1-21
最後にした質問があまりにも緊張感が無かったからか一瞬この辺だけ無言になってしまった。
やけに入り口のほうで母に怒られたことで項垂れている父に容赦なく体当たりをして遊んでいる兄たちの声がやけに耳に響いてきます。
……って、もしかしなくても場違いな質問しすぎましたワタシ?!
『ふむ。いうなればこれはソナタが使う魔法のようなものだ。強化したい部分に魔力を集める事で移動を可能にしているのが一番近いとは思うのだが、呼吸をするのと一緒でこの世に生を受けた時からできた事だから説明は難しい』
『あ、そうなんですか。くだらない質問してごめんなさい。ありがとうございます』
『よい。幼子はいろいろ知って大きくなっていくものだからこれからも気になる事があればすぐに聞くといい』
『ありがとうございます。お世話になります』
微妙な空気なんか気にせず花が答えてくれ、とても大人な意見を言ってもらえた。
何回も聞けばめんどくさいと思うだろうにそんな気を使わせないように先に申し出てくれるなんてなんて男っ気溢れてるんだろう。
本当にうちの父とは大違いだ。
入り口でボロボロのまま項垂れる父に目を向ける。
ワタシを助けてくれたことは素直に嬉しく、父凄い、カッコいい!! と興奮気味に尊敬の念を抱いた数瞬後に聞かされた父の残念な行動に尊敬の念は一気に吹き飛んだ。
何でも気絶してしまったワタシに気がつかずに口に銜えて運ぼうとしたのは……まあ、しかたないと譲れるとしてもその後ギャロ達がワタシが気絶していることに気がついて血が上っては危険だからと、何もしない事を約束して代わりに抱えて連れて行くと申し出たらしい。
それを父はすぐさま断りをいれたとの事。
うん、まあ犯罪犯したすぐ後だし警戒する事は大切だから仕方ないとも思う。
話を聞いててワタシが思ったことはギャロ達も思ったらしく、もう何もしないとこの世界で信仰されている神に誓って約束をしたんだそうです。
この世界の神様はこの世界を創った一神しかいないらしくて、その神様の名に誓った事を破ると天罰が必ず落とされるそうなんです。
まさに天罰が下るらしいのです。
何それ怖いとか思ったけど、だからこそ名に誓った事は破られない絶対的なもので信頼できるとのこと。
そこまでしてもう敵意はないのだと示したギャロ達は男っ気溢れる潔さがあってその姿勢はカッコいいと思ったのに、何故この洞窟に来た時にボロボロだったのか聞いてみると暫く言いよどんだあとに教えてもらった。
何でも父がギャロ達が連れて行くというと自分が連れて行くと言い張り、もしも頭を打っていると怖いからと申し出てくれたのにたいして『男が娘に触る事はゆるさん』とか言って牙を剥いたらしいのです。
ちょ、父よ親ばかというよりもう頭たりないのでは? と言ってもいいですか。
何で『油断させておいてお前達娘を我が物にしようとしてるんだろ!』とかいってるんですか。
根本的に四足と二足の生き物で番うなんてできないのに……。
この話をする時だけギャロは言い渋ってはぐらかそうとしながらしながら話してくれた事だからうそじゃないと思う。
母もそれが分かっていたから父にお叱りの雷を落としたのだろうし、父はちょっと頭を冷やすべきなのです。
だって二人の服が所々引っ掻いたためにできたような破れや所々に見える泥からその様子が壮絶だったことが伺えるんですよ?
そんなになってもワタシを心配してくれてここまで運んでくれた二人。
今は母の魔法で綺麗に傷は治されているけど、これ以上罰を与えたらなんかちょと可哀想に思えてしまうのは仕方ないと思うんです。
もうそれで十分じゃない?
なんてワタシは思うんですがそれでは納得できないそうなので今回の依頼人にあってから二人の事はその時考える事にしたんです。
依頼人が悪いなら罰もそんなに強くしなくていいですしね。
さてそれでは初めての冒険パート2のために今度は準備をちゃんと整えようと思います。




