29話(敵潜水艦にて)
時は少し戻り台湾が襲撃される前日。
・・・
潜水艦内は薄暗く、赤い常備灯が気味悪く光っている。空気は湿っており、錆びた金属の匂いが潜水艦内の空気を漂っている。
艦内は継続的に金属を叩いたかのようなカーンという音が鳴っている。
そんな劣悪な環境の中、汗水垂らして戦機を整備するものが3人いた。
「こんな狭いところで急造品の戦機を整備しろなんて、どれだけ時間あっても足りねぇ!」
「ほ、ほんとですよ・・・作りが甘いのか、埋める穴が多すぎますッ!」
そんな文句を言いながら戦機の整備をしていたのは、アンドリューとプラユットであった。そんな彼らの顔には溶接で溶けた金属粉がかかって黒くなっている。
「貴様達、詰めが甘いと穴から入ってきた水で戦機がパーになるぞ」
こんな状況下で厳しいことを言うのは、ベスター中尉であった。
「わかっているだろうが、明日の朝には作戦開始だぞ。それまでには完了させておけよ」
整備がいち早く終わったベスター中尉は、そう吐き捨てるかのように言って、操縦室へと繋がる細い道へと消えていった。
・・・
「くっそー、そんなこと言う余裕があるなら手伝ってくれたっていいじゃねーかよ」
「まぁまぁ、あの人に何を言おうと無駄ですがね。明日までになんとか終わらせるしかありませんよ」
「そうだな・・・ しっかしー、よりによって俺たちがこの作戦を行うことになるとはな・・・」
「どうも、この作戦は少佐の独断らしいですよ。まるでこの前の失態を自分たちで払拭しろ。と言ってるみたいですね」
「まぁ乗り気じゃねぇが、軍の命令ならやるしかないだろ?」
「流石は軍人家系出身ですね。そうところはあなたらしくない」
「っせーよ! ・・・だがこれも平和の一歩だと思えば・・・」
何も彼らも好き好んでテロを行なっているわけではない。cocが掲げるスローガンは武力でよる平和である。まるで矛盾しているかのように聞こえるが、今の世界状況ではこれが正義になりうる状況でもあった・・・
そして翌朝
『戦機格納庫、注水開始!!』
その直後、潜水艦の戦機格納庫に水が入ってくる。戦記のなかで待機しているパイロット達はモニター越しに作戦の概要を話し合っていた。
『今回の襲撃では主に軍構内の砲台を集中して攻撃。及び戦機の破壊活動が目的だ。この船には囮になってもらい、我々は裏口から攻撃を仕掛けることとなる。作戦行動時間はこの船がステルス状態を維持できるおおよそ360秒だ。 用意はいいか?』
『はい、了解です』
『了解!』
そうして戦機格納庫の下の床が開く。開いたと同時に戦機を縛っていたロックが外れ、海底へと沈んでいく。だが、底に着く前に戦機のスクリューが回り、戦機を少し浮上させる。
3人の戦機は砂埃を上げながら海底スレスレで目的地へと進む。
『敵基地に潜水艦が見つかった。悟られないよう、少し速度を落とせ。相手はこちらが攻撃しなければ攻撃してくることはない』
『攻撃してこないとは言っても、もしものために水中機雷を仕掛けておいた方がいいのでは?』
『絶対にやめろ。今後の作戦に支障が出るような足枷を自分で作るな』
『は、はい!!申し訳ありません』
自信満々に立案した案を、ベスターに厳しく否定されるアンドリュー。確かにに罠を仕掛けていざと言うための切り札にするのも悪くない。だが、今回のように状況に合わせて動く作戦では不向きなものであった。
そして15分後。裏口に面している崖の近くについていた。
『ここからはお前らの技量にかかっている。健闘を祈る』
そう言い、ベスターが先行して崖を登っていく。それに続くようにのぼるアンドリューとプラユット。
こうして台湾軍港の攻撃が始まった。
ーーー
そして、現在。
台湾の戦機格納庫から出てきたエクスの乗るR型機に2人は驚きを見せていた。
『こ、こいつ!マリーの乗ってた戦機に似てやがる!!』
『ですが、顔が違うようですね。なんというか少し強面の顔をしてますよ』
『んなことはどうだっていい!こいつも一緒に壊してやるよ!』
そう言いアンドリューは攻撃を仕掛けたが、間一髪のところでヒョイと避けられ、バレットライフルによる反撃を喰らう。
『やるなぁ!こいつぅーーー!!』
攻撃を喰らい、よろけつつも腕に隠していたヒートソードを構え、R型機に立ち向かうアンドリュー。
こうしてアンドリューとエクスとの戦いが始まった。




