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異世界転生  作者: MSZ-006
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「逃げましょう!リョウさん」


「は、はい」


ユカさんに手を引かれ、俺達は教会の外に飛び出す。


外は、現実社会と変わらない作りになっており、昼間で明るいが俺達以外の人が見当たらない。


「誰も居ませんね?」


「そうですね。説明では他のプレイヤーと、共闘とかってなってましたけど、見当たりませんね?」


俺の問い掛けに、ユカさんは周りを見渡しながら答える。


「まぁ、始まったばかりだし、取り敢えず行きましょう」そう言って、俺はユカさんの方へ向く。


・・・そういえば、ずっと手を繋いでる。


そう意識して、慌てて手を離し「ご、ごめんなさい!」と、謝る俺。


「い、いいえ!そもそも、私が逃げる時にリョウさんの手を掴んだんですから、何処に行きますか?」と、ユカさんは頬を赤くしながら答えて、周りを見回す。


「クアー!ピィ!」と、一緒に行動している白い烏と、黒い子豚の鳴き声につられ目線を上げる。


道路の真上に半透明のディスプレイがあり、エアポート→と表示されている。


「ユカさん、見て下さい。エアポートって表示があります。そっちに行ってみましょう」


「はい!」


矢印の方向に向かって歩き出すと、道端に工事中の建物があり、鉄パイプがゴロゴロ転がっている。


俺は、落ちている鉄パイプを一本拾い上げ、軽く振る。


「うん。悪くない。ユカさんも、一本持ちますか?」


「そうですね。武器が無いのは、不安ですね」


ユカさんに、鉄パイプを渡し歩き始める。


道沿いに様々な店があり、店のショーウインドの前を通り過ぎた直後、ガシャーンと硝子が割れる音がして、ナイフを持ったゾンビが襲って来た。


俺は咄嗟に、鉄パイプで小手を狙う。


グシャっとした感触が鉄パイプから伝わり、ゾンビの手からナイフが落ちる。


「キャッ!」


ユカさんの方へ視線を向けると、目が真っ赤に染まったドーベルマンが、ユカさんの持っている鉄パイプに、噛みついている。


俺はゾンビに前蹴りを入れて、ユカさんに襲い掛かるドーベルマンに、鉄パイプを振り下ろす。


「ギャン!」


上手くドーベルマンの頭に鉄パイプが当たり、ドーベルマンが動かなくなる。


「危ない!」


ユカさんが、俺の後ろから噛み付こうとするゾンビに、鉄パイプを投げつける。


鉄パイプは、ゾンビの胴体に当たり遠くに転がって行く。


振り返った俺は、鉄パイプをゾンビの頭に振り下ろす。


頭が爆ぜたゾンビが、腰砕けになって崩れる。


周りを見渡すと、近寄って来ていたゾンビの一体が、鉄パイプを踏んで足を滑らせ、建物の角に頭をぶつけ動かなくなった。


運が良いな。


しかしマズイな、だんだん敵の数が増えて来ている。


烏が鋭い爪で、ゾンビの顔面を抉り、子豚は突進して犬ゾンビを吹き飛ばす。


烏と子豚も、必死に応戦している。


ユカさんは、ナイフを拾い上げ「リョウさん、エアポートの方に行きましょう!そして、一緒に生きて戻りましょう!」と、俺の手を握って走り出した。


何度か、ゾンビやゾンビ犬の襲撃に遭い、現在。


「ひぃ~! ユカさん、俺はもう駄目です!」


「しっかり! 一緒に生きて戻るって約束したじゃないですか!」


襲いかかるゾンビを、ユカさんが華麗なナイフ捌きで圧倒していく。


「ユカさん、強いんですね・・・」


「はい。私、CQCをやってるんですよ」


這い寄る混沌の邪神さんがやってるヤツと違って、本格的なヤツなんだろうな。


「なるほど。だから、あんなに強いんですね」


道理で、普段の動き方に隙が無い訳だ。


そんな事を考えていると、ゾンビの頭に矢が刺さり倒れ込んだ。


「こっちだ!走れ!」


声のする方に視線を向けると、手作り感溢れるバリケードの中から、数人の男女が此方を伺っており、その内の一人がボウガンを構えながら、早く走れと叫んでいる。


どうやら、他のプレイヤー達らしい。


バリケードの方に向かうと、バリケードの一部が開いて中に滑り込む。


「早く、閉めろ!」


背後でガシャン!と重い扉が閉まる音が響き、外の唸り声が遠のいた・・・。



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