表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42歳バツイチ 神様になってイチャLOVEハーレムを作る!  作者: かくろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/100

第85話 CEO就任

 夜のオフィスに、パソコンのキーを叩く音だけが響いていた。

「……隆行さん、こちらの契約条項、再確認をお願いします」

 落ち着いた声で差し出してくるのは深雪。

 長い黒髪を後ろでまとめ、眼鏡越しに書類を睨んでいる姿はまさしく“切れ者”の副社長だ。


「ありがとう。ほんと、頼りになるな」

「私は陰で支える役目ですから」

 深雪はそう言いながらも、わずかに唇を緩めた。


 一方、机の反対側では――

「隆行さん! こちらのプレス用コメントも完成しました!」

 紗綾が胸を張って書類を掲げている。

 スーツ姿なのに、疲れ知らずの笑顔。前社長令嬢でありながら、今は俺の秘書として常に走り回ってくれている。


「おお、ありがとう。……でも紗綾、徹夜で顔が少し赤いぞ」

「だ、大丈夫です! だって、隆行さんのためですから!」

「はぁ……無理はしないでくれよ」

 思わず苦笑する俺の隣で、深雪が呆れたように肩をすくめる。

「全力で尽くしてしまうのは、彼女の長所であり短所でもありますから」


 机の上には、山積みの資料。

 株主総会に向けた合併書類、就任演説の草案、各国支社への通知――どれも一つでも抜かせば大問題になる代物だ。


「水無月と奉龍院の合併は、歴史的な出来事です。あなたが社長に就任することで、両者が一つにまとまる。……絶対に失敗は許されません」

「わかってるよ、深雪。けど――」

 俺は視線を二人に向ける。

「紗綾と深雪、こうして支えてくれるお前たちがいるなら大丈夫だ。俺はもう一人じゃない」


 その言葉に、二人の表情がわずかに揺れた。

 紗綾は目を潤ませ、深雪は眼鏡の奥で小さく頷く。


「……さぁ、もうひと踏ん張りしましょう」

「はいっ!」

 夜明けまで続いた書類作成。

 俺は二人と共に、CEO就任の準備を整えていった。


 ホテルの最上階、豪奢なシャンデリアが輝く大会議室。

 水無月コーポレーションと奉龍院グループの株主達が一堂に会し、重苦しい空気が漂っていた。


「本日の議題――新社長人事案、および両社合併の承認について」

 司会役の弁護士が宣言すると、会場はざわめいた。


 壇上に立つ俺の視線の先には、数百人の株主たち。

 その多くは政財界の大物や海外投資家だ。彼らの一票が、今後の未来を決定づける。


 隣には紗綾。緊張した面持ちで、しかし堂々と俺を見守っている。

 深雪は議事運営のサポートとして冷静に立ち回り、必要な資料を次々と配布していく。


「篠宮隆行氏の経歴について説明します」

 スクリーンに映し出されるのは、俺がこれまで歩んできた実績。

 水無月の経営立て直し、海外事業部の業績向上、奉龍院との関係改善――。

 そして何より、「神力を宿す男」としての不可思議な力が、彼らに“この人物なら未来を託せる”という確信を与えていた。


「……以上が、篠宮隆行氏の経歴です」

 司会が締めくくると、重役席の一角から声が上がった。


「質問だ!」

 立ち上がったのは海外ファンドの代表。

「これまで数々の奇跡的成果を挙げてきたのは認める。しかし、実際にあなたがCEOとなり、我々の資産を預けるに足る人物なのか――」


 会場の視線が一斉に突き刺さる。


 俺は深く息を吸い、マイクを握りしめた。

「俺は特別な経営者じゃありません。ただ――」

 隣の紗綾と目を合わせる。彼女は小さく頷いた。

「俺には、命を懸けて支えてくれる仲間がいる。彼女たちがいる限り、どんな困難も必ず乗り越えられる。だからこそ――俺はCEOとして、この会社を未来へ導く覚悟があります!」


 沈黙のあと、会場の一角から拍手が起こった。

 それは次第に広がり、やがて会場全体を包み込む。


「では、採決に移ります」

 投票ボタンが押され、数秒の緊張の後――スクリーンに大きく映し出された。


賛成:93% 反対:7%


「……可決!」

 司会の声に、俺は拳を握りしめた。


 会場のあちこちから「おめでとう!」「篠宮新社長!」と声が飛ぶ。

 俺の両隣で、紗綾は涙ぐみ、深雪は静かに目を細めていた。


「隆行さん……っ」

「やりましたね」


 こうして、俺のCEO就任は正式に承認された。

 水無月と奉龍院――二つの巨頭が一つになる歴史的瞬間だった。


◇◇◇


 翌日。

 水無月コーポレーション本社ビルの講堂には、数千人の社員たちが詰めかけていた。

 国内外の支社からも中継がつながり、世界中の社員が固唾を呑んで画面を見つめている。


 俺は壇上に立ち、目の前に広がる光景を見渡した。

 幾千もの視線が俺一人に注がれる――この重みは、どんな戦場にも勝る。


 隣には紗綾が立ち、手元の資料をさりげなく整えてくれている。

 深雪は舞台袖で、俺の演説を支えるように冷静な視線を送っていた。


「本日より、私は水無月コーポレーションのCEOに就任いたしました――篠宮隆行です」


 最初の一声がマイクから響き渡ると、会場全体が水を打ったように静まり返った。


「水無月はこれまで数々の困難を乗り越えてきました。国内外の競合、予想もしなかった市場の変化……その中で、皆さん一人一人の努力が、この会社を支えてきた」


 社員たちの表情が動く。前列にはベテランの管理職、後列にはまだ若い新入社員。

 誰もが緊張した面持ちで俺を見つめていた。


「これから私たちは、奉龍院グループと手を取り合い、さらに大きな挑戦に臨みます。

 だが、忘れてはいけません。会社を動かすのは“数字”ではない。人です。

 皆さん一人一人の力こそが、この企業の最大の財産です」


 会場の空気がじわりと変わっていく。

 ざわめきが期待と熱に変わり、社員たちの目に光が宿っていくのが分かる。


 俺は一呼吸置いて、最後の言葉を告げた。


「私はCEOとして、この会社を必ず未来へ導きます。

 ――なぜなら、私には“最強のパートナーたち”がいるからです!」


 背後のスクリーンに、紗綾、深雪、そしてこれまで共に戦ってきた仲間たちの姿が映し出される。

 その瞬間、会場全体がどよめきに包まれた。


 割れんばかりの拍手が起こり、立ち上がる社員まで現れる。

 歓声とともに、「新社長!」「篠宮!」という声が飛び交い、熱狂は会場を揺るがすほどだった。


 壇上に立ちながら、俺は心の中で呟く。

(これが……俺の新しい戦場だな)


 そして、俺のCEOとしての一歩が、ついに始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ