呪われた一族
今回は呪われた一族の話です。
俺達の一族は先祖の悪行により呪われていて、深夜になると人外の姿になる。
父親はワーウルフになり、人族の肉を喰らう。
母親はヴァンパイアになり、人族の血を吸う。
姉はサキュバスになり、人族の男の精気を吸う。
俺もインキュバスになり、人族の女の精気を吸う。
その為に人里離れた深い森の中で暮らしながら、時々迷い込む人族を監禁して、其々の飢えを凌いでいる。
「すみません。森の中で迷ってしまいました。一晩で良いので、私達を留めて下さい」
「お願いします」
(人族の若い女と女エルフよ)
(久々のご馳走だ)
(女だけど美味しそうな精気)
(早く精気を吸いたい)
人族の若い女と女エルフが久々に迷い込んで来た。
「それは大変でしたね」
「勿論構いませよ」
「大した事は出来ませんが、中にお入り下さい」
「歓迎します」
「お世話になります」
「ありがとうございます」
(何だろう。四人から人外のような違和感を感じる。どうやら警戒した方が良いわね)
「モモ、起きなさい」
「・・・・どうしたのですか。まだ真夜中ですよ」
「殺気を感じるのよ」
「分かりました」
【監獄結界】
私だけが解放出来る堅固な結界に四人を閉じ込めた。
「この結界は何だ」
「出られない」
「どうして出られないのよ」
「閉じ込められた」
扉から室外に出ると、ワーウルフ、ヴァンパイア、サキュバス、インキュバスが結界内に居た。
「アンタ達、やはりは人外だったのね」
「私達をどうするつもりだったのよ」
「お前達の肉を喰らうつもりだった」
「血を吸うのよ」
「精気を吸うに決まっているでしょう」
「それより此処から出せ」
「出す訳ないでしょう。アンタ達は調査が済むまで結界内に居るのよ」
(・・・・これは酷すぎる)
(・・・・余りにも残酷よ)
地下室には数え切れない程の人骨が散乱していた。
「アンタ達を餓死するまで結界内に閉じ込めてやるわ」
「アンタ達、地獄に堕ちなさい」
「出してくれ」
「助けて」
「餓死なんか絶対に嫌よ」
「死にたくない」
「駄目よ。結界内で殺された人々に餓死するまで詫びなさい」
「因果応報よ。自業自得よ」
「夜が明けたから出発するわよ」
「はい」
あの四人を放置したまま夜明けに森を立ち去った。