第0話
ある日、数多の種族が生きる大陸に大いなる災厄が現れた。
遥か北に位置する渓谷より突如として現れた一人の男は、生あるものから生まれる呪われた存在「異形」と「黒の勢力」の軍勢を率い、大陸を蹂躙した。
後に「かの王」と呼ばれる男が率いる軍勢は瞬く間に大陸中の国々を種族を問わず国ごと破壊していった。
大陸が戦乱に飲まれ、戦火に焼かれようとしていた時、突如、何処から来たのかもわからない「七人の英雄」が現れた。
彼らはそれぞれ、人間の身でありながら強靭な武術と異能の力を纏う武器を操る戦士であった。
突然の英雄の出現だったが「かの王」に抵抗する各勢力、人間、エルフ、ドワーフ、ウルムの四種族は残った戦力を集め連合軍を結成し、英雄たちに加勢する。
七人の英雄と連合軍は戦線を押し返していき、ついに「かの王」の軍勢を追いつめ、北の渓谷にて最終決戦に臨む。
多大なる犠牲を払いながらも英雄たちと連合軍は有利に戦況を進めていき、勝利が見えてきたとき、「かの王」自らが前線に現れる。
「かの王」が持つ死の剣は切り付けた者の命を奪い去る呪いを纏っており、その強大な力の前に瞬く間に兵士達が倒れていく中、英雄たちは一丸となり、その強大な力と対峙した。
激しい死闘の末に、ついに「かの王」の胸中に1本の剣を突き刺した、激しい断末魔の叫びとともに肉体は崩壊し、最期を迎えた。
しかし、「かの王」が滅ぶ寸前に肉体から強大な「不老不死の呪い」が霧散し、彼ら英雄の肉体に深く刻み込まれる。
かくして大陸中を巻き込んだ戦争は集結し、七人の英雄は「七雄」と呼ばれ称えられ、それぞれの道を進み、新たなる時代の礎を築く。
そして「かの王」との戦争から100年の歳月が流れた。
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「ハァ、ハァ、ハァ……!」
月明かりのまばらな深い森の中を、似つかわしくない白いドレス姿の女性が駆け抜けていた。
「いたぞ、ルミリア王妃だ!」
背後から数人の銃を持った帝国兵が追いかける。
「……くっ!」
背後の追っ手を視認したルミリアは追いつかれまいと全力で走る。
ただでさえ慣れていない森の中、足はもう動けないと悲鳴を上げていた。
「止まれぇ!」
帝国兵の一人が銃を構え発砲した.、体の芯に響き渡るような轟音が静寂に包まれていた夜の森に鳴り響く。
弾はルミリアのすぐ横の木に命中し、飛び散った木屑が顔に降りかかる。
「きゃあっ」
今まで聞いたこともないような轟音、そしてまるで透明な矢で射られたかのように目の前の木が丸く抉られた。
驚いた反動で足がもつれ、転倒してしまう。
「馬鹿、撃つな。生かして捕らえよとの命令だぞ。」
帝国兵の上官が部下に怒鳴りつけ、倒れこむルミリアの元へ駆け寄る。
「うぅ・・」
「さぁ、ルミリア王妃。我々と共に来ていただきますぞ。」
「何故です、何故っ・・。」
今にも消えてしまいそうな息遣いで地面にたおれこんだルミリアは枯葉を強く握りしめた。
「ん?」
「何故、我が国に攻め込んだのですか!領内の魔鉱石の採掘権は譲渡し、友好的に接してきました、攻め込む理由などなかったはずです!」
上体を起こし、手に握りしめた枯葉を投げつけて目で射殺すかのように帝国兵を強くにらみつけた。
「成程、さすがはあのエオルド王の娘ですな。実に猛々しい。」
顔についた枯葉を左手で払いながらルミリアに近づいていく、背後では部下たちが銃を構えている
。
「ですが、この状況では無意味だ、大人しく付いてきてくだされ。」
ルミリアに手を伸ばしたその時、木々をなぎ倒す凄まじい轟音が近づいてきた。




