあり
特に海帝と直接戦争の禍根を持つ黄帝にとっては
他人事とは言えない戦争であり、
華帝国から直接要請を受けている訳ではないが
機に乗じて、黄帝からも青帝の領土境界に侵攻する
牽制艦隊を出している状況であった。
300年前の青黄帝戦争の当時は、
黄帝と関係が良好とは言えなかった赤帝も
戦況分析からの黄帝の苦戦を鑑み、
青帝の銀河中枢突破の可能性を良しとせず、
赤色帝国議会で黄帝が要請してきた軍事同盟を可決し
アリッソ宙域から増援艦隊をメタフ宙域に派遣、そこで赤黄帝連合軍…
今の時代の、水緑帝連合軍の様に、
当時は赤帝と黄帝の二色帝が同盟を組んで
青帝の大侵攻に対峙したのであった。
しかし、この戦争においての影の立役者は実は華帝だった。
当時、メタフ宙域で赤黄帝連合軍と青帝軍が激しい交戦を繰り返した時
華帝国が、一時的に『カインベルン宙域』を制圧。
後背の薄くなっている青帝の『フェルドバス宙域』の侵攻姿勢を見せた。
その挟撃体制に陥って、青帝軍は戦線を有利に展開できなくなり、
青黄帝戦争は結果として、痛み分けの引き分けで終わったのである。
その当時の青帝の六菱皇帝は、青黄帝戦争の引き分けを受け
軍の白色帝国宙域での展開を縮小し、十分に戦力を維持している現状で
自領の門前領フェスタス宙域から中央突破を為せば
片が付く事に一縷の望みをかけ、門前宙域から銀河中枢に侵攻。
その中央突破の進軍でクラーリン艦隊との戦いの中、
六菱青帝は大将級クラーリンに討ち取られて、この世を去った。
それが300年前の、青黄帝戦争の経緯であり
赤帝と黄帝の関係が軟化した歴史的背景でもあった。
そして、この歴史背景において、自動的に華海帝の領土境界
『カインベルン宙域』は華海両帝国においての怨恨宙域になったのである。
特に、戦況に釘を刺された形の青帝にとっては、
華帝との関係は、これ以降、怨念に近いモノとなり、
この青黄帝戦争から100年後、華帝国が
当時は華帝国の門前領であったサファナム宙域に進駐してきた緑帝を
帝国艦隊を大動員して迎え撃って戦った『森華帝戦争』において、
戦力集中の為に『カインベルン宙域』から兵力を撤収すると
その後は、青帝が逆進駐してカインベルン宙域を制圧し、
青黄帝戦争時代に生まれた怨恨が、完全に表面化したのであった。
華帝国は『森華帝戦争』で、緑帝に大勝を以て戦争を終わらせた後は
謎のサファナム宙域からの戦力撤収を敢行し、
それらのイザコザの宙域の方に軍を向け、カインベルン宙域を巡って
華帝国と海帝国の間で冷戦が起こり、強行な両帝国の外交やり取りが
現地星系国家を巻き込んで続いたのであった。
それらの流れから、きっかけは何であったのか不明だが
強行な外交交渉の結果、13年前に海華帝戦争が遂に勃発したのである。
赤帝と黄帝にとっては、対岸の火事とは言え
元々の原因が遙か昔に自分達の戦争を華帝国が加勢してくれた事で
勃発したような戦争であるので、非常に難しい気持ちで
その戦争の推移を見守っていたのであった。
その戦争は色帝同士の戦争であるから、白色帝国領域の様な
千日手の戦況になるだろうと誰もが思っていた。
いや、領土境界における戦争とは普通はそういうモノなので
例え侵攻戦が起きたとしても、防衛側有利でやがては停戦化するモノ
そんなモノだと、誰もが思っていた。
そんな常識が壊れたのが、5年前の事件だった。
元々、謎の戦闘能力を持つとされていた華帝艦隊は、
200年前に『森華帝戦争』において
森帝艦隊を散々な目に合わせて撃退したのと同様
現代の海帝艦隊との戦いにおいても、初戦のおよそ8年の間に、
色帝艦隊戦で戦局有利に展開していった。
そして、華帝国艦隊がカインベルン宙域を大勝を以て制圧。
そこで互いの色帝国は戦争の手打ちをするのかと思われた。
しかし、カインベルン宙域を制圧した華帝国は、
帝国内世論の加熱から、その進軍の勢いを止める事が出来ず
そのまま青帝の本土、フェルドバス宙域に進駐。
普通はそこで、汎銀河帝国時代に建設された『古代要塞』の前に
進軍の足が止まるので、補給線の問題から千日手になって
やがては侵攻側が撤兵をせざるおえなくなるのだが…
そのフェルドバス宙域を守っていた『古代要塞ゼロン』が
華帝の当時は名も無き提督、ニア・ラルフ少将によって
無血占領されてしまったのである。
それは銀河が仰天した大事件であった。
『本土を守る古代要塞を陥落させる事は不可能』
というのが、この銀河の一般的な常識であるので、
その常識をひっくり返した華帝国とニア・ラルフ少将は
『古代要塞ゼロンを謎の魔術で陥落させた』という事により
一躍、この銀河でアルシオン・オーラクルム帝に比肩する程の
注目人物になったのであった。
更に、古代要塞ゼロンが陥落した詳細は
華帝国が非公開のままにしたので、未だに『謎』であり
他の全ての色帝が、華帝の謎の戦力に、戦々恐々となった。
それゆえ、立役者のニア提督は『魔術師』と呼ばれるようになるが
古代要塞を何らかの方法で陥落する事が可能であるとなると、
今までの常識では考える事の出来なかった、
『色帝帝都本土に進駐』という事も夢想では無くなってしまった。
銀河は赤帝の1000年前の伝説の戦艦の封印解除で鳴動し
反対の華帝国の謎の古代要塞陥落法においても、同時に鳴動していた。
共に、1000年の間には『在り得なかった事』であるので
さもありなんである。
現在の諜報機関を使っての戦局報告では、古代要塞ゼロンを橋頭堡に
フェルドバス宙域は、80%以上、華帝国に陥落させられたらしく
インペリアルゲートで繋がっている分、青帝の帝都の最終防衛宙域
『ノ・ミスト宙域』は目と鼻の先となった。
現実の距離としては1000光年以上離れているとしても
それを1本の道にしてしまうのが、インペリアルゲートである。
『たった2宙域進めば、青帝の本土に到達できる距離に居る』
こんな六色帝国時代の1000年の戦史の中でも前例の無い、
帝都本土が襲われるかもしれない…という状況が生まれてしまっては
その魅力に抗えというのは無理というモノであった。
華帝国はサファナムという自分の門前領を200年前に放棄して
連邦艦隊を引き籠もりにしてしまったが故に、
その自然的情熱エネルギーの吐き出し先を、
帝国民全てが何処かに求めていたのだろう。
歴史初の侵略戦の正否に思いを馳せて、
華帝国は海帝国と講和を結ぶ気配を見せず、
本来は白色帝国領域に進駐させるべき精鋭艦隊を
フィルドバス宙域に、多数布陣し、着々と、侵攻戦を続けていた。
また理由は定かではないが、
この状況を生み出した当のニア・ラルフ提督は
その後、前線から退いたと言われている。
しかし、そんな『魔術師』不在であっても、
華帝国の増援艦隊は古代要塞ゼロンを拠点に
着実にフェルドバス宙域を支配下に置いてゆき、
最早、フェルドバス宙域は青帝の本土領域とは言えない状況に陥り、
宇宙図では華帝国の領土に書き直された。
この様に海華帝戦争は、
赤帝が白色帝国宙域でニルクルヴァ宙域を席巻したのと同じレベルで
色帝レベルの常識を引っ繰り返す出来事ばかりであり
銀河公報では熱いトピックスの1つであったのだった。
だからこそ、それが色帝という職務の立場では憂鬱であった。
黄帝カルマードは、それをアルシオンに指摘したのである。
ニア・ラルフという提督が、
どのような魔法を使ったのかは定かではないが
『本土陥落は不可能ではない』
という常識論を引っ繰り返す現象が起き、非常識は在り得るとなれば
その論法を真剣に考え始める事には意味がある。
すると、それを赤帝に当てはめると
赤帝から公開されている情報を元に『赤帝の機動皇帝旗艦』を以て、
黄帝を蹂躙するという方法論が考えられるのである。
となれば、黄帝の安全保障問題は深刻であり、
赤帝との軍事問題を決定するのは色連邦帝国の存亡に関わる事であった。
と同時に、赤帝は赤帝で黄帝の出方次第で、
黄帝との戦争も覚悟しなければならないのである。
この2つの色帝において『海華帝戦争』は対岸の火事であるとはいえ
自分達の安全保障そのものを脅かす恐るべき圧力があった。
色帝となり、色帝になった時にしか知る事のできない
秘密を知ってしまった後は、その様な考えは夢想で、
よしんば、本土まで辿り着いたとしても、
『思考天体だけは落とせない』
という大問題が分かっているので、
色帝という立場では本土への進駐等と言う思想はナンセンスであるが、
一般人はそれを知る事は出来ないのである。
ならば、帝国議会の議員達にとっては、六菱皇帝自身の敵色帝本土侵攻戦
という戦術プランは、戯れ言ではなく
真剣に赤帝でも黄帝でも帝国議会で議論されている内容であった。
特に海華帝戦争という、実例が存在している以上、
”赤帝の『Q』がまた起動すれば、黄帝の本土蹂躙は在り得る”
という恐怖で、黄帝の帝国議会は現在進行系で紛糾しているのである。
ならば、黄帝という立場で安全保障問題を考えれば、
赤帝との外交を強化させ、国交を良好にしておくのは
国益の有効な方法論であった。
特に、青黄帝戦争での共同戦線の歴史から、敵対連合という意識が薄れ
ナストア帝の時は脅迫外交もあったが、その後のアルシオンの父が
黄帝に礼を尽くしてきたというのもあって、領土境界問題も
一部の宙域以外では、明確な線引きが出来て貿易流通も盛んになった。
故に、黄帝としては赤帝をそこまで敵視する所以が見つからないのである。
特に、『炎の皇帝』と呼ばれる、今、銀河で最も銀河中央に近い男が
非常に慎重で、礼節を重んじる人物である為、
『あの皇帝を止める必要があるのか?』という銀河世論が強まっている。
黄帝の議会内では、黄帝の色帝権威保守派と
赤帝と過去の様に連合し、銀河中枢を今こそ奪還するべきなのではないか?
という軍事同盟案派が二大派閥になって議論を重ねており、
その様な漏れてくる情報から、
『黄帝は戸惑っている』と赤帝からは評価されていたのであった。
「確かに、海華帝戦争の例があるせいで、
直接本土侵略という話も、
一般市民論的には夢想ではなくなりました。
まぁガメット級思考天体が、どういうモノかを知らないのなら
それも致し方が無いでしょうが…、
しかし、我々はそうはいかない。
色帝のたしなみを御忠告いただいたのに、あえて言及させて貰えば
色帝の我々には『本当の本土絶対防衛線』が
存在しているのを知っている。
それを承知の上で、あえて赤帝と組むと考えられる
黄帝陛下の思惑は、那辺にあるのか?
若輩者の私には、その戦略的意図が見えてきません…
その点を、色帝見習いのこの私に御教授いただきたいモノですが…」
アルシオンはカルマード帝の揶揄に、それでもあえて踏み込んで
黄帝の帝国議会で正式に軍事同盟の議案が可決されているわけでもないのに
黄帝のスタンドプレーで、この緊急極秘会談により黄帝全土に関わる話を
進めようとしているその思惑を直接尋ねる。
『ふむ…確かにこの提案に疑念を抱くのはごもっとも…
色帝というのは権威で存在している集団ですからな…
だが、だからこそ我等、黄帝というのは、
その権威なるモノに疑問を持つのです』
「…といいますと?」
アルシオンはそこでカルマード帝が
色帝という存在の疑念を口にした事に眉をひそめた。
相手は皇族として125年も生きてきた『権威』そのものである。
その当人が、それに疑問と言い出すなら、尚更であった。
『黄帝は御存知の様に、別称は光帝国…
光という存在、
そのメタファーに沿った文明や文化に重きを置く色帝です
だからこそ、我々は考える…
この六色帝国戦争という1000年戦争とは何なのか?と…』
そこでカルマード帝は自身の感情も込めてそれを口にしたのだった。
「そ、それは…」
それと全く同じ思いを抱いて生きてきたアルシオンであったので
自分と全く同じ疑問を持つ者が、
それも色帝職であるという事に衝撃を受けた。
『思えば、歴史学者達の言葉通り、我々は”流血の女皇帝”の最後の策
『皇帝道の破壊』によって、終わりの無い環状戦争を続ける事になった
しかし、もう1000年も、悪戯に我々は血を流して来たのです。
ならばここで、我々は、変わってみてもいいのではないか?
そう、文明や文化を信奉する色帝は、考えてしまうのですな…』
そう言ってカルマード帝は薄く笑う。
「変わる?」
アルシオンはカルマード帝の静かだが、強い言葉に、それをなぞってみた。
『この1000年戦争を、貴方が終わらせる…
貴方が銀河中枢を制覇し、汎銀河帝国を復権させる…
そんな一人の英雄を旗印に、
色帝全てが戦力を集めて銀河中央突破を試みる…
そういう事をする頃合いになったのではないか?
そう小生は考えているのですよ…』
そこでカルマード帝は皇帝としても個人としても、
悲願である事を率直に口にしたのだった。
「私が銀河中枢を制覇する?
私に色帝の全戦力を集める…ですと?」
そんな突飛な意見が、よもや他の色帝の口から出た事に
正直に驚いて、それを返して問い返すアルシオン。
『黄帝だけではありませぬ…
水帝も緑帝も…
今、赤帝が戦端を開いている両帝も屈服させ
講和条約の後に、四大帝国で銀河中枢に侵攻をかけるのです…』
「四大帝国で銀河中央に侵攻ですって!?」
アルシオンはそこで、脳内構想の中で1つの戦略案であった
水帝と緑帝への講和条約の条件として『共同銀河中央突破同盟案』
その構想を、より拡大した、黄帝も含んだ四大帝国での大構想案を
カルマード帝が語った事に、目を見開くしかなかった。
いや驚いたのはアルシオンだけではなく赤帝職にある
四人の(S級人類としては)若者達、全員であった。
色帝の連合による共同銀河侵攻は、戦略案としては悪い案ではないが、
難点として『色帝の権威』という奴が邪魔をして
提案しても上手くいかない内容である。
故に、アルシオンは軍事的勝利を続けて相手の連邦体制を揺るがし、
頃合いを見計らって講和条約の案としてそれを提案して
戦争中の相手の顔を立てて、協調を得ようと考えていた。
しかしその構想に、黄帝も入って来る、
という想定外の話を黄帝本人からされたのである。
それを思いアルシオンの中に名状しがたい熱が生まれる。
非常に難しい戦略案の道筋に、1つの明確なルートが見えた気がした。
そんなアルシオンの表情を見逃さず、
カルマード帝は、深い溜息を付きながらその考えを述べ始める。
『思えば、120年前のナストア帝は、炎の女皇帝の名に恥じぬ通り
銀河中枢を走破し、クラーリン大将級の元まで辿り着き
これを相撃ちとは言え、討ち取った…
これは歴史的にみて、確かに快挙であるとは言えましょう…
300年前の青帝は大将級と戦って敗北したのですからな…。
しかし、逆に言えば、
結局、1色帝が出来る限界はそこまでという事です…
恐らく、今後、どんな六菱皇帝が現れても、
1色帝だけでの銀河中央突破は不可能でしょう。
これは私の私見が過分にあるのですがね…
しかし、そう私は思っています。
だが、今、1000年の時を越えて、『機動皇帝旗艦』の1つ
Q・バルディオスの封印が赤帝の貴方によって解かれた…
我等の皇帝旗艦の封印は、全く解けないというのにですよ…
なれば、1000年越しのこの機会…
これに、銀河中が賭けてみるべきではないか?
私は、そう思っているのです…』
そう言って微笑を浮かべるカルマード帝。
「つまり、Qが使える私に銀河中央突破をさせる為
色帝で1000年前の様に大同盟を組もうというわけですか?」
そのカルマード帝の発言で、提案の核に『封印戦艦の復活』と
それを支えるアルシオンというタレントに、
賭けに出るだけの十分な可能性を感じ
この銀河の閉塞された環状状態を打破しようという黄帝の
積極的な銀河戦略の意図を感じれた。
故に、そう言葉で返して相手の意志を確かめてみる。
『その通りです…
こんな、この1000年、例の無かった事が起きている状況で
色帝の面子だ、格式だ、怨恨だと、些細な事を言っていても
頂点を預かる者としては、仕方ない事ではありませんか?
120年前のナストア帝は、苛烈な性格だったと聞いており
ナストア帝と賭けに出て黄帝艦隊を連合艦隊で出すのは
当時の帝国議会も渋ったと聞いております。
しかし、アルシオン帝…貴方はどうやらナストア帝とは違い
交渉の余地は過分にあると、銀河市民も帝国議会議員も見ております。
なればこそ、黄帝との軍事同盟と、四大色帝での連合艦隊の派遣
これが最適な銀河戦略ではないか?と私は考えるのです』
カルマード帝は、そう、淡々と今、知られている事実を元に
為政者としての頂点に座し、総合的な判断によって
何が前向きな銀河戦略なのかを、
全ての聴衆に説得するかの如く、語った。
その言に理解を示すアルシオン。
いや、実際に、Qという戦艦を使用してみたからこそ
その発言はアルシオンの方が十分理解できる所であった。
”あれだけの戦力があれば、銀河中央突破は可能なのではないか?”
と思ってしまう事は。
しかし、逆にアルシオンの方はQの能力を知ってしまったからこそ
より慎重にならざるおえないという、船の使用者にしか分からない
そして公に公開するわけにはいかない内々の事情もあった。
”Q・バルディオスの能力は、
他の古代戦艦と比べて突出し過ぎている。”
それは艦を使ったアルシオンだからこそハッキリと断言できる事であり
と、同時にアルシオンは、その『異常突出』している戦艦の能力
それが何に起因するモノなのか?
それさえも艦を使った者として気付く事が出来た。
赤帝…あるいは全ての色帝には『コード666』と呼ばれる
公然の秘密となっている、機密研究が存在している。
その内情を知っているアルシオンからしてみれば
どの色帝も、莫大な帝国予算を投入しながら、
成功する要素の欠片も見えない『コード666』という研究の、
理論上存在する「ハズ」のモノが、そこ実物としてあるという事…
『Q・バルディオス』の中心にあるリアクターは
『コード666』の研究の、更に先に存在しているモノであり
それを動力として動いているからこそ、あの船は特別な船であり
同時に、機動天体要塞の中に封印しなければならない程に
使用に制限のかかる戦艦なのだと理解できていた。
だからこそ、連想的に
アルシオンは莫大な危惧を抱かずには居られない。
1000年前に建造する事が出来た六隻の特別な戦艦。
銀河中央で戦った『流血の女皇帝が使った謎のクラーリン』
それと戦う為だけに作られた、特別すぎる戦艦。
その伝承と、現実のQの歪な存在を対比すると、
銀河中枢に到達した時、Qと同等か、それ以上に危険な船が
アルシオンを待ち受けているのではないか?
そう、単純に連想する事ができた。
『Q』は1000年前に色帝の皇帝が作れた戦艦である。
ならば、色帝よりも更に上だった汎銀河帝国皇帝
通称『白帝』は、それ以上の戦艦を建造する事が出来たのではないか?
それこそが『謎のクラーリン』という伝承なのではないか?
アルシオンは、そう考えざるおえないのだった。
そしてもしアルシオンのその予想が正しければ、
銀河市民が高揚して声高に叫ぶ
『赤帝の英雄が銀河を制覇して六色帝国時代を終わらせる』
という呑気な言葉に、その気になって乗っかるわけにもいかない。
アルシオンは赤色皇帝に戴冠してから、
色帝のみしか知る事のできない重大な色帝の機密を知ってしまった。
すると、逆に、益々1000年前の革命戦争の『真実』を見切らなければ
銀河中枢へ向かう戦略を組むのは危険過ぎる事も理解できた。
周囲からは、アルシオンは赤帝に戴冠してから、少し大人しくなり
為政者としての職務に没頭し始めた…と、批判的に言われている。
半面それは真実でもあるが、もう半面は違う。
アルシオンは銀河中央突破という1000年の銀河市民の悲願が
現実的になってしまったからこそ、
ならば逆に”銀河中枢には何があるのか?”
そもそも、1000年前、何故、銀河は
1つの大帝国から6分裂しなければならないほどに、
苛烈に離反する革命戦争が起きたのか?
その真実が掴めない状況で、銀河中枢に矛先を向けるのは
危険な賭けだと判断したのである。
故に、今は、赤帝の統治に没頭している様態を見せながら
同時に思考天体達が焚書しきれなかった情報を発掘する為に
赤帝の未調査の遺跡群に調査研究命令を出して、
過去の謎を解くパズルのピースを集めまくっているのであった。
その様な、銀河中枢を本気で見据えた上での、
入念な下準備が必要だと思っている矢先に、しかしこの提案である。
黄帝の言葉は統治者としての包容力ある戦略論だとは思えたが
アルシオンも赤帝として帝国の頂点に立つ為政者である。
アルシオンが知り得る事の全てをそこで語るのは危険であるし
外交の駆け引きとして、それは愚策中の愚策である。
だからこそ、黄帝の開明的な提案を手放しでは喜べず
外交話術の駆け引きに出る。
「ふむ…黄帝陛下は、
私などよりも遙かに銀河の統治者としては適切な
開明的で柔軟な思考を持たれている御方の様だ…
若輩者としては、そう達観できる色帝としての経験の深さ
感服するばかりです…
私も方法論としては、複数の色帝による連合艦隊での
銀河中枢への侵攻作戦…
考えなかった事も無かったですが、
それを黄帝側の方から持ちかけて貰えるのは光栄の至り…
個人としては、ならば是非ともと、即答したい話ではありますが…
しかし私も、経験が浅いとはいえ、赤帝の冠を戴いた者。
この案件に関して、帝国議会がどう意見を持つのかは
赤帝の帝国議会で審議して決める事でありますし、
それを、こんな秘密の会談で色帝だけで先に決めてしまっては、
皇帝制度による専横のそしりは、免れないでしょう…
そしてこんな内容を帝国議会にかけようものなら
赤帝の連邦議員達にとっては、当然、黄帝としての打算は何であるか?
という事が議題が懐疑の中心ともなりましょう…
六色帝国時代を終わらせる…という大義と
色帝の権威を終わらせるという現実問題…
ここに、黄帝は那辺の目論見があるのか?
どうしても、その点において、釈然としないモノが残ります…
その辺りは、黄帝は如何にお考えなのか?」
アルシオンはそう言って、あの特別な戦艦、
機動皇帝旗艦の知り得る重要な機密をはぐらかしながら、
同時に黄帝の現実的な打算を探ってみる。
『中々、アルシオン帝はお若いのに、疑り深いですな…
まぁ賭けに出る為の主役が、猪突猛進しか出来ない蛮勇者では
不安しか生まれないので、慎重である事は望ましいですが…
ここは、私の方からもヘマをやらかして、
この回線が色帝のみしか使えない
極秘回線である強みを使いましょうか』
アルシオンの言葉にカルマード帝はそう返し、
中々、若いのに腹芸も達者だな…という感心と、
同時に若者ならもっと情熱的でもいいのではないか?という
年長者からの視点での別の不安も感じた。
慎重は頂点に立つ者にとって必要な資質であるが、
それも度が過ぎれば臆病の領域に入る。
『機を見るに敏』という言葉もある。
ならば若者らしく、少しの浅慮と猪突猛進性も欲しいと思えた。
故にカルマードは、自分の方から崩れて
相手を誘うという達者な芸を使ってみる事にしたのであった。
『色帝同士でしか分からない物言いですが、だからこそ極秘回線です。
アルシオン帝…貴方は不思議に思った事はありませんか?
我等しか知る事のできない『奥の院』様…
彼等が、『流血の女皇帝』に対して怨嗟の言葉を口にした事は
少ない謁見の機会しかありませんでしたが、私は一度も無いのですよ?
そちらではどうなのか、私は存知上げませんですけれどね…
ともあれ、常識論的には、怨嗟の塊である『流血の女皇帝』
なのに、彼等は、その謎の彼女を糾弾する事は全く無い…。
しかし、不思議な事に…『奥の院』様達は…
間違い無く、1000年前の革命戦争に対しては、
尋常ならざる怨恨の思いを抱えておられる…
だからこそ彼等は『奥の院』でもある…
このギャップを異質に感じる事はありませんか?』
「そ、それは!!」
カルマード帝が、口にするのも憚られる『奥の院』の話を
隠す事もなく口にしてきた事に、心底焦るアルシオン。
この回線は、アストラストとトルパサスニアが直接に繋げている
秘匿回線であり、という事は、思考天体であり、
同時に皇室典範である彼等に、この会話の内容が筒抜けなのである。
皇室典範の中には、色帝に戴冠した者達にしか知らされていない
機密の法典内容『奥の院』の条項があり、
色帝は一般人に『奥の院』なるモノの存在を口外してはならない
という決まりが存在する。
ただし、同じ色帝同士は、互いに皆、
『奥の院』という存在が周知の事実であるので
色帝相手が『一般人』に該当するかは法典的にはグレーゾーンであった。
その危険性を計算に入れながら、奥の院の事を平然と口にし
それも各色帝が、他の色帝相手には絶対に機密にしなければならない、
奥の院との会話内容に関しての感想を口にした事は、
アルシオン他、赤帝の四人全てが驚愕する事であった。
『100年以上も生きると、どこか達観し始める所もありましてね…
もし、この物言いで皇室典範に処刑されるのなら、
それならそれでもいいかな…という気になる事もあるのですよ。
色帝など、ただの統治をするだけなら、
思考天体を動かす為の鍵でしかない、つまらない存在ですからね…
だからこそ、色帝は自分が自分である事を繋ぐために
六色帝国時代を終わらせる方法は無いのか?等と
能力もないのに考える…
これはもどかしい精神なのです…
しかし、そうやって先代も先々代も、
同じ思いをバトンにして、次の世代に託してきた…
こんな、冷静になって考えてみれば、
何の為にやってるのかわからない
六色帝国戦争なんてモノを続けていると尚更です…
それが、今の時代には、本当に六色帝国時代を
終わらせれるかもしれない可能性が現れた…
それに狂気する事は、おかしな事でしょうかね?
なら、自分がそれでも同じ色帝であるという自負があるなら
貴方が恐れている『銀河の過去に対する不安』に対して
私の意見を伝えるのも手なのかな…とね…』
そう言ってアルシオンの隠している不安に対して
銀河の謎を解くパズルのピースの1つを与えてみるカルマード帝。
若者が用心深くなって熱血で居られないのなら、
年長者としては自分が熱血して若者に道を示してやるのも、
生きている事への賞賛なのではないか?
それはカルマード帝が心の底から思っていた感慨であった。
だからこそ、こんな所で無為に熱く生きてみるカルマード帝。
そんな黄帝の様に、アルシオンは1つの感動を覚えた。
今になってみれば、炎の皇帝などと持てはやされているが、
それはただ六菱覚醒という才能に恵まれただけの事である。
生きている事への感傷を思えば、六菱覚醒する前の
A級人類レベルで周囲に冷たく見られていた頃の方が
今よりも遙かにアルシオンは熱く生きれていたものである。
ならば三菱という色帝の限界のままで生き続けてきた者には
生きている事への最大の礼賛とは何であろうか?
それはきっとカルマード帝の様な、
自分にある限界をそれでも越えようとする
長く生きていれば何処かに残ってしまう、
燻っている情熱なのではないか?
そう思えた時、アルシオンの意識の中に、
エスカの父が公開処刑された時の事が思い出された。
『私は、この時、この場所にいるからこそ
だからこそ、銀河の皆さんに問いかけたい!
私はただ、問いかけたい!
問いかけたいからこそ、
私はこの場所に辿り着いたのかもしれないのです!
だから銀河の皆さん、聞いて下さい!
私の抱く疑問を!』
あの処刑前の言葉がアルシオンの耳の中に木霊した。
それに近しい何かをカルマード帝からも
語られた様な気がしたので、尚更であった。
「つまり、陛下は銀河で知られている伝承と
『奥の院』様達の知る真実は異なるモノだと…
銀河中枢には、我々、色帝が恐れる化け物が
君臨しているわけではない…と考えられるか?」
そんなカルマード帝の勇気ある言葉に、
アルシオンも下手な腹芸を辞めて、直接の懸念を口にしてみた。
『さて、それはどうなのでしょうな?
銀河中枢に化け物が居ない、…と断定はできないでしょう…
ならば、機動皇帝旗艦が
存在しているという意味が分からない…
あやふやな伝承だっただけの時代なら兎も角、
貴方がQを使った事で、伝承で伝えられてきた話以上に
その戦艦の戦闘能力は脅威的なものであった…
これは確定した事実です…
ならば、それに相応した
『敵』が居たのも事実なのでありましょう
しかし、それが『流血の女皇帝』であった…
…のかどうかは、私には疑わしいのですよ…
特に我等の『奥の院』様は、
『運命の日が来るのを待つ…。
もう一度、姫に会わねば死ぬに死にきれぬ』
と言われますからな…
そちらの奥の院様は、どう言われるのか知りませんがね…
我等の奥の院様は、
会わねば死にきれぬ『姫』が居られるという…
さてこの謎の『姫』とは、誰の事なのか?
『流血の女皇帝』と忌み嫌われた方の事なのか?
しかし、何故、
『皇帝陛下』と呼ばずに『姫』と呼ぶのか…
私にはどうしても、それが不思議でね…』
そう言って難しい笑いを浮かべるカルマード帝。
「『姫』ですか…ほう…
黄帝の『奥の院』様が、そんなキーワードを口に…」
そんなカルマード帝の言葉を聞いて驚くアルシオン。
黄帝の奥の院が誰かなど、分かりきっている事なので
逆に、その人が口にするという事は、よほどの内容なのである。
それを、こうも簡単に漏らすのは、如何なものかとも思えたが
逆に、そんな重要な情報を色帝相手に口にするという事は
カルマード帝自身は、赤帝との軍事同盟と
四大色帝の大同盟による銀河中央突破という案を
本気で考えているという事である。
それを感じて、アルシオンは口元を歪ませる。
そんな会話内容を聞いて、これまた別の秘匿回線で
会話が交錯していた。
『トルパサスニア…これ、皇室典範的にどうなのだ?
色帝間同士の秘匿回線による情報交換になるから
超法規的取り扱いで、不問で良いのか?』
そう黄帝の思考天体に尋ねる赤帝の思考天体。
『アストラストよ…
私も、それは疑問に感じる所ではあるのだがな…
こっちの『奥の院』は、お前もよく知る様に
超法規扱い上等の方でな…
赤帝の血筋に、また『あの血』が現れたのなら
それは、何らかの運命の巡り合わせではないのか?
ならば運命の日は待つのではなく、
手繰り寄せるモノではないか?
と、言われて憚らない故に…な…
今のカルマードの言葉は『奥の院』の指示ではないが
カルマードにこうさせてしまうのは
黄帝の思想の伝統ともいえる。
なので、これは不問で良いのではないかな?
お前自身が、恐らく、姫に上奏をしているのと同じ様に
我等も、その狂おしい程の『可能性』に賭けてみたいのだよ…』
赤帝の思考天体の質問に、そう返す黄帝の思考天体。
『上奏?何の事かな?』
黄帝の思考天体のさり気ない質問に、
下手にしらばっくれる赤帝の思考天体。
『はっ…白々しい…
お前とフォレストだけが特殊回線で繋がっているのは
他の思考天体には周知の事…
まぁ、それだけの伝統の前には、敬意を表するしかないが…
1000年前の取り決めは、
お前達二人だけで決めた事ではないぞ?
我等全員の思考天体の満場一致で、
この銀河にする事を決めたのだ。
それを最初に口にしたのは
私なのだという事を、忘れないで欲しいモノだな…
まぁそんな昔の事を、言っても仕方無い事だが…
ともあれ、お前の元に、その血がもう一度現れた…
ならば、お前がこの銀河を終わらせる算段を
姫に上奏するなど分かりきっている事ではないか…』
そう呆れを伴って、6000年を越えて君臨している
始祖の思考天体をなじってみる黄帝の思考天体。
『まぁ隠しても仕方のない事といえば、そうか…
アルシオンという名が我が元に、また生まれた以上…
これを可能性と思うのは当然であろう?
それは、私だけでなく、黄帝も同じという事か…』
そんな黄帝の思考天体の皮肉に苦笑して返す
赤帝の思考天体。
『そういう事だ…
で、どうなのだ?姫の反応は?
ウチの奥の院も、それを非常に知りたがっているしな…』
『まぁ、あの爺なら…そうであろうな…
姫を一番愛して止まないのは、
この銀河ではそちらの爺であろうしな』
『当然だ…我々が確信犯でやった事とはいえ、
我が主が、真実を知った時の衝撃は、
私自身も申し訳ない気持ちで一杯であったのだ。
そして、我が主だけでない…
他の思考天体も同じであろうが、
私も姫をあの仕事から解放させたいのは、同じ気持ちなのだ…
あんな仕事が存在しているのは、
思考天体の無能の象徴にしか思えん』
そう言って焦れる黄帝の思考天体。
自らのメタファーが『文明の光の黄色』である以上
それを全否定するかの様な、この銀河の現状は
黄帝の思考天体が最も良しとできなかったのであった。
『そう…か…
まぁ、それが思考天体の思考天体の『らしさ』ではあるよな…
では…答えてやるが…
芳しい結果ではない…
…ぐらいが、伝えてやれる精一杯だな…』
そんな黄帝の思考天体『らしさ』を笑って
その中に居る、気骨ある大老へのねぎらいも込めて
現状の報告を婉曲に行う赤帝の思考天体。
『芳しく無い…と?』
赤帝の思考天体の答えを聞いて、
思考空間で眉をひそめる黄帝の思考天体。
『姫は、
”今を生きている者が、
この銀河で決めた事は全て受け入れる”
とは言われておられるのだ…
この1000年、それはずっと変わっていない…
だから、アルシオンが銀河中枢に到達できるのなら
それは全て、今の人類の成果だと認める…とな…』
『なら、良いではないか…』
『しかし、奴等と戦うという案には懸念を示されている』
『ほう…』
赤帝の思考天体の暴露を前に、思考空間の中で頷く黄帝の思考天体。
赤帝の思考天体は溜息を付くかの様に語った。
『姫の躊躇は、何時も通りだ。
クラーリンを倒す算段が無いのに、対処療法で事にあたっても
混乱を助長させるだけの可能性が高い、とな…』
『なるほど…、結局、クラーリンが問題か…』
『そうだ…結局、クラーリンが問題だ…
あの時もそうだった…そして今も、それは何ら変わりがない』
そう言って2つの思考天体は1000年前に現れた
クラーリンの事を思い、
それがずっと銀河最大の問題として棚上げ状態になり、
箱庭世界を作って問題の先送りを続けている現状に
嘆くしかなかった。
『今の時代のアルシオンが、かの大帝の様に
クラーリンも打ち倒してくれたら、話は楽なのにな…』
そこでそんな冗談を口にしてみる黄帝の思考天体。
『は…S級人類一人が頑張って、アレが駆逐できるというのなら
思考天体は責任をとって、全員、自爆しないといけないな…
何が宇宙を統べる、統治の為の思考天体というのか…』
そんな黄帝の思考天体の自虐に、別の自虐で答える赤帝の思考天体。
『まぁ確かに…それはそうだな…
あの御伽話には、『答え』が無い…
それが『答え』なのだという矛盾こそが
この1000年を作った因果なのだ…
それは救いようのない話だな…相変わらず…』
そこで、黄帝の思考天体は、
文明を象徴する『黄色』の個性色に従って
答え無き問題に対して、深い溜息をついたのだった。
いや、情報はかなり出てきたのと
本編の話を念頭に書いている部分で、
本編読んでいたら何の話にリンクするのかという部分、
あるいは、そうである事を前提に会話をしないといけないんで
もどかしいわけですが
そういう風に、本編にも関わる話を混ぜ込むと
長くなってしまうワリに「具体的にどうすんの?」
という話が全然、出て来ないのに、もう1万5千文字になってしまって
しゃーないんで、三話目に突入です…
もう話数の数え方も、滅茶苦茶になってきてますね‥
困ったモンだ… Orz




