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42歳バツイチ 神様になってイチャLOVEハーレムを作る!  作者: かくろう


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第64話 看破

 神力を込めて、悪酔いを治そうとした――その瞬間。

 眠っていたはずのミルフィが、ふいに俺の首に手を回し、ぎゅっと抱きしめてきた。


「っ……!?」


 まるで別人のように色香を纏い、甘い匂いが漂う。

 次の瞬間、俺が流し込んだ神力に彼女の身体が大きく震えた。


「ふ、ぁぁ……! な、なにこれぇ……!」


 声にならない叫びと共に、ミルフィは全身を痙攣させる。

 ような、ではなく実際に――彼女の精神は神力に耐えきれず、制御不能に陥っていた。


 アナスタシア夫人ですら虜にしかけた俺の神力。

 耐性のない相手に使えばこうなるのは必然だった。

 もちろん俺は、抱きしめただけだ。肉体的には何もしていない。


 だが数分後。

 ミルフィはぐったりと布団に倒れ、息も絶え絶えに肩で呼吸していた。


「……そろそろ、種明かしをしてもいいんじゃないか?」


 俺の言葉に、ミルフィの瞳孔がブレた。

 先ほどまでの天真爛漫さは消え、明らかな動揺が浮かぶ。


「アパート前にいたカメラ持ちの男たち。もう帰ってもらったぞ」


「!?」


 瞬間、ミルフィの顔が驚愕に染まる。明らかに瞳孔がブレはじめ、目をそらして挙動不審になった。


 先ほどまでの余裕な態度は見えず、明らかに動揺している。

 神力を流し込んだことですっかり体力を奪われているようだ。

「な、なんのことですか?」

「そんなに意外だったか?」


 そう、ここに帰ってくる前に妙な気配を察知した俺は、神力によるサーチでアパート前に待ち構えている妖しい男たちを発見した。

 カメラを持って黒い帽子という”如何にも”な妖しい恰好をしているものだから目立つなという方が無理だが、なんと奴らは気配を完璧に断っており、普通の人には気が付くことが出来ないであろうほどに見事隠れ切っていた。


 恐らくプロなんだろう。


 俺に神力による気配察知が無かったら気が付くことはできなかった。

 アパート前の影から嫌な感じのする黒い煙がもうもうと立ち込めていなかったらヤバかったな。


 ちなみにその男たちは威圧の神力を強めに当てたら一目散に逃げていった。

 耐性の無い奴らで助かった。


 何故俺が彼女を警戒していたか。

 それは先日の昼間、深雪からの着エロ写真と同時にメールに添えてあったファイルに彼女”奉龍院コンツェルンからのスパイ『ミルフィミー=アーガス』に関する報告データ”が送付されていたからだ。


 現在水無月コーポレーションには奉龍院の企業からスパイが入りこんでおり、その対処に乗り出している。


 深雪は秘密裏にその正体を全て把握しており、7人のうち6人は既にこちらに懐柔済みであるという。

 どんな手法を使ったら格上企業のスパイをこちら側に取り込むことが出来るのか。


 彼らは1か月ほど前から二重スパイとして奉龍院の情報をこちらにかなりもたらしてくれたらしい。


 基本的にスパイは互いの存在を知らない。芋づる式にバレてしまうからだ。だから深雪と連携して社内のスパイ疑惑がかかっている人物とここ最近じっくりと会話をしてあたりを付けていった。


 その最後の一人が彼女だったというわけだ。


 実は今日の飲み会は深雪がセッティングしたものだ。

 紗彩やフィルが俺のそばをあえて離れてガールズトークに花咲かせていたのも、俺の周りから女の気配を引き離し、ミルフィミーが近づきやすい状況を演出するためだ。


 いくら上司でアラフォーおっさんとは言え、一人の男性に酔い潰れた女性社員を任せるなんて状況はあり得ない。


 今日の飲み会は予め彼女に行動を起こさせるためにあえて用意された舞台装置だったというわけだ。


 というか、彼女以外は全員仕掛け人だったということになる。恋人組以外は誘導されていただけだろうけどね。

 本当はこんな風に神力を使いたくはなかったが、奉龍院がこちらに害を成そうとしてきた以上は、恋人たちとの生活を守るためにも手段は選ぶべきではない。


「まさか最初からバレていたなんて。でもそれならどうしてここに連れてきたのデスカ?」


 ミルフィミーは動揺してても片言のかぶれキャラが崩れない。もしかして天然でこうなのかな。


「君とじっくり会話するためさ。邪気を感じなかったからね」

「とんだお人好しネー。そんなんじゃ悪い女に騙されマスよー」

「心配ないさ。俺には最強の味方がいるからな」


 実際深雪や紗彩、それにフィルも彼女の正体にはかなり早い段階から気が付いており、あえて放置していた。


 何故なら奉龍院とはいずれやり合わないといけない。だから相手が動き出すまで放置し、十分な仕込みをしたうえで逆に罠にかけた。


「なるほどネ。オーマイガット……失敗してしまいました。これで私はお払い箱デス……」


 顔に手を当ててしょぼくれるミルフィミーの肩を叩く。

「いいじゃないか。スパイを続ければ。あ、勿論深雪の傘下に入って情報のコントロールはしてもらうけどな」

「ハハ。そうするしかないデスね。奉龍院にバレたら確実に消されます」

「おいおい、物騒だな」

「あの人達はそれくらいやりマス。運よく消されなくても上層部にいる禿デブ重鎮たちの娼婦です。イエ、玩具(おもちゃ)と言ったほうがいいデスネー。壊されて最後は捨てられます」


「まさか……そんな漫画みたいな話」

「それが奉龍院という魔窟の実情ネ。何人もの同僚が変わり果てた姿にされたのを見てきました」

「世知辛いな。奉龍院ってのはロクデナシの集まりか?だが、その割には必死さがないというか。どこかのんびりしているように見えるのだが」


「貴方の神力に当てられた時から諦めてたヨー。こんなに物凄い神様に勝てるわけないネ」

「君は神力を知っているのか?」

「奉龍院は神力を操ることに長けた一族ダヨ。ワタシもその才能を買われて奉龍院に奉公することになったネ」


 彼女、ミルフィミー=アーガスは孤児であり奉龍院に拾われエージェントとして育てられたらしい。

 生まれつき彼女の神力は異性を誘惑する種類の能力に長けていたのでハニートラップの専門スパイとして育てられたという。


「ワタシ、生まれて初めて男性を素敵だと思ったヨ。ホンブチョーは天然のジゴロデス。貴方に言った言葉、あなたのこと良いなって思っていたのは本当デス」

「ジゴロねぇ。そんなつもりもないのだが、神力を獲得している以上そうなってしまうんだろうな」


 その後、紗彩たちに連絡を入れた俺は、アパートに集まってきた紗彩、深雪、フィルと共に今後の動きについて相談することにした。



 結果として奉龍院からの指令は俺をハニートラップに嵌めて女性スキャンダルを引き起こすこと。

 それは分かったのだが、彼女自身もその先に奉龍院が何を狙っているのかは知らされていないそうだ。


「ここは敵の出方を見てみましょう」


「そうだな。相手の出方が分からない以上、釣り出すしかないだろう」

「はい、既に彼女は隆行さんの虜になっているはず。なら、隆行さんには守って差し上げる義務があると感じているのでは?」

「勿論だ。流石紗彩は分かってるな」

「ミルのことは隆行が守ってくれる。だから安心して身を委ねるといい」

「フィルリーナ先輩……まさか会社のトップ美女達全員手籠めにしてハーレム作っていたなんて。噂が本当だったことに驚愕せざるをえまセン」

「心配いらない。隆行は全ての女性を包み込む器がある。奉龍院ごときに負けることはない」


「奉龍院に勝てるかはともかく、君を魅了した責任は必ず守り切る形で証明してみせよう」

「ハハ……やっぱりホンブチョーはお人好しデース。でも、嫌いじゃないデス」

「それじゃあ行動を開始しよう。作戦はうちのブレーンたちがサポートしてくれる」


「はい。でもその前に、ミルフィちゃんにも必要な儀式をしておきましょう」

「儀式?」


 突然何を言い出すんだ紗彩は?儀式ってなんだろうか。

 そんな疑問を頭に浮かべていると、フィルと深雪が突然ミルフィを両側から取り押さえて布団に横たえた。


「ホワイ!?な、なにするデスカ?」

「ミルフィ、隆行と契りを躱す。奉龍院が失敗したスパイを無事でいさせないなら、神の加護をもらうしかない」

「そのためには強固な絆が必要ですからねぇ。ここは一発隆行さんの精をその身に注いでもらいましょう」


「ウェイウェイ!待ってくだサイ!」


「ハニートラップを仕掛ける以上カウンターされるのは覚悟しているはず。大丈夫。ミルフィのエロボディなら隆行は確実にケダモノになってくれる」

「それ全然嬉しい情報じゃないデース!」

「さあ隆行さん。女スパイを手籠めにするプレイはいかがですか?」

「おいおい、嫌がってるじゃないか」

「スピリットリンクで確認してみてください。喜んでます」


 あ、本当だ。言葉では嫌がっているけど期待値の方が大きいっぽい。

 でも微かな怯えがあるけどこれはなんだろう。


「怖いか?」


「プリーズ。お願いしマス。ワタシ、汚れてしまっているよ。色んな男に抱かれて来たネ。こんな汚い身体、本当に抱いてくれマスか?」


「君が誰に抱かれていようと関係ないさ。ミルフィの太陽みたいな笑顔は本当に心の綺麗な人にしか出来ない本物の笑顔だ」

「嬉しいデス。ワタシ、落とされちゃいました。アナタに身も心も捧げたいデス」


「大丈夫ですよ。隆行さんに身を任せてくださいな。悪いようにはしません」


 深雪と紗彩がミルフィの身体を抱きかかえる。

「プリーズ、本部長。ミルフィ、ちょっと怖いです」

「嫌なら無理にしなくてもいいんだよ」

「NO。イヤ、違いマス。本部長のこと気になってた、ホントーです。だから、優しくしてくだサイ。本当に好きな男の人、本部長が最初ネ」


 俺はミルフィのあごに手を添える。赤く染まった頬は上気して瞳は潤む。

 濡れた唇にそのままそっとベーゼを被せた。



 みんなが見守る中、ミルフィとの契りを始めることになる。



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