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42歳バツイチ 神様になってイチャLOVEハーレムを作る!  作者: かくろう


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第93話 未来を語る家族会議

 巨大な和邸宅の一室。

 畳の上には円卓が置かれ、ずらりと並ぶ豪華な座布団に恋人たちが思い思いの姿勢で座っている。


「それじゃあ――今日の議題は『これからの未来について』です」

 秘書スーツ姿で手帳を広げたのは紗彩。きっちりと眼鏡を掛けて、会議進行役を買って出てくれている。


「未来って言っても、何を話すのかしら?」

 深雪が静かに問いかけると、紗彩が「まずは生活リズムの調整です」と即答。


「この人数で共同生活ですから、掃除・炊事・洗濯の分担、外部メイドの雇用拡大などを――」


「メイドは増やしますの! でも内装の監修はわたくしがしますわ!」

 桜子が勢いよく立ち上がり、胸を張って宣言する。


「ほら出た、『王国宣言』モード……」

 隆行は苦笑するしかない。


「問題ない。フィルは遊ぶ。のんびりするのがフィルの仕事」

 フィルはごろんと横になり欠伸をかます。


「遊ぶって……会議中に堂々と言わないでよ!」

 紗彩がツッコミを入れるが、フィルは「ん。問題ない」で済ませてしまった。


「じゃあ七菜香は! 毎日アイス食べ放題を要求するんだぞ!」

 七菜香が元気よく手を挙げる。

「会議のレベルが一気に下がったな……」

 隆行は頭を抱えた。


「お父さん」

 その時、玲緒奈がすっと立ち上がった。

 皆が「おっ」と注目する中、彼女は真剣な眼差しで言葉を続ける。


「未来の話も大事だけど……お父さんは、この大所帯の中心なんです。だから、何より健康でいてもらうこと。私、それを一番に考えたいです」


「……玲緒奈」

 隆行の胸にじんわり温かさが広がる。娘らしい、まっすぐな言葉だった。


だが次の瞬間――


「だから!」

 玲緒奈は座布団を抱えてダダダッと走り、隆行の隣にドンッと座り込んだ。

「お父さんの隣の席は私が死守します! 健康管理は、こうして毎日くっついて守るんです!」


「ちょっ……玲緒奈!?」

 隆行が驚くと、紗彩が「ずるい! だったら私もお膝で甘えます!」とすかさず参戦。


「わたくしもおじ様の隣を確保しますわ!」

「フィルも行く」

「七菜香もだぞーっ!」


 ドドドッと次々に集まるヒロインズ。

 気が付けば円卓は放置され、隆行の周囲だけが座布団と美少女でぎゅうぎゅう詰めになる。


「おいおい、未来の話はどこ行ったんだ……」

 隆行は呆れながらも、頬が自然と緩んでいた。


 ――未来を語るはずの会議は、気が付けば「お父さん(おじ様/隆行)争奪戦」に。


 だけど、こんな賑やかな時間こそが、きっと俺たちの「未来」なんだろう。



◇◇◇


「ぎゅうぎゅう……まるで寿司詰め電車だな」

 俺は座布団の上に座っているというのに、左右から女の子たちの柔らかな感触に完全に挟まれていた。


「お父さん、これでバッチリ健康管理です!」

 玲緒奈がにっこり笑って俺の腕に抱きつく。娘の笑顔が眩しいのはいいが、さすがに距離が近い。


「お父さん、汗かいてない? 熱とかない? じゃあ――」

 ぴとっと額を俺の額に押し付ける玲緒奈。


「お、おいおい、そんな風に測らなくても……」


「ちょっと玲緒奈ちゃん、羨ましい!」

 紗彩がじたばたしながら、反対側の腕にしがみついてきた。


「私もお膝で甘えます!」

 言うや否や、紗彩は器用に俺の膝にちょこんと腰を下ろしてきた。


「ふにゃ……重い。動けない」

 フィルまで俺の足元にごろんと転がり込み、膝を枕にして寝転がる。


「うおおっ! 七菜香もおじさんの膝に行くんだぞ!」

 さらに七菜香が突進してくる。


「お前らちょっと待て! 膝は二本しかない!」


「わたくしも! おじ様の太ももはわたくし専用席ですわ!」

 桜子が優雅にスカートを翻しながら、空いていないはずの膝の上に強引に座ろうとする。


「ダメです桜子さん! ここは私が!」

「いやいや、七菜香の場所なんだぞ!」

「問題ない。フィルは動かない」



 あっという間に俺の膝と両腕は完全に占領された。

 もはや「会議」というより「俺の身体を巡る椅子取りゲーム」である。


「……ふふっ」

 深雪が後ろからそっとお茶を差し出してくれた。

「隆行さん、賑やかでいいじゃありませんか。みんな、あなたが大好きなんですよ」


「いや……賑やかすぎるんだよ……」

 俺は笑うしかなかった。


 その後も会議は進まず――。


「カラオケ大会を毎週やるのはどうですか!?」

「いいですね! 隆行さんの持ち歌は何ですか?」

「おじ様は演歌でしょうか? 渋くて似合いますわ!」

「ちょっと桜子、それは失礼だぞっ!」

「問題ない。フィルはタンバリン担当」


 未来を語るどころか、気づけば議題は「週末の娯楽プラン」に変わっていた。


「……まあいいか」

 俺は小さく呟く。

 豪邸も会社も、未来のビジョンも大事だ。

 けれど――こうして皆と一緒に笑い合う時間が、何より俺にとっての「未来」なのかもしれない。


「よし、じゃあ次の議題は――俺の両膝の取り合いについてだな」


「「「はいッ!」」」



 円卓を囲んだ女の子たちの声が、今日一番の揃いっぷりで響いた。


◇◇◇


「それじゃあ次の議題は……休日の過ごし方だな」

 俺が口火を切ると、すぐに数本の手が挙がった。


「おじ様っ! ここはやはり“おじ様ランチボックス”を作って差し上げますわ!」

 桜子が意気揚々と宣言する。


「なら七菜香も作るんだぞ! おじさん、七菜香特製“から揚げ山盛り弁当”を絶対に食べて欲しいんだぞ!」

「ちょっと七菜香、唐揚げばっかりじゃ栄養が偏るでしょう」

 真理恵が娘を小突きながら微笑む。


「私は昔よく家族にお弁当を作っていましたから……隆行さん、久々に腕を振るってみてもいいですか?」

 深雪が静かに申し出ると、場の空気が柔らかくなる。


「ん……フィルも作る。中身は秘密」

 フィルはぺたんと座布団に座ったまま、小さく手を挙げた。


「……いや、秘密ってなんだよ。不安しかないんだが」


「いいですね! だったら買い出しにみんなで出かけましょう!」

 紗彩が明るく提案する。



◇◇◇


翌日。

奉龍院の専用車が連なり、俺たちは巨大なショッピングモールへ。


「おじさん見て! このお肉、ドーンと一キロ入ってるんだぞ! 絶対これ!」

「だから唐揚げばっかりはダメだって……」

真理恵が笑いながら七菜香の腕を引っ張る。


「隆行さん、こっちの調味料は輸入品ですけど……味の深みが違います。会社の会食でも使えるかもしれませんね」

 深雪は真面目に選んでいる。


「HEY! たかゆきサーン! ミルフィはデザート担当デース! チョコレートケーキにプリンに……あ、アイスも買うデース!」

「おいおい、どこのパーティー料理だよ」


「お父さん、これ。女子高生に人気のキャラ弁グッズです!」

 玲緒奈が手に取ったのは、うさぎ型やハート型の海苔パンチだった。


「俺がキャラ弁食べることになるのか……?」

「はい! お父さんには“クマさんおにぎり”が似合います!」


気づけばカート三台が山盛り。

店員に二度見されるほどの大所帯での買い物になった。


帰宅後、豪邸のキッチンは一気に戦場と化す。


「おじ様、見てくださいませ! ハート型卵焼きですわ!」

「たかゆきサーン! ミルフィは“ラブチューチューソーセージ”完成デース!」

「お父さん! ほら、クマさんおにぎりできました!」


「……彩りバラバラすぎないか?」


「でも楽しいですよね!」

 紗彩が笑うと、場の空気も和やかになる。


結局、唐揚げ山盛り・和風幕の内・キャラ弁・謎の外国風弁当と、種類豊富すぎる“おじさん専用弁当”が完成した。


夜はそのままカラオケルームへ。


「隆行さん、私はバラードを」

 深雪がマイクを持ち、切ない歌声を響かせる。


「おじさんっ! 七菜香はアニメソング全力でいくんだぞーっ!」

「ちょ、声張りすぎ! マイク割れてる!」


「フィルは……タンバリン担当」

 リズム感ゼロでズレまくるタンバリンが逆に場を盛り上げる。


「私だって歌います!」

 紗彩が立ち上がり、アイドル顔負けのダンスを交えながら熱唱。


「お父さんも一曲!」

 玲緒奈にマイクを押し付けられ、仕方なく十八番の演歌を歌う羽目に。


「やっぱり隆行さんの歌声、素敵です」

「渋いですわ! 惚れ直しました!」

「おじさん最高ー!」


 ……その夜、豪邸のカラオケルームは深夜まで笑い声で満ちていた。


~第7章 完~




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