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さて誘拐された可哀想なワタシはただいま森の一角にある洞窟で転がってます。
あの後何があったのか簡単に纏めると
・もしかして間違いじゃね? と疑問。
・とりあえず確認する? と近くにあった洞窟へ
・まじまじ二人に見つめられる
・見た目は似ていると口論中
な流れになったのだ。
そして目の前でワタシについて口論中な二人。
一人はトカゲ顔のギャロ。
そしてもう一人がワタシが入った袋をかついでた人物、こっちは『私』時代に国は違えどテレビなどで見たことがあるような金髪の少年でした。
彼の名前はギャロとの会話でクラウと判明。
洞窟に入ってしまったことで瞳の色までは分からないけど、年はよくて十五、六歳というところかな?
ギャロと同じく冒険者のような服を着ているけど、どうしてこっちはコスプレにしか見えないんだろう。
着慣れた感じが似合ってはいるんだけどこればっかりは『私』時代の先入観があるから見慣れるしかないんだろうな……。
だけどクラウがまだ少年って感じだけど、ギャロはいくつ位なんだろう?
というより関係性は冒険者仲間?
だとすると他にはいないのかな仲間。猫耳娘がいるなら見てみたいな……。
と、ワタシが二人を観察している間に話し合いは終わったようです。
「おい、お前俺達の言葉が理解できてるなら首を縦に振れ」
ちょっとクラウ少年よ、なんでそんなに君は偉そうなのさ誘拐犯の癖に。
もうちょっとお姉さんの方に来なさいな。そしたら教育的指導してあげるから。
なんて、まあ冗談だけど。
「わう(だからさっきから理解してるって言ってるでしょ)」
こんな子供に毛が生えたような少年に本気で怒るなんて大人気ないと思い、しっかり首を縦に振って答えてあげる。
え? 子供じゃないのかって?
まあ、そこはほら。臨機応変にというかいちいち怒ってたら体力もったいないじゃない?
なので今回は大人の対応です。
「……念のため確認だがお前は最近この辺に住み着いた魔物の一種ラクレスって犬じゃないのか? 違うなら首を横に振れ」
なんですかねラクレスって。
まず犬って言ってる時点で間違いなので思いっきり首を横に振ってやる。
これは両親に確認済みなので胸を張って答えられるよ。
「……もう一つだけ確認なんだが、君はこの森を縄張りにしている狼族の一員ではないか?」
「はっ?! 何言ってんだギャロ!! こんな狼族いるわけないだろ!!」
「少し静かにしろクラウ。これは大事な確認なのはわかってるはずだ。……すまないが狼族なら首を縦に振った後一声鳴いてくれないか」
ギャロの質問はその通りだったので素直に頷いて一声鳴いてあげる。
クラウ少年と違いギャロの落ち着いた物言いは嫌いではないからね。
あと渋い声は意外とつぼです。
だけどワタシが素直に返事をしてあげたら目に見えて二人の顔が顔面蒼白になっていった。
おお。初めてこんな血の気の引いた顔を見るけど本当に白くなるんだね。
「うそだろ……狼族はこの時期は森の奥深くにいってるはずだからまず見かけることなんかないって言われてんのに……」
ふふ驚いてる驚いてる。
狼族にあえるなんてすごい確率だもんね。
自慢するといいよ。まあ誘拐したなんて言えないだろうけど。
「誰がこんなドちびが狼族だなんて思うんだよ?! よくてラクレスの大人くらいしかないじゃねぇか!!」
「ぐるるるっ!(誰がドちびですって?! あんたも十分小さいのに人のこと言ってんじゃないわよ!)」
本当にクラウは失礼すぎない?!
なんで驚くところがそこなのさっ!!
本当に教育的指導をしてあげようか?!
最近牙も生え揃ってきてむずむずするし丁度よくない?
て、あああ!!
クラウの発言に逆にビックリしすぎて毛が逆立っちゃったし、あとで覚えてなさいよね!
ううう。袋に入ってるから毛繕いができない……。




