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What-if games?  作者: 岡田播磨
2章 INTERMISSION 愛情、冷えてます?
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第九話


 袋井の靴は、恋音には大き過ぎる。

 それでも、袋井は恋音に自分の靴を渡し、裸足の恋音は靴を履いた。

 カポカポと音を鳴らし、歩く二人は明かりがつく陽報館を目指している。

 ほんの数時間前までは、生気なく静まり返っていた陽報館に命の光が灯っている。

 望む未来も、行き先も決まっている。

 時間を掛けて、答えを見つけていけばいい。

 何としても、三人の未来を見つける必要がある。


「ただいま戻りました」


 玄関で袋井は、大きな声で叫んだ。

 だが、誰ひとり返事が帰ってこなかった。

 リビングからは、騒々とした空気が感じられる。

 人がいることは間違いない。

 手を繋いでいた袋井と恋音は、玄関を上がるとリビングの扉を開けて、中にはいった。

 二人の目にすぐ凌雅の姿が入った。

 ほんの少し長い前髪が片目を隠す、少女のように優しい少年。

 入ってきた二人の視線に気づき、凌雅は困ったようなハニカム表情をした。

 凌雅は、一度合わせた視線を、二人を誘導するように、リビング中央に逸らした。

 つられて、袋井はリビングに目線を送る。

 袋井たちを除いたリビングに集まる7人の家族は――7人?

 怠惰に、律花、世那に、玲那。戻ってきた凌雅に、先ほど到着した美月、そして――。


「お帰りなさい、父さん」


 短く切りそろえた黒髪の、スーツを着込んだ微笑みの少年。

 その手にキラリと、ヒヒイロカネが光っている。


「それじゃあ、始めようか。僕達の――サバイバルゲームをさ」


 少年のほほ笑みに、袋井は額から汗を流し苦笑いをした。


 袋井雅人の手に入れた、新しい日常。

 いつまでも変わらないと、信じ続けていたものだった。

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※この作品は出版デビューをかけたコンテスト
『エリュシオンライトノベルコンテスト』の最終選考作品です。
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